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角田光代 ドラママチ [作者か行]


ドラママチ (文春文庫)

ドラママチ (文春文庫)

  • 作者: 角田 光代
  • 出版社/メーカー: 文藝春秋
  • 発売日: 2009/06/10
  • メディア: 文庫


ストーリーは「欲しいもの…子ども、周りの称賛、やる気、私の人生を変えるドラマチックな何か。
でも現実に私の目の前にあるのは、単調な生活に、どうしようもない男、中途半端な仕事…。
高円寺、荻窪、吉祥寺、東京・中央線沿線の「街」を舞台に、
ほんの少しの変化を待ち望む女たちの姿を描いた、心揺さぶる八つの短篇。

コドモマチ
ヤルキマチ
ワタシマチ
ツウカマチ
ゴールマチ
ドラママチ
ワカレマチ
シヨウカマチ 

何かを待つことをテーマにした八つの物語。
待つことをテーマにしていると分かっていても
女性は人生の節目などにいつも待っているのだなと思ってしまいました。
いくら行動的に活発に動いている人でも
男性にまつまるものだと自然と待ってしまうものかと。

中央線沿線の街を舞台にしているので、
どの作品にも喫茶店が出てきて
それがまた良い雰囲気を醸し出しているので
人生の待つ場所には喫茶店は良い場所なのかなと思いました。
そんな行きつけの喫茶店があるというのも
少し大人のような気分で羨ましいです。

印象に残った作品「ドラママチ」、「ワカレマチ」。
「ドラママチ」の 彼女のようになんとなく毎日がマンネリ化していても、
その中に何かドラマを待ってしまうそんな気持ちが共感できます。
こうゆう気持ちになるというのは元来女性というのは
お姫様になりたい願望があるのかと思ってしまいますが、
きっとそうやって強く生きていく方法なのだなと思えました。

「ワカレマチ」は冒頭から憎しみから始まり他の作品にはなかった
母と子の関係がリアルに描かれていて、
代表作でもある「対岸の彼女」、「八日間の蝉」、
「森に眠る魚」を彷彿させるようなものがあります。
実の母を知らず、義母は実の子達からも毛嫌いされているような
環境の中にいる女性が母になるというのはやはり
相当の決心が必要なのかと思わされました。
けれどラストの言葉にはどこか哲学的だけれど
人の流れをじっくりと見てきたからこその言葉であって、
とても希望も持てる言葉だと思いました。
 子供を作るということは、
 不要な別れをひとつ作り出すようなことに思えた。
 それでもいいような気がした。
 その子どもが成長して大人になったいつか、
 ともに入った喫茶店の光景を一瞬でも思い出してくれるなら、
 それもいいような気がした。

女性の大切な人生の節目に合わせてリアルに描かれているので、
共感できるところが多く読みやすいかと思います。
はっきりとした答えは出していないですが、
誰もが同じような悩みを抱えても
必ず希望の光が見えてくるという前触れが表れているので
また少し前を向いて歩いてみようかという気にさせられました。

待つことがテーマの作品ですが、
女性が待つことが多いのは巡り合う男性によって変わるのかとも
思わされます。
やはり環境と男性によって女性の幸せは変わるのでしょうか?
これは永遠のテーマなのかもしれないかとふと思いました。

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角田光代 森に眠る魚 [作者か行]


森に眠る魚 (双葉文庫)

森に眠る魚 (双葉文庫)

  • 作者: 角田 光代
  • 出版社/メーカー: 双葉社
  • 発売日: 2011/11/10
  • メディア: 文庫


ストーリーは東京の文教地区の町で出会った5人の母親。
育児を通してしだいに心を許しあうが、
いつしかその関係性は変容していた。
あの子さえいなければ。私さえいなければ…。
凄みある筆致であぶりだした、現代に生きる母親たちの深い孤独と痛み。
衝撃の母子小説。

