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石井遊佳 百年泥 [作者あ行]


百年泥 第158回芥川賞受賞

百年泥 第158回芥川賞受賞

  • 作者: 石井 遊佳
  • 出版社/メーカー: 新潮社
  • 発売日: 2018/01/24
  • メディア: 単行本


ストーリーは私はチェンナイ生活三か月半にして、
百年に一度の洪水に遭遇した。
橋の下に逆巻く川の流れの泥から百年の記憶が蘇る!
かつて綴られなかった手紙、眺められなかった風景、聴かれなかった歌。
話されなかったことば、濡れなかった雨、
ふれられなかった唇が、百年泥だ。
流れゆくのは――あったかもしれない人生、群れみだれる人びと……


芥川賞受賞作ということで手に取りました。

実に不思議な面白さでした。
インドで暮らしていた時に突然の洪水に遭遇。
そしてその洪水を見ながら自分の半生を思い起こしながら
様々な事が綴られています。
この話の移り変わりが、特にこれといった言葉ではなく、
さらりとしてその事柄に移行していて見事です。
まるで洪水の中から泥が出てくるかのようにプカプカと。
別の例えでいうならば、大阪のおばちゃんが普段何気なく
道端で会話をしているかのように、
話題がどんどんと変わっていくので、
息をつく間もなく話にのめり込んでいって
あっという間に読んでしまいました。

インドに行ったことがないので分からないですが、
暮らしてみたらきっとこんな感じだろうなという雰囲気がありました。
今はインドは先進国なので日本語を学びたいという人達が
沢山いるかと思います。
けれどそんな中にも様々な環境で学んでいて、
日本人とはまた違った独特の文化、宗教を垣間見ることが出来ました。
まだインドでは昔ながらの古いしきたりに縛られてしまい、
女性に生まれたことで苦しんでいることや
カースト制度などの階級で貧しい環境で苦しんでいることなど
読んでいてとてもいたたまれない気持ちになりました。

主人公の幼少の頃が書かれていましたが、
これは他の部分とは違った温度感で淋しさ、切なさなどが
ひしひしと伝わります。
このように育った環境がその後の人生に関わったのか
どうかは人それぞれだと思いますが多少影響あったのかとも思えました。
けれど何はともあれ様々な人生経験をしたことで、
ひょんなことからインドにも暮らせて人とはまた違った人生を
過ごせたことで良かったのではないかと思いました。

ストーリー展開が早く、情景、心理描写も細かく描かれているので
とても読みやすい作品だと思います。
一度とは言わずにまた再読しても面白い作品だと思いました。
石井さんの作品は他には読んだことがないので、
これをきっかけに読んでみたいと思います。
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岡部えつ 嘘を愛する女 [作者あ行]


嘘を愛する女 (徳間文庫)

嘘を愛する女 (徳間文庫)

  • 作者: 岡部えつ
  • 出版社/メーカー: 徳間書店
  • 発売日: 2017/12/01
  • メディア: 文庫



ストーリーは大手食品メーカーに勤める由加利は、
研究医で優しい恋人・桔平と同棲5年目を迎えていた。
ある日、桔平が倒れて意識不明になると、彼の職業はおろか名前すら、
すべてが偽りのものだったことが判明する。
「あなたはいったい誰?」由加利は唯一の手がかりとなる桔平の書きかけの小説を携え、
彼の正体を探る旅に出る。彼はなぜ素性を隠し、彼女を騙していたのか。
すべてを失った果てに知る真実の愛とは―。
もうひとつのラストに涙する、小説版「嘘愛」。

映画の予告を観て気になり手に取りました。
今まで一緒に住んでいた相手が突然意識不明で倒れ、
それと同時に全てのものが偽りだということが
判明してしまったらと自分に置き換えてみると
想像するだけで頭が混乱して落胆してしまいそうです。
けれど主人公の由加利は当初はショックのあまりに
何もやる気を起こさなかったものの、
今までの5年間というものを取返しする思いも含めて
徐々に身辺調査に本腰を入れていく姿が
自分の気持ちに正直に真っ直ぐな人だなと思いました。

