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小川糸 たそがれビール [作者あ行]


たそがれビール (幻冬舎文庫)

たそがれビール (幻冬舎文庫)

  • 作者: 小川 糸
  • 出版社/メーカー: 幻冬舎
  • 発売日: 2015/02/10
  • メディア: 文庫


ストーリーはパリの蚤の市で宝物探しに奔走し、
モロッコでは夕日を見ながら屋台で舌鼓。
旅先でお気に入りのカフェを見つけては、本を読んだり、
手紙を書いたり、あの人のことを思ったり。
年末に帰ってきた自宅ではおせちカレンダーを作り、新しい年を迎える準備を整える。
ふとすると忘れがちな、当たり前のことを丁寧にする幸せを綴った大人気日記エッセイ。

2012年当時の日本での日常の出来事とヨーロッパ、モロッコなどを
旅した事が綴られています。
ヨーロッパを何か国か旅が出来て羨ましい限りです。
ベルリンは前回もベルリンに滞在をしてドイツを絶賛していましたが、
今回は更にお気に入りになっているのがよく分かります。
これだけドイツの良い所が分かるとドイツに行きたくなります。
ただドイツの文化、習慣などが良いだけではなく
ドイツ人に生き方もなかなか共感できることがあり発見も見られます。
「ノー・バイ・デー」いきすぎた過剰な消費行動に対して、
待ったをかけ、物を買わない日を設けること。
「デジタル解毒デー」デジタルに魂まで侵略されないよう
一日全くデジタルには触れない日を設ける。
これは日本でも導入されたらだいぶ生活スタイルがシンプルになるので
良いアイデアだと思いました。

時々小川さんが読んだ本で良さそうだと思うものがありますが、
今回興味を持ったのが
加賀まりこさんの『純情ババァになりました。』。
その中の文章で
変だと感じることに対し、「それは変です」と
声をあげることは大事だと思う。
そうゆう時、私は常にチンピラでありたい。
権威になびかず、強者の横暴に噛みつくチンピラでありたい。
加賀さんらしいところが出ていてかっこよく潔いと思います。
けれどそれだけでなく、常に何かの情報に耳を傾けて、
それに対して何かの反応を得るという大事なことだと
いうことが伺えました。

いつも小川さんの日記エッセイを読んで思うことが
やはり何気ない日常生活を丁寧に暮すということが伝わります。
そしてドイツ人の精神にも宿っている物や時間を
大切にするということが今回は加わったように思います。

日本人は目先の安い、高いにとらわれ過ぎていないだろうか。
何に、どうお金を使うか、それが人々の幸せを左右している。
この言葉は身につまされるような思いなので、
心のどこかにこの言葉を留めておきたいと思いました。

日記エッセイはこれで3作品目ですが、
のんびりして何も考えずに旅行に行った気分を味わえて、
その国の文化、習慣なども知れるので
また機会があったら読みたいと思います。

ちなみにタイトルのビールですが、
ビールの本ではないのでお間違えのないように。

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小川糸 にじいろガーデン [作者あ行]


にじいろガーデン (集英社文庫)

にじいろガーデン (集英社文庫)

  • 作者: 小川 糸
  • 出版社/メーカー: 集英社
  • 発売日: 2017/05/19
  • メディア: 文庫


ストーリーは夫との関係に苦しむ泉はある日、
電車のホームで思い悩む女子高生と知り合う。
互いの悩みを相談するうち二人は惹かれ合い、共に暮らす決意をする──。
新たな家族の形と幸せを問う感動長編。

章が変わるごとに泉、千代子、草介、宝の視点で描かれています。
本のカバーを見た時には普通の家族の物語だと思っていましたが、
読み始めたら全然違い同性同士の結婚、
その他の家族についての物語でした。
こうゆうタイプのものは初めてだったのでとても不思議な感覚でした。
今まで男性と結婚していたのに、突然表れた女の子によって
自分がそうゆう人だったのかと思うのは
どうゆう感覚なのだろうかと思ってしまいました。
けれどこの二人、そして家族を見ていると
性別とかそうゆう物を通り越して
人として自由に生きている感じがしました。
ここまでに至るには現代の日本でもまだまだ差別や偏見、
色眼鏡などで見てしまうので難しいなと思います。