以前角田さんの作品で読んだ「坂の途中の家」や「ひそやかな花園」と
同じようなママ友を中心とした内容なのかと思いましたが、
途中で解説に文京区幼女殺人事件をモチーフに描かれている
というのを知り考え深く読みました。

前半までは5人のママ友達がそれぞれの個性はあるものの
分け隔てなく楽しく過ごしているかのように見えて
一瞬羨ましい関係のようにも思えました。
ところがある一人の男の子の小学校受験をきっかけに
それまで関心のなかったママ友達に異変が起き始める。
そして受験だけでなく一人が妊娠したことによっても異変が起きはじめ
徐々にグループ内の関係が崩れはじめます。
楽しいママ友がいっぺんにして互いに比較したり、探り合ったり、
憎しみあったりしてここまでも関係が崩壊していくのかと
思ってしまいました。
互いに比較して嫉妬の塊になっていき、
しまいには自分で自分を苦しめてしまっている状態になり
後半部分でのお祭りに行く女性の怪しい行動には狂気を感じ、
女性の心理描写があまりにも鬼気迫る思いがして
読んでいて苦しかったです。

女性は物心ついた時から男性にはない独特の世界があり、
それは学生時代だけのことだと思っていましたが、
大人になってもいつの世代になっても抜けることはなく、
それによって人間関係が難しいと思わざるおえなくなってしまいます。
この中のママ友達も学生の時に苦い経験があるからこそ、
また同じような経験はしたくないからそこそこの付き合いをと
思っていたと思っていましたが、結局はまた同じようなことを
繰り返されてしまったというのはやりきれなさを感じます。
他人と比べると人は不要は不幸を背負いこむ。
人は人、自分は自分、その線引きをしっかりさせて
日々を送りたいと思っていても
ママ友となると自分だけではなく子供を交えての交際となると
難しいのだなと思いました。

角田さんは以前の作品でも女性の心理描写やママ友達の会話が
とても細かく表現されていて、特に今回も会話の部分では
とてもリアルでまるでどこかの立場端でも聞いているかのような
リアル感で吸い込まれました。

登場人物のどの女性もそれぞれの過去に辛い過去があったり、
今もなお人には言いたくても言えない悩みがあったりしても、
ママ友の前に出ると明るく気丈に逞しくふるまってしまい
それが余計にいらないトラブルの火種になってしまうのかとも思ったりしました。
誰が悪いとかそうゆうことではなく、
とにかく人と比べることでこんなにも苦しく辛くなってしまう
人間関係というのは嫌だなと思っていまいました。

核家族で少子化という昨今で同じ年頃の子どもを持つ主婦は
同じような境遇の人と出逢えたらどれだけ心強いものかと思います。
けれどせっかくのママ友も些細な事からどこかボタンを掛け違いで
こんなドロドロとした人間関係になってしまって、
親同士だけでなく子供まで嫌な思いをさせてしまうのは
残念なことだと思います。

私は子供がいないのでママ友付き合いという経験が無いですが、
時にはそんな関係が羨ましくも思ったりもしましたが、
このような事に巻き込まれしまうとしたら
そんな経験をしなくて良かったのかなとも思えたり、
女性の独特な世界感を改めて難しいなと思わされてしまいました。
けれど自分の価値観と合ったり心地良い人と出会えることも
あると思うので、そのような場合にはママ友という枠を超えて
人生の友になれるかと思います。

アメトークの「読書芸人」で紹介されて話題になった作品なので
手に取ってみましたが、読みやすく現代の女性の心を鷲掴みしていて
女性の日頃に対する本音も細かく描かれているかと思います。
女性の心の深い闇を知るには読み応えがありお勧めな作品かと思います。

北川恵海 ちょっと今から仕事やめてくる [作者か行]


ちょっと今から仕事やめてくる (メディアワークス文庫)

ちょっと今から仕事やめてくる (メディアワークス文庫)