由加利の視点と桔平の視点からと描かれているので、
心境の移り変わりがよく伺えました。
桔平の書いていた小説が桔平の秘密の手掛かりとなっていきますが、
ラストの部分はあやふやな終わりになっているので
明るい未来になっているのか、
それとも逆になっているのかとても気になります。
私としては明るい未来がなぞらえて見えましたが。

それにしてもタイトルが「嘘を愛する女」ということで
とても意味深なイメージなストーリーだと思いましたが、
それとは逆で桔平の過去にはとても苦しくも暗い過去があり、
それまでのストーリーの印象からがらりと変わり、
とても悲しくも切なくもあり感涙しそうでした。

人は誰かと一緒に何かを築いていたとしても、
実は一人ぽっちでいたりしたり、
他人には言えない事を悩み抱え込んでいるということが
往々にしてあるかと思います。
けれどそれをその時に出会う人によって
様々な物事を解決して、乗り越えながら一緒に生きていくのが
愛情なのかとも思いました。
全てを失ってから本物の愛情が分かるというのも
この作品から分かる気がしました。

原作だと思って読んでたらノベライズ本だったようですが、
とても読みやすくて途中からはミステリーのような
ハラハラ感もあって楽しんで読めました。
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荻原浩 神様からひと言 [作者あ行]


神様からひと言 (光文社文庫)

神様からひと言 (光文社文庫)

  • 作者: 荻原 浩
  • 出版社/メーカー: 光文社
  • 発売日: 2005/03/20
  • メディア: 文庫


ストーリーは大手広告代理店を辞め、「珠川食品」に再就職した佐倉凉平。
入社早々、販売会議でトラブルを起こし、
リストラ要員収容所と恐れられる「お客様相談室」へ異動となった。
クレーム処理に奔走する凉平。
実は、プライベートでも半年前に女に逃げられていた。
ハードな日々を生きる彼の奮闘を、神様は見てくれているやいなや…。
サラリーマンに元気をくれる傑作長編小説。

再就職というので弱い人間というか不器用な人間のタイプなのかなと
読む前は想像していましたが、読んでいるとちょっと違い
嫌な言い方をしてしまうと仕事が出来てしまい
ちょっと他人からは鼻につくタイプの人間かなと思いました。

入社早々からトラブルを起こしそしてお客様相談室へ異動となって
どうなるかと思いましが、徐々に良い意味での社員に成長していました。
この会社にいる上司や周りにいる同僚の人々がかなり特徴的で
面白いので思わず吹き出しそうになりました。
特に主人公の佐倉と同じ職場の篠崎とのやりとりを見ていると
アニメの美味しんぼの山岡のいる部署に似ていると思ってしまい
余計に面白くなってしまいました。

それにしてもお客様相談室へのクレームが多様にありすぎて、
思わずそれはクレームとは違うだろうと突っ込みたくなりました。
お客様クレームがこれだけ来るということは
この会社の商品に対してだけでなく、会社全体の組織、人事など
会社を取り巻く全てのものがこの会社の場合は
おかしなものが沢山あったので余計に問題は山積みです。
そうした問題にラストでは佐倉の底力が発揮して
意外な展開になり爽快な気分になりました。

仕事の他にリンコのことも並行して出てきますが、
リンコのことは仕事のように上手く事が運んでいっていなかったので
もどかしい気がしました。

シンプルに行こう。
ややこしいことは、もういらない。
手の中にしっかりと握りしめられるものが、
ほんのひとつか、ふたつあればいい。
この言葉が印象的で、
仕事に息詰まった方に元気と勇気をくれるお勧めな作品だと思います。
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今村夏子 星の子 [作者あ行]


星の子

星の子

  • 作者: 今村夏子
  • 出版社/メーカー: 朝日新聞出版
  • 発売日: 2017/06/07
  • メディア: 単行本


ストーリーは主人公・林ちひろは中学3年生。
出生直後から病弱だったちひろを救いたい一心で、
両親は「あやしい宗教」にのめり込んでいき、
その信仰は少しずつ家族を崩壊させていく。
前作『あひる』が芥川賞候補となった著者の新たなる代表作。


