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益田ミリ 前進する日もしない日も [作者ま行]


前進する日もしない日も (幻冬舎文庫)

前進する日もしない日も (幻冬舎文庫)

  • 作者: 益田 ミリ
  • 出版社/メーカー: 幻冬舎
  • 発売日: 2011/02/09
  • メディア: 文庫


ストーリーは着付け教室に通ったり、旅行に出かけたり、引っ越ししたり。
仕事もお金も人間関係も自分なりにやりくりできるようになった
30代後半から40歳にかけての日々。
完全に「大人」のエリアに踏み入れたけれど、
それでも時に泣きたくなることもあれば、
怒りに震える日だってある。
悲喜交々を、きらりと光る言葉で丁寧に描く共感度一二〇%のエッセイ集。

今回は30代後半から40歳にかけの
日々の暮らしをエッセイにしたものなので
あらゆるジャンルで幅広く色々な場面で楽しめました。

益田さんとは同じ世代なので共感をする所が多々あり、
自分だけでは無い共通な考え方や想いなどがあったので安心しました。

特に大人という文字が入っている章が印象的で、
後半部分の生きるということもなかなか深みのある言葉が
あって好きです。

毒舌まではいかないですが、そのギリギリ具合に砕けた感じに
書かれていて、程よくゆるさと苦さのようなものが
入り混じって何も考えずにさらりと読めるところが良いです。

エッセイも良かったですが、
その間にある大きな文字で書かれてあるひと言も好きで
ついそこだけを先に読んでしまうこともありました。

歳を重ねていくということは思い悩むこともあるけれど、
時にはゆっくりと立ち止まってみたり、
またはまだできることがあるかもしれないという希望を
持ち合わせたりしながらまた前に歩んでいくものだなとも思いました。

益田さんの十年後にまた今と同じ気持ちで
出会えたら良いなと思いました。

北川恵海 ちょっと今から仕事やめてくる [作者か行]


ちょっと今から仕事やめてくる (メディアワークス文庫)

ちょっと今から仕事やめてくる (メディアワークス文庫)

  • 作者: 北川恵海
  • 出版社/メーカー: KADOKAWA/アスキー・メディアワークス
  • 発売日: 2015/02/25
  • メディア: 文庫


映画の公開をするというので興味を持ち手に取りました。

よくありがちなストーリーだと思いながら読んでいましたが、
心身共に衰弱していた隆の所に大阪弁のヤマモトが
タイミングよく出てきてテンポの良い会話のやり取りなどを
読んでいると楽しい気分になりました。

ヤマモトの「お前の人生は何のためにあると思う?
 人生は誰のためにあると思う?」というふとした言葉。
これから隆同様に人生というものを改めて見つめ直すことができ、
本当に大切なものは何かということを考えうことが出来ます。

中盤から人生について色々と考えさせられることがありますが、
隆と両親との電話での会話の一言一言には胸が詰まる思いがしました。
本当に大事な事を教えてくれて
心の支えとなるのはやはり両親からで
とにかく人生なんて生きていればいいことがある。
というこの一言に尽きるかと思いました。

そして後半では隆の行動と発言ががらりと変わり、
生き生きとしているのがとても爽快でした。
特に後半の隆の力説やメモの部分は
若い方や働いる方に読んでもらえると共感できることと思います。

働く人なら誰でも共感できると思いますが、
働いていない人でも人生を歩いていく上で
大事な言葉があります。
働いていく上で煮詰まってしまった人、
人生に少し躓いてしまった人
そんな時にこの作品を読んだら明日への活力になるかと思います。
テンポがよくて読みやすいのでお勧めです。


これが北川さんの本としても作品のデビュー作なので
これからの活躍もまた期待したいと思います。

柴崎友香 春の庭 [作者さ行]


春の庭 (文春文庫)

春の庭 (文春文庫)

  • 作者: 柴崎 友香
  • 出版社/メーカー: 文藝春秋
  • 発売日: 2017/04/07
  • メディア: 文庫


ストーリーは東京・世田谷の取り壊し間近のアパートに住む太郎は、住人の女と知り合う。
彼女は隣に建つ「水色の家」に、異様な関心を示していた。
街に積み重なる時間の中で、彼らが見つけたものとは―
第151回芥川賞に輝く表題作に、「糸」「見えない」「出かける準備」の
三篇を加え、作家の揺るぎない才能を示した小説集。