  • 作者: 北川恵海
  • 出版社/メーカー: KADOKAWA/アスキー・メディアワークス
  • 発売日: 2015/02/25
  • メディア: 文庫


映画の公開をするというので興味を持ち手に取りました。

よくありがちなストーリーだと思いながら読んでいましたが、
心身共に衰弱していた隆の所に大阪弁のヤマモトが
タイミングよく出てきてテンポの良い会話のやり取りなどを
読んでいると楽しい気分になりました。

ヤマモトの「お前の人生は何のためにあると思う?
 人生は誰のためにあると思う?」というふとした言葉。
これから隆同様に人生というものを改めて見つめ直すことができ、
本当に大切なものは何かということを考えうことが出来ます。

中盤から人生について色々と考えさせられることがありますが、
隆と両親との電話での会話の一言一言には胸が詰まる思いがしました。
本当に大事な事を教えてくれて
心の支えとなるのはやはり両親からで
とにかく人生なんて生きていればいいことがある。
というこの一言に尽きるかと思いました。

そして後半では隆の行動と発言ががらりと変わり、
生き生きとしているのがとても爽快でした。
特に後半の隆の力説やメモの部分は
若い方や働いる方に読んでもらえると共感できることと思います。

働く人なら誰でも共感できると思いますが、
働いていない人でも人生を歩いていく上で
大事な言葉があります。
働いていく上で煮詰まってしまった人、
人生に少し躓いてしまった人
そんな時にこの作品を読んだら明日への活力になるかと思います。
テンポがよくて読みやすいのでお勧めです。


これが北川さんの本としても作品のデビュー作なので
これからの活躍もまた期待したいと思います。

角田光代 坂の途中の家 [作者か行]


坂の途中の家

坂の途中の家

  • 作者: 角田光代
  • 出版社/メーカー: 朝日新聞出版
  • 発売日: 2016/01/07
  • メディア: 単行本


ストーリーは刑事裁判の補充裁判員になった里沙子は、
子どもを殺した母親をめぐる証言にふれるうち、
いつしか彼女の境遇にみずからを重ねていくのだった―。
社会を震撼させた乳幼児の虐待死事件と“
家族”であることの心と闇に迫る心理サスペンス。

幼児虐待事件という重い題材をテーマにしながら
補充裁判員という立場から自分の事と家族のことに比較しながら
さらに掘り進められていて補充裁判員でさえも
こんなにも重圧のあるものだというのがとても伝わりました。

読み始めは軽い気持で読んでいましたが、
公判が進むにつれてまるで自分が裁判員になったかのように思えてきて、
里砂子と同じように自分だったらどうだろうかと考えながら
噛み締めるかのように読んでいました。

母親というのは子供を産めば徐々になっていくものだろうと
多くでは語られますが、子供を育てていくというのは
予想外のことやマニュアル通りに行かないことが
日々あることに気付かされます。
子供を産んだこともなく育児もしたことがないので
被告人や里砂子などの心境までには至らないにしても
狭い空間の中で子供と母親とは一対一の関係の中で
どう接していくのかが本当に大変なのかというのが伺い知ることが出来ます。

子育ても上手くいかない中で体調の変化、
そして彼女を取り巻く家族関係、特に夫や両親との付き合い方が
この被告人にとってはとトラブルがあり 、
それが秘火に油を注ぐきっかけになってしまったのかとも思えました。
子育てのこどだけでなく夫のちょっとした言動、
特にモラハラについてはこの作品では本当に怖く思えて
本を読んでいる途中から自分自身も変な錯覚に陥り
夫の言動を細かく見てしまいました。
幸いこのようなことはないにしろ、
その日の気分でちょっとしたことの誤解のずれから
夫婦のお互いのずれになってしまうというも怖く思えました。

そして里砂子も思っていた通りに裁判で語られていることが、
他人事ではなく誰もが日常的に送っている風景の中の出来事で
それが事件になってしまうというのがなんとも生々しかったです。