アメトーク読書芸人の光浦さんの読んだ本で
紹介されていたので手に取りました。

新興宗教を信じる両親の元に育っているちひろ。
宗教を信じてみたことが無いので
信じるということがどうゆうことなのかよく分からないですが、
子供の頃だとこんな風にぼんやりとした存在なのかなと思ってしまいました。


幼い頃には分からなかった他の家庭との違いが
成長するにつれて子供もある程度理解をしつつも、
宗教というものを信じていないことがあったりして、
それが思春期の時期を重なると複雑な心境になるのだなと思いました。

ちひろの唯一の楽しみだった絵を描くことも、
初恋があったことも両親が宗教に入っていたことが
少し関係していたのでこれが
一瞬にして儚くも消えてしまったことが少し可哀想で
切ない思いがしました。

ラストには親子一緒に肩を並べて夜空を見て
一見ほのぼのとした温かい光景のような気もしましたが、
この後の親子関係はどうなってしまうのだろうかという
不穏な余韻を残しています。
このような環境で育っていた子供はいずれは
両親と同じように宗教を信じることになるのか、
それともちひろの場合は違う人生を歩むのかが知りたくなります。

芥川賞候補作ですが特に難しくて読みにくい訳でもなく、
変に凝った作風ではなくてサクサクと読めました。
といっても感想を書くには難しい作品でした。

今村さんの作品は初めてですが、
これをきっかけに他の作品も読んでみたいと思える作品でもありました。
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恩田陸 木洩れ日に泳ぐ魚 [作者あ行]


木洩れ日に泳ぐ魚 (文春文庫)

木洩れ日に泳ぐ魚 (文春文庫)

  • 作者: 恩田 陸
  • 出版社/メーカー: 文藝春秋
  • 発売日: 2010/11/10
  • メディア: 文庫


ストーリーは舞台は、アパートの一室。
別々の道を歩むことが決まった男女が最後の夜を徹し語り合う。
初夏の風、木々の匂い、大きな柱時計、そしてあの男の後ろ姿―
共有した過去の風景に少しずつ違和感が混じり始める。
濃密な心理戦の果て、朝の光とともに訪れる真実とは。
不思議な胸騒ぎと解放感が満ちる傑作長編。

サスペンス、ミステリーという振り込みで、
一室の部屋で殺人事件の話題から男女の過去や秘密、
そして恋愛話などといつの間にか話がすり替わっていたという
不思議な空間に陥りました。

読解力が乏しいせいか
読み終わってもまだ明確に分からないことが多々あって
すっきりしないことがあります。
二人の未来も知りたいのでこの先も読みたい気がします。
好きな相手の言葉のやり取りには
男性は割と包みながら話していましたが、
女性は踏ん切りが良いのか
割と核心に迫る話し方なのでゾクゾクさせられて
上手く心理作戦に嵌りました。

それにしても一晩がこんなに長くて濃密になるなんて、
お互いの想い方が違うとこんな別れ際になるのかなというのが
うかがい知ることが分かります。

恩田さんの作品は「蜜蜂と遠雷」がかなり印象的に思っていたので、
この作品を読むと少し違って消化不良に思えてしまいました。
人によって作品の好き好きがあると思うので、
このような作品が好きな方にはお勧めかと思います。



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小川糸 キラキラ共和国 [作者あ行]


キラキラ共和国

キラキラ共和国

  • 作者: 小川 糸
  • 出版社/メーカー: 幻冬舎
  • 発売日: 2017/10/25
  • メディア: 単行本


ストーリーはツバキ文具店は、今日も大繁盛です。
夫からの詫び状、憧れの文豪からの葉書、大切な人への最後の手紙…。
伝えたい思い、聞きたかった言葉、承ります。
『ツバキ文具店』待望の続編。

ツバキ文具店を読みとても良かったので、
その続編としての作品だったので手に取りました。

今回は鳩子がミツローさんと結婚してからの事柄が
主に描かれています。
結婚をして夫になったミツローさんとの距離感、
そして一番大切なのはQPちゃんとの接し方。
今まではご近所さんという気軽なお付き合いだったけれど、
結婚をきっかけにそれまでの関係とはまた違ってくるので
それに悩んでいた鳩子が徐々にご近所でもなく、
変に肩肘を張らずに母親になっていこうとしている姿が
微笑ましかったです。