心に響いた言葉
どんな人でも拒まずにありのままを受け入れる、開かれた場所。
この場所を、ほんのひと時でも自分らしさを取り戻す、
安らぎの場にしたかった。

はじっこでもちゃんと根を張って生きていけることを、
わたしは自分のこの体で証明したかった。
泉ちゃんの夢を、一日でも長く更新したかった。

楽しかった思い出を瓶に保存しておいて、
それをちびちびと出してはさ、
残りの人生を食いつないでいかなくちゃいけないんだもの
幸せな記憶が腐らないよう、
塩漬けとか味噌漬けとかにしておいて、
なくならないように配分しながら人生のおかずにして生きていく。

前半は割と温かく明るいイメージでしたが、
後半になって今までのとは違うテイストになり
想像もしていなかった展開になりとても悲しく胸の詰まる思いで
一気に読んでしまいました。
けれど暗い場面では暗くなり過ぎないように
文に色彩がついているかのように丁寧書かれていたので
あまり暗くならずにはすみました。

この物語の場合は親同士も世間ではあまり見かけないタイプで
周囲に受け入れられるまではそれなりに苦労を重ねてきています。
けれどそれ以上に息子や娘は本当は本人達の前では言えない
苦労していることなどが切実に語られて、
特に息子の草介の場合は 娘の宝とは違ストレートに表現することもなく、
また違う想いも重ねていたこともあり
とても辛い立場だったなと思いました。

家族、結婚という形について改めて考えさせられました。
そして生きるということについてまた深く考えさえられた作品でした。



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短編復活 赤川次郎、浅田次郎、伊集院静 [作者あ行]


短編復活 (集英社文庫)

短編復活 (集英社文庫)

  • 作者: 赤川 次郎
  • 出版社/メーカー: 集英社
  • 発売日: 2002/11/20
  • メディア: 文庫


内容は創刊15周年をむかえる「小説すばる」に掲載された
短編小説群から、よりすぐりの秀作16編を
集英社文庫編集部が精選!短編の冬、
といわれて久しい時代にあえて世に問う、究極のアンソロジー。

回想電車 赤川 次郎
角筈にて 浅田 次郎
特殊料理 綾辻行人
蛍ぶくろ 伊集院 静
岩  北方謙三
猫舐際 椎名 誠
38階の真実の国  篠田 節子
プレーオフ 志水辰夫
苦労判官太平記  清水 義範
梅試合 高橋克彦
盛夏の毒 坂東 眞砂子
超たぬき理論  東野 圭吾
さよなら、キリハラさん  宮部 みゆき
キャンパスの掟  群 ようこ
いるか療法・・・<突発性難聴> 山本文緒
青の使者  唯川 恵

それぞれの作品の印象
回想電車 
短いのに後からぞーっとして余韻を残す。

角筈 
父との切ない思い出

特別料理 
おぞましく気持ち悪くて読んでいて不快なので早読み

蛍ぶくろ 
アンニュイでレトロ感のある甘くも波乱の女の一生が
この短い中に詰まっていて独特の世界観 これが読むのをドキドキとします。
一途な女の心がよく現れている。
ひるまない女性の強さがカッコ良かったです。

岩 
ハードボイルド余韻に浸れます。

猫舐祭 
ミステリーとファンタジー?ちょっと不気味な雰囲気

38階の真実の国 
逃げ場の無い最悪な場所
人の人生がこんな風に一つ一つリストをチェックして潰していくようなもの
この言葉に共感してしまいました。
ハラハラドキドキと緊迫感があって迷走。

プレーオフ
自分の人生に煮詰まった男性が、本当の大事な事が見つかり、
それが大どんでん返しのようで面白かったです。

苦労判官大変記 
義経の一生が現代風で斬新なアイデアでユニークな結末でした。

梅試合 
あまり意味が分からなかったです。

真夏の毒
思いもよらない結末で妻を毒から救ったのか、
それとも嫉妬からなのかそれがミステリー。
超たぬき理論 たぬきから転じてUFOになる理論が面白いです。
この先の理論も知りたいところでした。
ラストのオチに吃驚です。