芥川賞受賞作ということで柴崎さんの作品を初めて手に取りました。
「春の庭」は水色の家を中心にそれを好きな人とアパートの住人との
日々の日常生活模様が淡々と描かれていています。
読解力の不足なのか想像力が乏しいのか
何が伝えたいのかよく分からず、心に響くものがなく、
頭にも特に残ることなく終わってしまいました。
ただいくら身内の物の形見と思っても
太郎がすり鉢と乳鉢をいつまでも持っていたのが薄気味悪かったです。
主人公の太郎が途中でわたしになったり、
視点も太郎から違う人へと変わったりと
一人称から二人称になったりと変化するので少しややこしかったです。
それが文章のトリックなのかとも思いましたが。

「糸」、「見えない」、「出かける準備」も
ある建物を中心としてそれを取り巻く人々の日常が描かれていましたが、
情景は事細かく描かれているので想像しやすいのですが、
人の心情や行動などがあまり描かれていないので
心にピンと伝わるものが無かったです。

つい何かが始まる気配があるとこれから何かが起きるのかと思い
それを期待しながら読み進めますがそれが無く淡々と過ぎていく。
こんな感じが現実の日常というものかとも思いました。

何とか理解しようと同じ個所を何度か読み返してみたりしたのですが、
あまり伝わるものがなくて、まるで国語の教科書でも
読んでいるかのようで肌にあまり合わなかったようでした。
このような独特な世界感が芥川賞それとも純文学というものかとも思えました。

柴崎さんの作品は他にもまだあるので、他の作品を読んでみたら
また印象も変わるかと思うのでその機会を楽しみにしたいと思います。

森絵都 みかづき [作者ま行]


みかづき

みかづき

  • 作者: 森 絵都
  • 出版社/メーカー: 集英社
  • 発売日: 2016/09/05
  • メディア: 単行本


ストーリーは「私、学校教育が太陽だとしたら、
塾は月のような存在になると思うんです」 昭和36年。
人生を教えることに捧げた、塾教師たちの物語が始まる。
胸を打つ確かな感動。著者5年ぶり、渾身の大長編。
小学校用務員の大島吾郎は、勉強を教えていた児童の母親、
赤坂千明に誘われ、ともに学習塾を立ち上げる。
女手ひとつで娘を育てる千明と結婚し、家族になった吾郎。
ベビーブームと経済成長を背景に、 塾も順調に成長してゆくが、
予期せぬ波瀾がふたりを襲い――。

日本の教育の在り方、学習塾の遍歴、義務教育の歴史など
学校教育と学習塾を対比しながら様々な方面から書かれていて
とてもよく分かりました。

それと並行して女系家族を主軸とした家族の物語、
塾の経営者としての奮闘が絡み合い家族と教育に対しての
テーマが踏ふんだん盛り込まれた作品だと思いました。

特に塾の創設にあたった千明は教育ということに関して、
人生をかけたといっても過言ではない行動には度肝を抜かれます。
教育ということに関しては誰にも負けず、
誰よりも優れていたのは本当に素晴らしいことだと思います。
けれどこれに振り回されてしまった娘たちは可哀想な気もしましたが、
後々のことを見てみると子供は親の背中を見て育つとは
よく言ったものでそれぞれの個性を持ちながら
立派に大人になっていったので良かったなと思います。

人生の節目などを太陽と月のなぞえられて、
そして月の満ち欠けに例えたりしてロマンチックだと思えたり、
その一方ではとても深い意味だったりしてこの本のタイトルに
まさに相応しいと思いました。

常に何かが欠けている三日月。
教育も自分と同様、そのようなものでもあるのかもしれない。
欠けている自覚があればこそ、人は満ちよう、
満ちようと研鑽を積むのかもしれない

この言葉がとても印象的で
これでこの作品の全てを語っているかと思いました。

理想の教育を志していた作品ですが、格差社会、
シングルマザーから生まれる貧困問題などと現代の日本が
大きく抱えている社会問題にも切り込んでいたので
考えさせられることもありました。
教育を通して社会全体の在り方も問われているようでした。

教育をテーマにした作品なので初めは硬い印象がありましたが、
読み進めていくうちに登場人物がとても生き生きとしていて
時にはくすりと笑える一コマがあり、人間味がとてもあるので
テンポよく読めて読みがいのある作品だと思います。