そして一番の心のひっかかりであった美雪さんの存在が、
こんな風にして自然に受け入れられて、
形や姿はないけれど四番目の家族として
受け入れているのが良かったです。

目の見えない少年がお母さんに感謝の手紙を書いたことは、
本当に名誉ある仕事でした。
こんな手紙を息子から貰ったら涙ものだと思います。
少年も素晴らしいですが、今までそう育てたお母さんも
素晴らしいと思いました。

鳩子がミツローさんの故郷へ初めて帰省の場面では
何だか遠い昔の記憶を思い出し初心を思い出させされました。
事情を知っている家族達もみんな温かく良い人ばかりで
よりいっそう鳩子とミツローに幸せになって欲しいと思えました。

作品の中で心に響いた言葉は
人生は長いとか短いじゃなくて、その間をどう生きたかだと思うから。
隣の人と比べて、自分は幸せとか判断するんじゃなくて、
自分自身が幸せだと感じるかどうかだもん。

今回も何人かから代筆の仕事の依頼があり、
手紙を書いていますが、前回の「ツバキ文具」よりも
少し印象が薄い感じがしたのでもっと素敵な手紙を
沢山読みたかったです。

今回も鎌倉が舞台なので鎌倉の自然、
歴史ある街並みなどが四季を通して楽しめました。
この作品を読むとゆったりとした時間の流れになり、
穏やか気分に浸れるので、
また丁寧に読み返したくなります。
そして最後には大切な誰かに手紙を書きたくなる気分になります。

少し気分が落ち込んだ時にも
私達にはいつだって美しい光りに包まれている。
だからきっと大丈夫だ。私にはキラキラがある。
この言葉も魔法のように唱えれば、
きっと前に進めるというのがまた心を癒してもらえて
心が温かくなりました。

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荻原浩 冷蔵庫を抱きしめて [作者あ行]


冷蔵庫を抱きしめて (新潮文庫)

冷蔵庫を抱きしめて (新潮文庫)

  • 作者: 荻原 浩
  • 出版社/メーカー: 新潮社
  • 発売日: 2017/09/28
  • メディア: 文庫


ストーリーは幸せなはずの新婚生活で摂食障害がぶり返した。
原因不明の病に、たった一人で向き合う直子を照らすのは(表題作)。
DV男から幼い娘を守るため、平凡な母親がボクサーに。
生きる力湧き上がる大人のスポ根小説(「ヒット・アンド・アウェイ」)。
短編小説の名手が、ありふれた日常に訪れる奇跡のような一瞬を描く。
名付けようのない苦しみを抱えた現代人の心を解き放つ、花も実もある8つのエール。

ヒット・アンド・アウェイ
冷蔵庫を抱きしめて
アナザーフェイス
顔も見たくないのに
マスク
カメレオンの地色
それはいわない約束でしょう
エンドロールは最後まで  8篇を収録

ヒット・アンド・アウェイ
暴力夫から我が子を守るために、平凡だった女性がボクシングをはじめ、
身を守るために筋力、体力を徐々につけていきますが、
それと共に精神的も力強くなっていくところが
読んでいてワクワクしました。
そしてついにラストにはガツンと一発
くらわしていたのがとても爽快です。

冷蔵庫を抱きしめて
幸せな新婚生活のはずなのに摂食障害をぶり返してしてしまった女性。
想像を絶するような行動をしてしまいこの結末は
どうなるのだろうかと思ってしまいましたが、
夫の意外なひと言でそこから抜け出せることが出来る道が出来て
結婚というのはまさに二人三脚ということが伝わり微笑ましかったです。

アナザーフェイス
平凡な営業マンがブログやSNSの更新に没頭してしまいます。
これはよくありがちな話ですがそこからが面白く、
SNSからのコメントでは自分の顔をそっくりな人を見かけたということが
書き込まれ、それが徐々に自分の近くまでに及んでついには・・・
これは自己顕示欲から出ているものか、それとも本当なのかなどを
色々と想像してみると面白いですが、それよりも正体が分からずに、
徐々に近距離になってくるところはミステリーのようで
背筋がぞっとしてきました。
肩を叩いたのは誰でしょう?