さよなら、キリハラさん 
お祖母さんが家族の中で一人ぼっちになってしまったことを
家族のみんなに知らせたかったのかなと思い少し切ない思いがしました。
生活の音をこんなに沢山文字にするとこんな雑踏の中で暮らしているのかと痛感。

キャンパスの掟 
学生時代にはよくある光景で、持ちつ持たれずの関係かなと思ったりもしました。

いるか療法・・・<突発難聴> 
自分も同じような経験をしている所があるので
かなり共感できるところがありました。
徐々に心を開いて未来に向かっている所に励まされました。

青の使者 
こんなに短いストーリーの中に鯉の煌びやかさと優雅さとは裏腹に
二回に渡り怖さがあり余韻を引きます。女性のしたたかさも怖いです。


今年の短編集三部作を読んで面白かったのでこの本を手に取りました。
今回は復活というテーマとはあまり関係ないようなものから
ジャンルも様々でホラー、ミステリー、
爆笑小説まであって楽しめました。

良かった作品は「角筈」、「蛍ぶくろ」、
「超たぬき理論」、「さよなら、キリハラさん」、「いるか療法」。

生理的に受け付けない作品が何作がありましたが、
「特別料理」はあまりにも気持ち悪すぎるので
読む時には覚悟をして下さい。食事中はやめて下さい。

一つ一つの作品にけっこう作家さんの色が出ているような感じがして、
どれも濃厚な作品でした。
短編小説は読んだことのない作家さんを発掘できるところが良いです。
また短編集が出たら読もうかと思います。

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奥田英朗 我が家の問題 [作者あ行]


我が家の問題 (集英社文庫)

我が家の問題 (集英社文庫)

  • 作者: 奥田 英朗
  • 出版社/メーカー: 集英社
  • 発売日: 2014/06/25
  • メディア: 文庫


ストーリーは「夫は、仕事ができないらしい」。
会社のこと、実家のこと、ご近所づきあい……
どんな家庭にもある、ささやかだけれど悩ましい「問題」の
数々をリアルかつ温かく描く短編集。

甘い生活?
ハズバンド
絵里のエイプリル
夫とUFO
里帰り
妻とマラソン 

甘い生活?
夫のためにと思って甲斐甲斐しく主婦業をしていた妻に対して、
夫は独身生活が長かったせいか息苦しくなってくるという贅沢な悩み。
夫も悪いとは思いつつ隠れて寄り道をしていたけれど、
お互いに気を遣いすぎはよくないかと。
そして二人は夫婦喧嘩を真正面にすることによって
お互いの本当の心が分かり合えて良かったかと思います。
結婚生活の初めの方にはお勧めな作品かと思います。

ハズバンド
夫が仕事が出来ないというのを知ってしまい
そのためには美味しいお弁当を持たせた方が良いと思い
健気に励ましているのが微笑ましいです。
生まれてくるお腹の赤ちゃんのためにも
夫のためにも支えているのが良いです。
そしていつの間にかそれが楽しい時間となり
生き甲斐にもなってくるなんて
こんな専業主婦なんて良いなと思いました。

絵里のエイプリル
多感な思春期に両親の離婚話を知ってしまうという
なんともスリリングな問題が描かれています。
親に直接聞いて本当の事を知るのか、
もし聞いて本当だったらその後をどうしようかと思い悩む気持ち。
親としての気持ちも分かる年頃でもあるけれど、
まだそこまで一人前ではない心の揺らぎが絶妙でした。
あれだけ悩んでいたのに弟の言葉には意外性もあり
やはり男の子はしっかりしているのだというのを垣間見れた気がします。

夫とUFO
夫の口からUFOと交信が出来るようになって・・・などと
訳の分からないことを言い始めたらば普通ならば
気がおかしくなっとか、冗談だろうと思ってしまうと思います。
けれどこの妻が夫と想う気持ちから
意外な発想になりラストには微笑ましい光景になっていて
いるところが可愛らしい妻だなと思いました。
ここまで出来ている奥さんはなかなかいないと思うので感服です。

