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森美樹 主婦病 [作者ま行]


主婦病 (新潮文庫)

主婦病 (新潮文庫)

  • 作者: 森 美樹
  • 出版社/メーカー: 新潮社
  • 発売日: 2017/12/25
  • メディア: 文庫


ストーリーは「たとえ専業主婦でも、女はいざという時のために
最低百万円は隠し持っているべきでしょう」。
新聞の悩み相談で目にした回答をき っかけに、美津子はある仕事を始めた。
八時三十分から三時まで、昼休憩を除いて六時間勤務。
完全在宅勤務でノルマなし。
欠かせないのは、熟したトマト─。
R 18文学賞読者賞を受賞した「まばたきがスイッチ」をはじめ、
生きる孤独と光を描ききる六編を収録!

眠る無花果
まばたきがスイッチ
さざなみを抱く
森と密
まだ宵の口
月影の背中 6編を収録

眠る無花果
母との永遠の別れがまだ受け入れられないのに、
新しい母親を受け入れるのにこの歳ならではの葛藤がありながらも
戸惑いつつ受け入れるのが意外と早かったのが驚きでした。
この母親と父親との関係も何だか生々しくて
お互いに密やかな裏の心がありそうで、
様々な余韻を想像させられました。
無花果の花言葉のように生前の母は女であり
純粋であったようにも思えます。
けれどそこにはまた夫婦しか分からない愛情や絆などが
この短い中に秘められているのでただの短編とは思えなかったです。

まばたきがスイッチ
この主婦の仕事がまた生々しいけれど仕事として割り切るところが潔い。
夫とのことは割り切り、次のステップに徐々に移行しているところが
したたたかでスリリングでした。
こんな事は現実にはできないと思いますが、
誰でも密かに願望はあるのかと思ってしまいます。
いざという時の100万円は用意すべきか?
この100万円は高いのか?それとも安いのか?
なんて思ってしまいました。

さざなみを抱く
夫をやっと自分に振り向かせるチャンスだったのに
こんなラストになってしまうなんて切なすぎました。
夫婦としてはダメだったけれど、
人間同士だったら良い仲間だったなのかと思えました。
それが救いかどうか・・・
彼女らしくぶれない人生を送って欲しいと思ってしまいました。
このタイトルのさざ波というのは一見すると爽やかですが、
後から考えてみるとかなり意味深なことに思えます。

森と密
眠る無花果の続編というべきか、母親の視点で描かれています。
封印されていた過去を振り返りながら夫とのことも描かれていますが、
あまりにも過去の事が生々しいので読んでいるのが
少し苦しい気持ちになりました。
母であり妻ででありその前に一人の女であったということ。
それが強く印象に残る作品でした。

まだ宵の口
「それぞれの女の悲しみがある。
どんな母親だって、母親じゃない自分を夢見るよ。」
これは良いことなのか、悪いことなのか。
この作品では女性の立場として二極に分かれるかなと思えた作品でした。
けれどいくら女であったとしても
子供のことは二の次にしてというのはちょっと人としては
失格だなと思ってしまいました。

月影の背中
お金持ちで何不自由のない生活をしていた女性が、
結婚した相手が普通ではない人でなかったばっかりに
人生の歯車が少し狂い出したように思えました。
元々持っていた気質や性格のようなものもあるのかもしれないですが、
それが自分と合わなければ合う人を
求めてしまうのが性なのかもしれないです。
偶然にも行き着いた先で激しい恋に堕ちてしまって
この先がどうなるかも分からないけれど、
それでもそこにしがみついていくというのはやはりこれが
本望なのかと思ってしまいました。
「いつか一緒に天国に行こう。」という台詞は決まり事のような
言葉でもあるけれど、これもある意味での意味深言葉です。

六作品のうち前半の三作品は女性の秘めたる想いを中心に描かれていて、
読んでいてもまだそんなには苦痛にはならなかったですが、
後半の三作品はかなり積極的な女性の想いを中心に描かれていて
かなりリアルで生々しい表現があるので少し苦痛気味でした。

全作品の中に必ず金髪の若い男というのが登場してきますが、
これは何か深い意味があるのかなと思いましたが、
風貌が金髪の若い男という方が想像力をかき立てられるみたいなので
こんな風に出てくるのかと思いました。

この本のタイトルが主婦病となっていますが、
主婦病というと少し主婦を偏見した見方に思えるので
違うものが良いかなと思えました。

森さんの作品は初めてですが女性の心底に秘めているものを
リアルに生々しく描かれていると思いました。
なかなかこのような事を心のどこかで思っていても
いくら女性同士でも堂々と会話にして出来ることではないので、
そういった意味では余計に切実な問題だなと思ってしまいました。
何よりも女性はいくつ歳を重ねても女性なんだなと思わされて、
ちょっと女性とは?そして夫婦とは?と普通の観点からではなく、
裏の方向から見ることで考えさせられました。

R18受賞作品というだけあるので
あまりリアルにレビューも書けないので
ややオブラートに包んで書いています。
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