顔も見たくないのに
ダメ男にある恋人が出来たのをきっかけに別れた女性。
それなのに元彼がテレビでしょっちゅう見かけることになり気になってしまう。
本当なら顔も見たくないのに相手なのに
何故か元彼と比較してしまったりとして気にしてしまう。
何の因果か分からないけれどこうゆう心理になる心境が
上手く描かれていました。
こうゆう人って学生時代ならばクラスに一人はいるかなとも
思ってしまいました。

マスク
風邪をひいたことをきっかけにマスクを着用した男性が
顔を隠せるということが居心地良くなり常にマスクをしてしまうことに。
確かにマスクを付けるというのは何となく特別な思いがする気がします。
現に若い世代の人達の間でも同じような現象があり、
風邪をひいていなくてもマスクを常に着用して
自分をガードしているというのを聞いたことがあります。
本来のマスクの意味ではなく人から自分という存在を消すためにマスクを
していたのに、いつの間にか人目をひく存在になってしまい、
そして行きついた所では本当の自分を見て欲しいと言ったり。
人はある程度見られているから良いのかもしれないと思いました。
それにしてもラストまでおかしくて何度も読みたくなります。

カメレオンの地色
恋人が遊びに来ることになり部屋の片付けをしていたところ
ゴミと思い出が一緒になりタイムスリップ気分というところです。
片付けをしていると彼女のような行動や心境になるので共感出来ます。
だた思い出だけでなく本当は彼女自体が
どうなのかなというところがツボでした。
果たして昔の懐かしいアノ人どうしているでしょうと
追跡したくなる気分でした。

それは言わない約束でしょう
転勤をきっかけに一人暮らしをするようになった男性。
いつしか心で思っていたことがいつの間にか口から出てしまうことに。
決してここまでは言ってはいけない、でも言いたくなるという心理を
よくついていて痛快でした。
本音と建前は必要だけれど、時には声に出してストレスも
発散したくなってしまうだろうなと
少し同情もしてしまいました。
でもここまで酷い事を言われた相手だとしたらショックかもと
複雑な胸中とユーモラスに描かれているので
思わずくすりとしてしまいました。

エンドロールは最後まで
結婚をしない女として決意をした女性が思いかけずに
出会った男性と恋に落ちたけれど、段々と雲行きが怪しくなる。
結婚をしないと決意をしても愛しい人が現れれば
誰だって目の前のものに飛付きたくなるもの。
けれどそれを簡単に受け入れるのではなく
彼女らしく受け入れている姿が見事でした。
最後の台詞の
エンドロールは最後まで見なければ、たとえハッピーエンドでなくっても。
それが劇場に足を踏み入れた人間の義務だから。
はキメ台詞のようで恰好良いです。


どの作品も面白くて読みやすいのですいすいと読んでしまいました。
特にアナザフィス、マスクは映像化にしても面白いかと思います。
荻原さんは心に沁みて泣ける作品も良いですが、
このようなユーモラスたっぷりな作品も上手なので好きです。
これからもこのような短編集を楽しみにしています。


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小川糸 たそがれビール [作者あ行]


たそがれビール (幻冬舎文庫)

たそがれビール (幻冬舎文庫)

  • 作者: 小川 糸
  • 出版社/メーカー: 幻冬舎
  • 発売日: 2015/02/10
  • メディア: 文庫


ストーリーはパリの蚤の市で宝物探しに奔走し、
モロッコでは夕日を見ながら屋台で舌鼓。
旅先でお気に入りのカフェを見つけては、本を読んだり、
手紙を書いたり、あの人のことを思ったり。
年末に帰ってきた自宅ではおせちカレンダーを作り、新しい年を迎える準備を整える。
ふとすると忘れがちな、当たり前のことを丁寧にする幸せを綴った大人気日記エッセイ。

