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角田光代 森に眠る魚 [作者か行]


森に眠る魚 (双葉文庫)

森に眠る魚 (双葉文庫)



ストーリーは東京の文教地区の町で出会った5人の母親。
育児を通してしだいに心を許しあうが、
いつしかその関係性は変容していた。
あの子さえいなければ。私さえいなければ…。
凄みある筆致であぶりだした、現代に生きる母親たちの深い孤独と痛み。
衝撃の母子小説。

以前角田さんの作品で読んだ「坂の途中の家」や「ひそやかな花園」と
同じようなママ友を中心とした内容なのかと思いましたが、
途中で解説に文京区幼女殺人事件をモチーフに描かれている
というのを知り考え深く読みました。

前半までは5人のママ友達がそれぞれの個性はあるものの
分け隔てなく楽しく過ごしているかのように見えて
一瞬羨ましい関係のようにも思えました。
ところがある一人の男の子の小学校受験をきっかけに
それまで関心のなかったママ友達に異変が起き始める。
そして受験だけでなく一人が妊娠したことによっても異変が起きはじめ
徐々にグループ内の関係が崩れはじめます。
楽しいママ友がいっぺんにして互いに比較したり、探り合ったり、
憎しみあったりしてここまでも関係が崩壊していくのかと
思ってしまいました。
互いに比較して嫉妬の塊になっていき、
しまいには自分で自分を苦しめてしまっている状態になり
後半部分でのお祭りに行く女性の怪しい行動には狂気を感じ、
女性の心理描写があまりにも鬼気迫る思いがして
読んでいて苦しかったです。

女性は物心ついた時から男性にはない独特の世界があり、
それは学生時代だけのことだと思っていましたが、
大人になってもいつの世代になっても抜けることはなく、
それによって人間関係が難しいと思わざるおえなくなってしまいます。
この中のママ友達も学生の時に苦い経験があるからこそ、
また同じような経験はしたくないからそこそこの付き合いをと
思っていたと思っていましたが、結局はまた同じようなことを
繰り返されてしまったというのはやりきれなさを感じます。
他人と比べると人は不要は不幸を背負いこむ。
人は人、自分は自分、その線引きをしっかりさせて
日々を送りたいと思っていても
ママ友となると自分だけではなく子供を交えての交際となると
難しいのだなと思いました。

角田さんは以前の作品でも女性の心理描写やママ友達の会話が
とても細かく表現されていて、特に今回も会話の部分では
とてもリアルでまるでどこかの立場端でも聞いているかのような
リアル感で吸い込まれました。

登場人物のどの女性もそれぞれの過去に辛い過去があったり、
今もなお人には言いたくても言えない悩みがあったりしても、
ママ友の前に出ると明るく気丈に逞しくふるまってしまい
それが余計にいらないトラブルの火種になってしまうのかとも思ったりしました。
誰が悪いとかそうゆうことではなく、
とにかく人と比べることでこんなにも苦しく辛くなってしまう
人間関係というのは嫌だなと思っていまいました。

核家族で少子化という昨今で同じ年頃の子どもを持つ主婦は
同じような境遇の人と出逢えたらどれだけ心強いものかと思います。
けれどせっかくのママ友も些細な事からどこかボタンを掛け違いで
こんなドロドロとした人間関係になってしまって、
親同士だけでなく子供まで嫌な思いをさせてしまうのは
残念なことだと思います。

私は子供がいないのでママ友付き合いという経験が無いですが、
時にはそんな関係が羨ましくも思ったりもしましたが、
このような事に巻き込まれしまうとしたら
そんな経験をしなくて良かったのかなとも思えたり、
女性の独特な世界感を改めて難しいなと思わされてしまいました。
けれど自分の価値観と合ったり心地良い人と出会えることも
あると思うので、そのような場合にはママ友という枠を超えて
人生の友になれるかと思います。

アメトークの「読書芸人」で紹介されて話題になった作品なので
手に取ってみましたが、読みやすく現代の女性の心を鷲掴みしていて
女性の日頃に対する本音も細かく描かれているかと思います。
女性の心の深い闇を知るには読み応えがありお勧めな作品かと思います。
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