こんな思いをして女性というのは子育てをしているのかと思うと
脱帽する思いでした。
今の世の中は核家族で人間関係も希薄なので 、
子育てを一人でしていくのは実に孤独で大変かということが分かります。
夫、家族、保健師など身近な人にも本音が言えずに
がんじがらめになってしまこと。
このようなことがならないためにも何処か本音を言える場所が
少しでもあれば救いになるのかと思ったりもしました。
それと同時によくニュースなどでこの手の事件が報道されると
両親を悪く思ってしまう傾向がありますが、
この作品を読んだことでまたいっそう事件の見方や
考え方が変わりました。

こんなにも心が鬼気迫る思いがした作品は初めてかと思います。
考えさせられることが多々あり、
読み終わってもまだ整理しきれないところがあり
感情移入100%の社会派エンターテイメントと言わずには
いられない作品で読み応え十分でした。

川口俊和 コーヒーが冷めないうちに [作者か行]


コーヒーが冷めないうちに

コーヒーが冷めないうちに

  • 作者: 川口俊和
  • 出版社/メーカー: サンマーク出版
  • 発売日: 2015/12/07
  • メディア: 単行本(ソフトカバー)


ストーリーはお願いします、あの日に戻らせてください―。
「ここに来れば、過去に戻れるって、ほんとうですか?」
不思議なうわさのある喫茶店フニクリフニクラを
訪れた4人の女性たちが紡ぐ、家族と、愛と、後悔の物語。
第1話「恋人」結婚を考えていた彼氏と別れた女の話
第2話「夫婦」記憶が消えていく男と看護師の話
第3話「姉妹」家出した姉とよく食べる妹の話
第4話「親子」この喫茶店で働く妊婦の話

恋人との別れというのも辛い経験だと思いますが、
やはり家族との別れ、夫婦の間での大事な絆が消されていくということ
そして家族との大切な思い出との別れというのは
何事にも変えられないものがあって
心打つものがありぐっと胸を締め付けられる思いがします。
過去にもし戻れるとしたら
例え難しいルールがあったとしても
それを何としてでも守ってでも
きっとこの登場人物と同じようなことをすると思います。

例え過去に戻って未来の状況が変わらないとしても
あの時のあの一言を言っておけば良かったなという
場面には歳を重ねるごとに多くなっていくような気がします。

それぞれが未来が変えられなくても
過去に戻って伝えたい言葉。
なぜそこまでして過去に戻るのだろうかと思うかもしれないですが、
それはやはり人の心が変わるからだろうと思えました。
たった一言の大事な言葉が言えないだけで
これだけの人生を変えてしまうのだから
言葉というのは本当に大切だということが分かります。
人生を悔いなく生きるなんて大変なことだとは思いますが、
せめて大事な言葉を発する時には
心を込めて言葉を伝えていきたいなと思われました。

ストーリーは好きなのですが、
喫茶店という設定のせいか情景描写が粗削りのようで、
心理的描写なども乏しく全体的に少し物足りなさを感じました。
登場人物の名前もあまり馴染みのないものなので
いま一つ親近感が無く性別が少し分かりずらかった気がします。

本の帯や前評判などでは4回泣けますと書かれていましたが、
そこまで感情移入することが出来なかったですが、
センチメンタルな気分にさせられます。

とても読みやすくて一気に読めてしまったので
コーヒー好きな方はコーヒーを飲みながら
ゆっくりと読むには良いかと思います。


角田光代 ひそやかな花園 [作者か行]


ひそやかな花園 (講談社文庫)

ひそやかな花園 (講談社文庫)

  • 作者: 角田 光代
  • 出版社/メーカー: 講談社
  • 発売日: 2014/02/14
  • メディア: 文庫


ストーリーは幼い頃、毎年サマーキャンプで一緒に過ごしていた7人。
輝く夏の思い出は誰にとっても大切な記憶だった。
しかし、いつしか彼らは疑問を抱くようになる。
「あの集まりはいったい何だったのか?」 別々の人生を歩んでいた彼らに、
突如突きつけられた衝撃の事実。
大人たちの〈秘密〉を知った彼らは、自分という森を彷徨い始める――。
親と子、夫婦、家族でいることの意味を根源から問いかける、
角田光代の新たな代表作誕生。