教育に携わる方には多く読まれたら良いなと思います。

原田マハ あなたは、誰かの大切な人 [作者は行]


あなたは、誰かの大切な人 (講談社文庫)

あなたは、誰かの大切な人 (講談社文庫)

  • 作者: 原田 マハ
  • 出版社/メーカー: 講談社
  • 発売日: 2017/05/16
  • メディア: 文庫


ストーリーは 勤務先の美術館に宅配便が届く。
差出人はひと月前、孤独のうちに他界した父。
つまらない人間と妻には疎まれても、
娘の進路を密かに理解していた父の最後のメッセージとは……(「無用の人」)。
歳を重ねて寂しさと不安を感じる独身女性が、
かけがえのない人に気が付いたときの温かい気持ちを描く珠玉の六編。

最後の伝言 Save the Last Dance for Me
月夜のアボカド A Gift from Ester´s Kitchen
無用の人 Birthday Surprise
緑陰のマナ Manna in the Green Shadow
波打ち際のふたり A Day on the Spring Beach
皿の上の孤独 Barragan´s Solitude

どの作品も人生の半ばにさしかかった独身女性が様々な別れに遭遇し、
その時の気持ちを切なくも温かく描かれた作品でした。

「最後の伝言」では父が典型的な髪結い亭主だったけれど、
それにもめげずに父の事を想いながら母の女としての想いが
最後まで込められていてくすりと笑えながらも
思わず涙が出そうになったり、
夫婦というのは外側からでは分からないというのがよく分かります。
こんな一途な母の想いがとても可愛らしくもありこんな女性にも憧れました。

「月夜のアボカド」の中の何気ない台詞がとても心に響きます。
いちばんの幸福は、家族でも、恋人でも、
友だちでも、自分が好きな人と一緒に過ごす、ってことじゃないかしら。
大好きな人と、食事で向かい合って、おいしい食事をともにする。
笑ってしまうほど単純で、かけがえのない、ささやかなこと。
高価なものがあったり、沢山の物に囲まれていても
やはり一番大事な人と食事をするというのが
どんなに人生の中で最高に幸せなんだと思わされました。
そしてその大事な食事で幸せをいかに充実させるかということもあり
大事な要素でもあると思いました。

「皿の上の孤独」は前半では元同僚のことばかり語っていたので
あまり主人公の女性のことは気になっていませんでしたが、
この女性も過去に大きな辛いことが幾度とあり、
お互いにそれを乗り越えてこの今という瞬間を生きてきているというのが
とても励まされました。
今日を生きた、だから明日も生きようという気持ち。
普通の人から見ていると何でもないことに思える日常でも、
困難な事を乗り越えている人から見るとこんな思いをしていながら
生きていると思うと共感せざるおえない気持ちになりました。

この作品では美術や建築物などの芸術に関することが出ていたので、
あまり馴染みがなかったのでそれがかえって新鮮で興味深かったです。
海外での話も多かったのでその光景が浮かぶのも良かったです。

どんなに辛く悲しいことでも誰かが必ずそばにいる。
そばにいる人が大切であるように、
自分もその人にとっては大切な人であるということに気付かされたり、
人は一人では生きていないということを改めて教えられた気がします。

原田さんの作品は何冊か読んでいますが、
さらりと読めてその中にジーンとくる言葉がくっきりと表れて
いつも心を清々しくさせてくます。
この作品でも同じくほんのりと心の中に温かい灯をともしてくれてました。
これから更に歳を重ねる上で大切な事を教えてくれた一冊でした。

乃南アサ それは秘密の [作者な行]


それは秘密の (新潮文庫)

それは秘密の (新潮文庫)

  • 作者: 乃南 アサ
  • 出版社/メーカー: 新潮社
  • 発売日: 2017/03/01
  • メディア: 文庫


ストーリーは美容に狂う前妻と彼女を奪っていった男、
なぜ二人は俺に会いに来るのか?なぜこんなに友人の母親が気になるのか?
隣室で虚ろで奇妙な音を出し続けるのは何者か?
どうしてあんなに不出来な部下に惹かれるのか?
なぜ暗闇で出会って顔も見えない彼女がこんなにも愛おしいのか?
なぜ、なぜ…。愛とも恋とも言えない、不思議な感情―。
心理描写の洗練を極めた珠玉の短編九編を収録。