里帰り
名古屋と北海道の里帰りをすることになって、
今まで気が付かなかったそれぞれの地域の特性や
家族、親戚などの付き合い方が分かり
これがきっかけとなり里帰りの良さを見出されています。
自分の新婚当初を思い出させてほのぼのとした気持ちになりました。

妻とマラソン
家日和の続編になっているのがこの作品です。
何も趣味や目標のない妻を心配している夫も
良い旦那さんであり、控えめな奥さんが夫をしっかりと
支えているのも良い奥さんだと思います。
普段は表だって何かをするわけではないけれど、
妻が何か成し遂げてみようとする所に家族の先頭を
切って応援してあげようという気持ちがとても羨ましく思えました。

夫からの視線で描かれている「甘い生活?」、「里帰り」、
「妻とマラソン」、
妻からの視線で描かれている「ハズバンド」、「夫とUFO」、
そして唯一子供の視点から描かれている「絵里のエイプリル」と
それぞれの視点から夫婦像が描かれているので男性が読んでも
女性が読んでも共感できるかと思います。

それぞれの家庭でささやかな問題が起こりますが、
普通にありがちな日常的なことで親近感がわき、
頷かされたり、ほろりとしたりしてとても読みやすいです。

夫になる人がどれもユニークな人なので、
こんな夫だから妻がしっかりとして
良い夫婦になれるのかと思ったりしました。
これから結婚する方にはお勧めな一冊だと思います。

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奥田英朗 家日和 [作者あ行]


家日和 (集英社文庫)

家日和 (集英社文庫)

  • 作者: 奥田 英朗
  • 出版社/メーカー: 集英社
  • 発売日: 2010/05/20
  • メディア: 文庫


ストーリーは家庭内の「明るい隙間」を描く傑作短編集
ネットオークションにはまる専業主婦、会社が倒産し主夫となった夫、
ロハスに凝る妻に辟易する小説家の夫……など。
あたたかい視点で描く新しい家族の肖像。
第20回柴田錬三郎賞受賞作。(鑑賞/益田ミリ)

サニーデイ
ここが青山
家においでよ
グレープフルーツ・モンスター
夫とカーテン
妻と玄米御飯 の6編


サニーデイ ネットオークションにはまる専業主婦の話
ネットオークションをする醍醐味がよく分かり、
思わず家の中の不用品を見渡してしまいました。
くれぐれも本人の大切な物には無断で出品しないことは
これで肝に銘じられた気がします。
これからは専業主婦が家の中の不用品を探して
パソコンに張り付いていて良い思いをしていたら
ネットオークションに嵌っているかもしれないので家族の人は
自分の大事な物をしっかりと手元に置いておいた方が
良いかもしれないです。

ここが青山  会社が突然倒産し、主夫になってしまったサラリーマン
主夫になってしまったことから、今まで自分がしてこなかったことに
興味を持ちそれが天職までと思えるほどになるのは転機だったと思います。
仕事が無くなってことによって自分の大切なこと
家族や夫婦の大切さ、環境の大切さなどが分かり
夫婦の絆が良くなったことが伺えてとても清々しい思いがしました。

家においでよ  別居生活から理想の生活へと始まった男の話
別居生活から湿っぽい話になるかと思ったらい、
久しぶりの一人暮らし生活になりこれぞ男の憧れの生活
というものを突き詰めていて読んでいて異性でありながら
羨ましさとこうゆう生活で生き甲斐というのも生まれるなと思えました。
ラストには微笑ましくハッピーエンドで心が温まりました。

グレープフルーツ・モンスター 変な夢を見るようになった主婦
長年主婦をしていると外部との接点が少なくなるので、
主人公のようにここまでの想像力は働きませんでしたが
同じような事をふと浮かんだりしたことがあるので思わず頷いしまい
くすりと笑えてしまいました。
柑橘系の香りがする人がいたらこれを思い出してしまいそうです。