タイトルを見ると何か意味深な事があるのではないかと思い
読み始めると共にこの世界の中に引きずり込まれ、
ページをめくる手が止まらなくなりそうでした。
けれど読み進めていくとタイトルの印象とは真逆の方向に行き
ラストにはとても清々しく力強さなどが味わえました。

AID(非配偶者間人工授精)という重いテーマでしたが、
その重さを感じさせなく、親子と家族ということを
改めて考えさせられた作品でした。

私は子供がいないので子供がいない人の気持の立場から読んでいましたが、
子供がいないことでの気持ちがよく表現されていて
共感することが多々ありました。
私の場合は窮地に晒されたことは無かったので、
ここまでの心境になることもなかったのですが、
ふとした時に子供がいたならばと思い返すことがあります。
けれど子供がいても、いなくても、
ただ生きなくちゃならない自分の人生があるってだけ
という文中の言葉に心がとても響きました。
どちらの人生にしても自分という主軸を大事にしていれば、
子供がいてもいなくても変わらないのかなとも思えたりして
今頃になって自分なりに少し納得をさせられた気がしました。

今まで自分の生きていた中で自分の出生について考えてみたり、
両親が自分を産むということをどんな気持ちで産んできたのかと
改めて思い返された気がします。
自分の出生に何かおかしいと気付いてしまったのであると
それがずっといつになっても心の棘となり、
その思いが拭い去れずに過ごしてしまうのかと思います。
けれどこれが自分一人ではなかったということが
かえってこの七人の場合には良かったのかもしれないかと思いました。
出生がどうであるとか、遺伝子がどうであろうかとか
様々な自分に対してマイナスな事がプラスに好じたように思えます。

ここではAIDがテーマとなっているのでそれがきっかけとなるのですが、
それがもし普通であったにしても
人生とはその後の生き方次第で、
どうにでもなるというのが大事だというのが分かります。
「どう生まれたかじゃなくで、どう生きるか、
 どう生きてきて、どう生きているか」
この言葉も何だか痺れる言葉で心に残ります。

この作品は読む人の立場によってもまた受け方がかなり違うと思いますが、
どんな立場によって読んでも改めて親子、家族、夫婦、友達を
深く考えさせられ自分が置かれている存在意義などを
教えてくれる心の大事な作品だと思います。

これから子供を授かりたい方の多くの方に
読んでもらえたら良いなとも思いました。

岸本佐和子 なんらかの事情 [作者か行]


なんらかの事情 (ちくま文庫)

なんらかの事情 (ちくま文庫)

  • 作者: 岸本 佐知子
  • 出版社/メーカー: 筑摩書房
  • 発売日: 2016/03/09
  • メディア: 文庫


内容はこれはエッセイ?ショート・ショート?それとも妄想という名の暴走?
翻訳家岸本佐知子の頭の中を覗いているかのような「エッセイ」と呼ぶには
あまりに奇妙で可笑しな物語たちは、毎日の変わらない日常を一瞬で、
見たことのない不思議な場所に変えてしまいます。
人気連載、待望の文庫化第二弾。
今回も単行本未収録回を微妙に増量しました。
イラストはクラフト・エヴィング商會。

今まで面白いと言われる本を読んでいたつもりですが、
この作品は今までに読んだことのないタイプで
エッセイのようでエッセイでないような不思議な世界です。
何の気なしで日常を送っている中で一瞬の的を得て、
普通の世界から異次元のおかしな世界に引きずり込まれ
それが想像もできないような世界で、
思わずくすりと笑えてしまう世界に嵌ってしまいました。
まるで異次元の宝石箱、いや宝箱か玩具箱かもしれないです。

