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森絵都 風に舞いあがるビニールシート [作者ま行]


風に舞いあがるビニールシート

風に舞いあがるビニールシート

  • 作者: 森 絵都
  • 出版社/メーカー: 文藝春秋
  • 発売日: 2006/05
  • メディア: 単行本


森さんの作品は初めてです。
この本は器を探して犬の散歩守護神鐘の音
ジェネレーションX風に舞いあがるビニールシートの6作品が
収められている短編小説で第135回直木賞受賞作。
風に風に舞いあがるビニールシートは、NHKの土曜ドラマ枠で、
2009年5月30日から放送されたものです。
尚、ドラマでは原作には登場しない多くの設定・人物が追加されています。

この本を読もうとしたのも、ドラマを少し観ていて途中から見逃してしまったので、
原作を読もうと手に取りました。
器を探してをでは、奔放なオーナーパティシエに振り回されてしまい、
大事な恋人との時間にも左右されてしまう女性の話。

犬の散歩は行き場を無くしてしまった犬を自宅で預かり、
その里親を探すボランティアの活動費を稼ぐ為にスナックでアルバイトをする女性の話。

守護神は高卒と大卒の生涯賃金の差を知り、
再出発として大学二部に通いながらフリーター生活をする男性の話。

鐘の音は、仏師になるという夢に破れてしまい、
仏像修復師となった男性の話。

ジェネレーションXは、商品のクレーム処理の為に、
謝罪に行く世代の違う男性二人の話。

風に舞いあがるビニールシートは外資系投資銀行から国連難民高等弁務官事務所の
一般職へ転職した女性と現地で危険と隣り合わせで懸命に働く男性との話。

どの作品も主人公の色々なジレンマ、悩みなどがありますが、
最後には希望に満ちた次へのステップに繋がっているので
読み終わった後にはとても爽快感がありました。

個人的にはジェネレーションX風に舞いあがるビニールシート
とても良かったです。
ジェネレーションXでは謝罪を行く前半ではこの先二人はどうなって
しまうのだろうかと思ってしまいましたが、ある一言で意気投合して、
先輩の粋な計らいも良かったし、後輩の考え方も青臭くて良かったです。
「何年たっても色々な責任や境遇にあっても、
 俺たちはいつまでもそうゆうバカでいたいなって。」
これって少年の心をいつまでも持っている感じがして羨ましい感じがしました。

風に舞いあがるビニールシートはTVドラマで観ていた所では、
上司の男性と女性がいつも競い合いながらも、
どこか心を許しあっている姿が描かれていました。
そしていつの間にか結婚をしていたところまで観ました。

けれどその結婚生活で女性はいつも不安を抱いていたのです。
同じ女性としてはとても辛い不安感だったと思います。
周りから見ると何不自由なく暮らしていたけれど、
いつも危険と隣り合わせな場所に送り込む妻としての心配さ。
この男性の場合には特に現地での仕事が自分の使命と感じていたので
止められないのですが。
「僕はいろんな国の難民キャンプでビニールシートみたいに
 軽々と吹き飛ばされるものたちを見てきたんだ。
 人の命も、尊厳もささやかな幸福も。(中略)
 真っ先に飛ばされるのは弱い立場の人たちだ。
 老人や女性や子供、それに生まれて間もない赤ん坊だ。
 誰かが手を差し伸べて助けなければならない。(中略)
 富める者ばかりがますます富んでいくこの世界のシステムに加担している僕らの責任。」
この男性の言う事に何だか胸をぐさりと刺されたような感じでした。
男性の使命感や普通に人とは違う感覚は過去の生い立ちからなのですが、
それがここまでくるとは思いもしなかったです。
それがこの夫婦のすれ違いにも繋がってしまうことになってしまいます。
育った環境が違えば考え方も違うのは当たり前のことですが、
それが極端になりすぎるとこんな風になるのかと・・・
これが極端でなければこの女性もいつも不安を抱いなかったと思いました。
この作品が一番山あり谷ありのストーリーでしたが、
最後は力強くなって再スタートをしていたので良かったです。

どの作品もどこにでもありそうな生活感のある作品なので、
余計に感情移入もしやすかったです。
大切なモノを教えてくれた一冊でした。


HPのYuimiko's MemoriesのGallaryにも本の紹介をしているので、
そしちらも良かったら見てみて下さい。
http://happy1996.web.fc2.com/
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