夫とカーテン  夫の事業と妻の才能発揮で夫婦で活躍する
普通ならば夫が仕事を変えてばかりいたら、それはそれで困るのですが、
妻のちょっとした発想の転換から良い方向へと変わっていき、
実はこの夫婦は息の合う二人だったと再確認できたかと思います。

妻と玄米御飯  ロハスに凝り始めた妻と隣人たちに困惑する作家 
ロハスとまではいかないですが、家族の健康の事を思うと
この妻のようにロハスに嵌ってしまう人もいるかと思います。
夫婦や家族の会話に思わず思い当ることがありどきりとしてしまいました。
この作品はもしかして奥田さん自身のことが描かれているのかなと
思いながら読んでいたのでとても面白かったです。
その後の展開も知りたいです。

どの作品もどこにでもある日常的な生活の中にあるので、
とても親近感が持てます。
読み終わった後には心地良く笑えてほっとさせられてました。
こんな作品を読むと家族、夫婦って本当に良いなと思いました。

短編少年 伊坂幸太郎他 [作者あ行]


短編少年 (集英社文庫)

短編少年 (集英社文庫)

  • 作者: 伊坂 幸太郎
  • 出版社/メーカー: 集英社
  • 発売日: 2017/05/19
  • メディア: 文庫


今人気の作家さんが少年をテーマにした
短編作品のアンソロジーということで、
どれもそれぞれに個性が出ていて、
少年をあらゆる角度から描かれていて楽しめました。

どの作品に共通していえることだと思うのですが、
少年はどれも青春の甘酸っぱさが出ていて清々しく思えました。
女性は幼い頃から既に独特な世界があるので、
余計に少年の方が爽やかさが残ったのが印象的でした。

特に印象的だった作品は「逆ソクラテス」、
「四本のラケット」、「夏のアルバム」、「僕の太陽」でした。

少年をまるでその側で見ているかのような心境になったり、
心が揺らいでくじけそうになっている時には
思わず励ましたくなったりと学生時代にタイムスリップしたみたいに
きゅんとした心にもなれました。

「夏のアルバム」ではストーリーが少し深刻だった
ということもありますが、少年だけでなく、
一緒にいる子ども達がとてもいじらしい気持ちが
繊細に描かれていたので読み終えた時には涙がこぼれそうな切なく
悲しい気持ちで一杯になりました。
この夏の出来事がきっとこの少年は一生忘れられないのだろうかとも思えました。

クラスに一人はいそうな男子、少年に出会えた気がして
様々な気持ちにさせられました。
また懐かしい幼い記憶と並行しながら読めるので、
楽しく青春の一ページをめくったような思いにもなれたので
こうゆう短編集も良いなと思います。

読んだことのない作家の作品もここで読めたので、
これをきっかけに他の作品も読んでみたくなりました。
どの作品も読みやすいので男女問わず、
世代を問わずに読めると思います。

荻原浩 幸せになる百通りの方法 [作者あ行]


幸せになる百通りの方法 (文春文庫)

幸せになる百通りの方法 (文春文庫)

  • 作者: 荻原 浩
  • 出版社/メーカー: 文藝春秋
  • 発売日: 2014/08/06
  • メディア: 文庫


ストーリーはオレオレ詐欺の片棒担ぎ、突然歴女化した恋人、成功法にこだわる青年……
この時代を滑稽に、でも懸命に生きる人々を描く七つの短篇。

原発がともなす灯の下で
俺だよ、俺。
今日もみんなつながっている。
出逢いのジャングル
ベンチマン
歴史がいっぱい
幸せになる百通りの方法 の七つの短編

どれも最後に軽いオチがあり思わずくすりと笑えてしまって
楽しく読むことができて幸せなひと時でした。

誰にでもある普通の日常生活の中から
苦い経験や面白い経験などが綴られているので
とても庶民的な笑いで親近感が得られ、
心がやんわりと温まりながらも
少し皮ったところもあってその塩梅も良かったです。

どれも面白くて一つ一つが鮮明に思い出されますが、
「俺だよ、俺。」、「今日もみんなつながるっている。」、
「出逢いのジャングル」、「ベンチマン」が強く印象に残っています。
ベンチマンの最後は清々しい気持ちにもなって、
明日から頑張ってみようという気持ちにさせられます。