それぞれ独特な視点からおかしかったですが、
中でも「素敵なアロマ生活」はツボでした。
素敵なアロマ道が語られるのかと思ったら、
「アロマでごわす。」のひと言でがらりとそれは打ち砕かれました。
もうこれを読んでしまったらアロマコーナーでは
脳裏ではこれが駆け巡ってしまいます。
他にも「物言う物」、「レモンの気持ち」、「D熱」、「読書体験」も
同じように考えたことがあったので頷きながら笑えてしまいました。

また文章の間にあるイラストが何とも個性的でユニークで
これも一緒に見ていると更に不思議な世界に迷走させられました。

岸本さんの作品はこれが初めてですが、
とても不思議な世界を楽しめたので、
これをきっかけに他の作品も読みたいと思いました。

日常の生活に疲れて何も考えたくない時などに
これを読んだらまた面白さが一段とアップしそうな作品だと思います。

角田光代 わたしの容れもの [作者か行]


わたしの容れもの

わたしの容れもの

  • 作者: 角田 光代
  • 出版社/メーカー: 幻冬舎
  • 発売日: 2016/05/26
  • メディア: 単行本


ストーリーは老いの兆しは、悲しいはずなのに、
嬉々として話してしまうのはなぜだろう? 加齢で知る、新しい世界。新しい自分。
「変わりゆくカラダ」を好奇心たっぷりに綴る。
人間ドックの結果だけで話が弾むことを知る、中年という時代。
カラダは若い頃の精彩を欠き、少しずつ老いへ向かう変化を見せます。
それは悲しいことであるはずなのに、でも、なぜか、変化はおもしろい! と、
作家の角田光代さんがワクワクした気持ちで、
ご自身の変わりゆくカラダを綴ったエッセイ集。

角田さんとさほど年齢的には変わらなく、
昨今の自分の身体の変化が妙に気になったので
自分と照らし合わせながら読んでいました。

私の場合は大病してから更に自分の身体と健康ということに敏感になり、
その上に女性特有の更年期というのはどうゆうものなのかというのを
興味深く読んでいました。

それにしても若い頃から角田さんはマラソンを完走をしたり、
色々なスポーツをしていて外見とは違いパワフルなので驚いていまいました。
このパワフルさが私にとってはとても羨ましいくらいでした。

健康を意識しながら、加齢ものことも否応なしに意識しないといけないですが、
あまりじっくりと見つめるのも怖い感じがするので、
横目でちらりと見ながらも前を向いて歩いていきたいなと思いました。
そして症状は違うけれど一人だけでなく誰でもが通る道であり、
同じ世代の女性が一緒に過ぎていくかと思うと
少し楽な気持ちにもなれました。

角田さんのように老いというのをただ劣った自分ととらえるのではなく、
新しい自分の変化に着目していくという考え方も大事だと思います。
これから訪れようとする見たことのない未知の世界に
恐れず、頑張り過ぎず、大切な容れ物を大事にしながら進んでいきたいと思いました。

忘れてならないのが、段々と文字も小さくなって見えにくくなり、
集中力も徐々に無くなってくると思うので、
それまでに読書を沢山楽しみたいと改めて思いました。

同じ世代やアラフォー世代の女性は特に頷く所があり、
共感できることが多々あると思うので
この世代の女性にはお勧めの作品だと思います。

角田光代 さがしもの [作者か行]


さがしもの (新潮文庫)

さがしもの (新潮文庫)

  • 作者: 角田 光代
  • 出版社/メーカー: 新潮社
  • 発売日: 2008/10/28
  • メディア: 文庫


ストーリーは「その本を見つけてくれなけりゃ、死ぬに死ねないよ」、
病床のおばあちゃんに頼まれた一冊を求め奔走した少女の日を描く「さがしもの」。
初めて売った古本と思わぬ再会を果たす「旅する本」。
持ち主不明の詩集に挟まれた別れの言葉「手紙」など九つの本の物語。
無限に広がる書物の宇宙で偶然出会ったことばの魔法はあなたの人生も動かし始める。
『この本が、世界に存在することに』改題。