ここに出てくる女性はどこか自分の生活に不満があり
くすぶっていてちょっと不甲斐ない感じでした。
でもどこか共感できてしまうところが多々あり、
長年一緒に男女が暮らしていると
こんな風な感情になってしまうのも仕方ないかと思ったりしました。
そして恋愛と結婚は別のものだということがよく分かります。
それにしても「ハズバンズ」の女性は自分の美貌を保つために
こんなことばかりするのは腹ただしくて
同じ女性として嫌な気分になりました。

「僕が受験に成功したわけ」と「それは秘密の」は
他のものとはタイプが違っていて
男性の視点から描かれているというのもありインパクトがありました。
特に「僕が受験には成功したわけ」では思春期の男の子の心境が
まざまざと描かれていてこの位の年代の男の子は
こんな想像をしているのかと思うと
ちょっと怖いような思いもしましたが、
らしいなという思いもしました。

「それは秘密の」はまるで夢物語というか男性の願望が
ここに表れているような気もしたり、
女性もある意味こんな一夜があったら日常から離れた嬉しい思い出に
なるなと思い少し微笑ましい思いがしました。

ミステリーとサスペンスと帯の表紙で書かれていたので
手に取ってみたのですが、そのようなことは全然なく
やられた感もそれ程ありませんでした。
ショートストーリが何作がありましたが、
この先も読んでみたいという所で終わってしまい
歯痒い思いがするので、もう少し長めにしてくれたら
良いなと思ってしまいました。

どの作品も読みやすく共感しやすいと思うので、
様々な感情に浸りたい時には読んでみるのも良いかと思います。

内館牧子 聞かなかった聞かなかった [作者あ行]


聞かなかった聞かなかった (幻冬舎文庫)

聞かなかった聞かなかった (幻冬舎文庫)

  • 作者: 内館 牧子
  • 出版社/メーカー: 幻冬舎
  • 発売日: 2017/04/11
  • メディア: 文庫


ストーリーは「残念だ」という自分の気持ちさえ断言できず、
「残念だったかな」と言ってしまった国会議員に笑止千万と言い放ち、
まともに挨拶できない子供は、親の責任!と苦言を呈する。
もはや日本の将来は、真っ暗どころの騒ぎではない!?
歯に衣着せぬ物言いに、著者本人も思わず怯む、直球勝負の痛快エッセイ五十編。
日本人の心を取り戻す必読の一冊!!

政治から芸能ニュースなど幅広い分野にわたって
率直な言葉で痛快に何事も書かれているので読みやすかったです。
日頃感じていた現代の日本をぶっちぎりに斬っていたので
自分だけがこんな考えたカをしていたのではないのだということにも
気付かせてくれたので安心しました。

特に日本語、言葉、話し方などに関してのことは
内館さんの書かれたことに納得です。
今の若い人達の話し方をはじめとして、
国会議員までが「かな」という日本語を話しているのはいかがものかと。
言葉は時代と共に変化をしていくと言われていますが、
公私混同せずに公の場で話す場合には
きちんとした日本語が必要だと改めて思いました。
また言葉の他にも今まで築かれた伝統や文化などは、
これからも大事にして守るべきだと思います。
多くの人達が不便だと思ったりおかしいと思ったところは
どんどんと改善し良いと思いますが、
ある程度の歴史は残していくべきだと思います。

内館牧子さんよりも先輩の佐藤愛子さんの「九十歳。何がめでたい」でも
この作品と同じような事が述べられていたので
やはり言葉の専門家の方なら共通な思いをしているのだというのがよく分かります。
やはり日本人なら日本人らしいことをこれからも守るべきかと思わされました。

人生のあらゆる場面に当てはまることについて書かれた言葉で、
心配事は横に並べずに縦に並べなさいということ。
幾つかある心配事を横に並べると、順位がつかない。
並行して全ておなじ重さだと思ってしまうからつらい。
だが、心配事を時間準に縦に並べてみると、一番新しい心配事だけが
目の前にあるに過ぎず、心が楽になる。
という言葉がとても印象的でした。

硬い話だけでなく水洗トイレがこれ以上便利にならなくていい話や
クロネコとペリカン、名前の間違えはくすりと笑えて面白かったです。

これからも色々な方面での活躍から辛口な言葉を交えて、
日本人を痛快にばっさりと斬ってもらいたいなと思えた作品でした。

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