タイトルだけと見ると自己啓発本のように思われますが、
そんなことは全然なく気軽に読めて、
読んだ後には心がなんだかほっこりとした気持ちになるので
心が疲れた方にはお勧めな作品だと思います。

小川糸 こんな夜は [作者あ行]


こんな夜は (幻冬舎文庫)

こんな夜は (幻冬舎文庫)

  • 作者: 小川 糸
  • 出版社/メーカー: 幻冬舎
  • 発売日: 2014/02/06
  • メディア: 文庫


スローリーは古いアパートを借りて、ベルリンに2カ月暮らしてみました。
土曜日は青空マーケットで野菜を調達し、日曜日には蚤の市におでかけ。
窓の外から聞こえるストリートの演奏をBGMに、
読書をしながらお茶を飲んだり、さくらんぼのジャムをことこと煮たり。
ベルリンの街と人々が教えてくれた、
お金をかけず楽しく暮らす日々を綴った大人気日記エッセイ。

2011年当時の日本での出来事とベルリンでアパートに
暮らした日々の事が綴られています。
今回も丁寧な暮らしぶりやスローライフ、
スローフードについて書かれていて
とても真似ができるとは思いませんが、
少しは見習いたかったり参考にしてみたい所もありました。

ベルリンでの生活では以前書かれたヨーロッパの旅行記とはまた違い
一歩生活に密接したドイツの歴史、ドイツ人の質実剛健さと
ドイツ人の根底に流れている魂のようなものを感じられました。
今の日本があるのもドイツのお蔭でもあるのも知り、
まだドイツのあらゆる精神を日本でも受け入れられたら良い思いました。

今回は2011年で3月11日の東日本大震災当時の事が書かれていて、
震災当時の事を思い出し、あれから何が日本では変わったのだろうかと
改めて考えてしまいました。
ここで述べられているように電力、原子力などについては
一時的には変わったようにも思えましたが
休止していた原発では再稼働を始めたり、
復興という名前ばかりで人の心の復興はまだまだだと思われます。

そしてベルリンで生活していた時に訪れたユダヤ博物館、
ホロコーストの事が書かれていて、現地で味わうことしか出来ない
生々しい歴史の現実をうかがい知ることが出来ました。
ドイツ人はきちんと過去を清算して忘れないように
努力しているなと思いました。
二度と同じ事の過ちを繰り返さないようにと願ったのに、
大きな戦争は無いにしても今の世界情勢は危ういです。
この二つの事に関しては次世代に受け継がなければらないと思うので、
いつまでも関心を持たなくてはいけないと思いました。

文中ものもあった
実際に旅に出られなくても、
本の中を自由に旅することができる
まさにこの作品でもドイツという国を旅することが出来て
改めてまた本の良さを分かり得た気がします。

日記エッセイはこれで2作品目ですが、
ゆっくりと何も考えずに楽しめることが出来るので
また読みたいと思います。

内館牧子 聞かなかった聞かなかった [作者あ行]


聞かなかった聞かなかった (幻冬舎文庫)

聞かなかった聞かなかった (幻冬舎文庫)

  • 作者: 内館 牧子
  • 出版社/メーカー: 幻冬舎
  • 発売日: 2017/04/11
  • メディア: 文庫


ストーリーは「残念だ」という自分の気持ちさえ断言できず、
「残念だったかな」と言ってしまった国会議員に笑止千万と言い放ち、
まともに挨拶できない子供は、親の責任!と苦言を呈する。
もはや日本の将来は、真っ暗どころの騒ぎではない!?
歯に衣着せぬ物言いに、著者本人も思わず怯む、直球勝負の痛快エッセイ五十編。
日本人の心を取り戻す必読の一冊!!