本にまつわる九つの物語がどれも素敵な物語で
本好きにはたまらない作品でした。
一つ一つの物語に心をきゅっと掴まれたような感じで
切なくそして甘く大切に心の中に仕舞っておきたいような気持になりました。

九つの物語の中で好きなものは、
旅する本
ミツザワ書店
さがしもの
中でもさがしものの中のおばあちゃんの言葉はどれも心に響き
何度も読み返したい言葉でした。
「いつだってそうさ、できごとより、
 考えのほうが何倍もこわいのだ。」
そしてこの言葉を大事にしている主人公の
「できごとより考えがこわい。それで、できるだけ考えないようにする。
 目先のことをひとつずつ片付けていくようにする。
 そうすると、いつのまにかできごとは終わり、去って、記憶の底に沈着している。」
何度も反芻して身体の中に溶け込ませておきたい気持ちです。

今まで本が好きだとは思っていましたが、
この本でその答えが全部導かされたかのように清々しい思いになりました。
角田さんの手記の後にもあるように
沢山の本を読んで知識を入れることも必要で大切ですが、
それよりも自分の心を呼ぶ本を読んでいくことが
大事だということを語られていてとても共感しました。
ジャンルにこだわらずこれからも好きな本を読み、
色々な世界へと飛び込んでいきたいなと思いました。
この本に出会えて改めて本の良さが知れて本当に良かったです。

北村薫 八月の六日間 [作者か行]


八月の六日間 (角川文庫)

八月の六日間 (角川文庫)

  • 作者: 北村 薫
  • 出版社/メーカー: KADOKAWA/角川書店
  • 発売日: 2016/06/18
  • メディア: 文庫


ストーリーは40歳目前、雑誌の副編集長をしているわたし。
仕事はハードで、私生活も不調気味。
そんな時、山歩きの魅力に出逢った。
山の美しさ、恐ろしさ、人との一期一会を経て、
わたしは「日常」と柔らかく和解していく――。

山に登るということに少し興味があったのですが、
これが小説になるとどうなるのかが楽しみでしたが
冒頭から山を登っている情景が浮かび、
まるで自分が登山をしたような錯覚になり
とても楽しく清々しい気分になりました。

山を登るというのは自然で癒されというのもありますが、
山だけで出会う人との触れ合いが日常を忘れ非日常的になり、
さらに心を癒し心を洗ってくれるのだと思いました。

この本を読むと登山を行う人は何故山に登るのかと問うと
「そこに山があるから」と答える人が多いそうですが、
まさにその心境に当てはまるのかと思わされます。

けれど山登りというのはそんなに簡単なものではないということも教えてくれて、
例え目的の山に登れなくてもまた次回に登れればその山が呼んでいるということになり、
これは人生においても同じことだと思うので教訓になります。
山から教えられること自然から教えられることは多々あるとつくづく思いさせられました。

そして人には自分らしく居られる場所、
自分を取り戻す場所があるというのがとても羨ましく、
そんな場所が自分でも見つけられば良いなとも思いました。

主人公が出版社に勤務して本が好きだということなので、
作品中にもいくつかの実際にある本や作家さんとのインタビューなどが
織り交ぜられてあるのも読書好きな方にはたまらない要素で
個人的にはとても参考になりました。

これだけ山歩きについて詳しく書かれているのだから
著者も行うのかと思ったら、
解説には山には登らずに書かれていたというのには驚きました。

この本の中での登場する登山ルート、施設、交通機関の時刻などは
取材当時のものであって現在のものもではなく、
その他の登山時間など諸々も主人公の場合のものであるので、
くれぐれも気軽な気持ちで登山初心者、未経験の方は
真似をされないようにということでした。

この本をきっかけに山登りに関心が深くなり、
また自分の心を洗い流し全てを見つめ直したくなりました。
そしてとにかく山には楽しく自然に吸収されるものが、
沢山あるような素敵な場所であるということを教えてくれた作品でした。
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