政治から芸能ニュースなど幅広い分野にわたって
率直な言葉で痛快に何事も書かれているので読みやすかったです。
日頃感じていた現代の日本をぶっちぎりに斬っていたので
自分だけがこんな考えたカをしていたのではないのだということにも
気付かせてくれたので安心しました。

特に日本語、言葉、話し方などに関してのことは
内館さんの書かれたことに納得です。
今の若い人達の話し方をはじめとして、
国会議員までが「かな」という日本語を話しているのはいかがものかと。
言葉は時代と共に変化をしていくと言われていますが、
公私混同せずに公の場で話す場合には
きちんとした日本語が必要だと改めて思いました。
また言葉の他にも今まで築かれた伝統や文化などは、
これからも大事にして守るべきだと思います。
多くの人達が不便だと思ったりおかしいと思ったところは
どんどんと改善し良いと思いますが、
ある程度の歴史は残していくべきだと思います。

内館牧子さんよりも先輩の佐藤愛子さんの「九十歳。何がめでたい」でも
この作品と同じような事が述べられていたので
やはり言葉の専門家の方なら共通な思いをしているのだというのがよく分かります。
やはり日本人なら日本人らしいことをこれからも守るべきかと思わされました。

人生のあらゆる場面に当てはまることについて書かれた言葉で、
心配事は横に並べずに縦に並べなさいということ。
幾つかある心配事を横に並べると、順位がつかない。
並行して全ておなじ重さだと思ってしまうからつらい。
だが、心配事を時間準に縦に並べてみると、一番新しい心配事だけが
目の前にあるに過ぎず、心が楽になる。
という言葉がとても印象的でした。

硬い話だけでなく水洗トイレがこれ以上便利にならなくていい話や
クロネコとペリカン、名前の間違えはくすりと笑えて面白かったです。

これからも色々な方面での活躍から辛口な言葉を交えて、
日本人を痛快にばっさりと斬ってもらいたいなと思えた作品でした。

東直子 いとの森の家 [作者あ行]


([ひ]3-1)いとの森の家 (ポプラ文庫)

([ひ]3-1)いとの森の家 (ポプラ文庫)

  • 作者: 東 直子
  • 出版社/メーカー: ポプラ社
  • 発売日: 2017/04/05
  • メディア: 文庫


ストーリーは都会から小さな村に引っ越してきた加奈子は、
不思議なおばあさん・おハルさんとの出会いを通し
命について考えはじめる。
福岡・糸島の豊かな自然の中で、成長していく少女の姿が瑞々しく描かれた物語。
永作博美・樹木希林主演でNHKドラマにもなった話題作!第31回坪田譲治文学賞受賞作。

子供の目線で描かれていて読みやすくて
幼少期の頃に戻ったような気分になりました。
主人公と同じように小学生の頃に転校生の経験があるので
加奈子の不安な気持ちが手に取るように分かったり、
保健室でのイメージというのもこんな感覚だったのかもと
遠い昔の記憶と感覚が甦ってきて思わず身震いしてしまいそうでした。

都会から自然が豊富な環境に引っ越したことで、
それまで味わえなかった四季折々の過ごし方、
それと共におハルさんとの日々の会話や暮らし方などから
自然と命の大切さなどを伝えていてとても心温まり、
こんな幼少期を少しは経験してみたかったなと思いました。

おハルさんと出会ったことで戦時中の事、移民の事、死刑囚の事など
両親や学校や教科書では教わることのできないことを
子ども達にも優しく丁寧に教えていくというのが
大事だということが分かり、
ここから学ぶことが沢山ありました。
これから次世代に向けて伝えていかなければならないということが、
まだまだあるのだと思わされました。

この本は普通の文庫本ですが、
子どもでも読めるように分かりやく書かれているので
多くの子どもさん達が読んで人にとって大切な事を
吸収して欲しいなと思えた作品です。
児童書にもなっているのでそちらもお勧めだと思います。

「猫と子どもは遠慮なんてしなくていいのよ。」
これでおハルさんの人柄の良さ、
心の温かさが全部滲み出ているかと思える一言で
とても心に残ります。

世代を問わずに多くの方に読んでもらって
殺伐としたこの現代だからこそ
この作品で失いかけた大事な物を取り戻し、
心を豊かに出来たら良いなと思えました。

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