2012年当時の日本での日常の出来事とヨーロッパ、モロッコなどを
旅した事が綴られています。
ヨーロッパを何か国か旅が出来て羨ましい限りです。
ベルリンは前回もベルリンに滞在をしてドイツを絶賛していましたが、
今回は更にお気に入りになっているのがよく分かります。
これだけドイツの良い所が分かるとドイツに行きたくなります。
ただドイツの文化、習慣などが良いだけではなく
ドイツ人に生き方もなかなか共感できることがあり発見も見られます。
「ノー・バイ・デー」いきすぎた過剰な消費行動に対して、
待ったをかけ、物を買わない日を設けること。
「デジタル解毒デー」デジタルに魂まで侵略されないよう
一日全くデジタルには触れない日を設ける。
これは日本でも導入されたらだいぶ生活スタイルがシンプルになるので
良いアイデアだと思いました。

時々小川さんが読んだ本で良さそうだと思うものがありますが、
今回興味を持ったのが
加賀まりこさんの『純情ババァになりました。』。
その中の文章で
変だと感じることに対し、「それは変です」と
声をあげることは大事だと思う。
そうゆう時、私は常にチンピラでありたい。
権威になびかず、強者の横暴に噛みつくチンピラでありたい。
加賀さんらしいところが出ていてかっこよく潔いと思います。
けれどそれだけでなく、常に何かの情報に耳を傾けて、
それに対して何かの反応を得るという大事なことだと
いうことが伺えました。

いつも小川さんの日記エッセイを読んで思うことが
やはり何気ない日常生活を丁寧に暮すということが伝わります。
そしてドイツ人の精神にも宿っている物や時間を
大切にするということが今回は加わったように思います。

日本人は目先の安い、高いにとらわれ過ぎていないだろうか。
何に、どうお金を使うか、それが人々の幸せを左右している。
この言葉は身につまされるような思いなので、
心のどこかにこの言葉を留めておきたいと思いました。

日記エッセイはこれで3作品目ですが、
のんびりして何も考えずに旅行に行った気分を味わえて、
その国の文化、習慣なども知れるので
また機会があったら読みたいと思います。

ちなみにタイトルのビールですが、
ビールの本ではないのでお間違えのないように。

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小川糸 にじいろガーデン [作者あ行]


にじいろガーデン (集英社文庫)

にじいろガーデン (集英社文庫)

  • 作者: 小川 糸
  • 出版社/メーカー: 集英社
  • 発売日: 2017/05/19
  • メディア: 文庫


ストーリーは夫との関係に苦しむ泉はある日、
電車のホームで思い悩む女子高生と知り合う。
互いの悩みを相談するうち二人は惹かれ合い、共に暮らす決意をする──。
新たな家族の形と幸せを問う感動長編。

章が変わるごとに泉、千代子、草介、宝の視点で描かれています。
本のカバーを見た時には普通の家族の物語だと思っていましたが、
読み始めたら全然違い同性同士の結婚、
その他の家族についての物語でした。
こうゆうタイプのものは初めてだったのでとても不思議な感覚でした。
今まで男性と結婚していたのに、突然表れた女の子によって
自分がそうゆう人だったのかと思うのは
どうゆう感覚なのだろうかと思ってしまいました。
けれどこの二人、そして家族を見ていると
性別とかそうゆう物を通り越して
人として自由に生きている感じがしました。
ここまでに至るには現代の日本でもまだまだ差別や偏見、
色眼鏡などで見てしまうので難しいなと思います。

心に響いた言葉
どんな人でも拒まずにありのままを受け入れる、開かれた場所。
この場所を、ほんのひと時でも自分らしさを取り戻す、
安らぎの場にしたかった。

はじっこでもちゃんと根を張って生きていけることを、
わたしは自分のこの体で証明したかった。
泉ちゃんの夢を、一日でも長く更新したかった。

楽しかった思い出を瓶に保存しておいて、
それをちびちびと出してはさ、
残りの人生を食いつないでいかなくちゃいけないんだもの
幸せな記憶が腐らないよう、
塩漬けとか味噌漬けとかにしておいて、
なくならないように配分しながら人生のおかずにして生きていく。

前半は割と温かく明るいイメージでしたが、
後半になって今までのとは違うテイストになり
想像もしていなかった展開になりとても悲しく胸の詰まる思いで
一気に読んでしまいました。
けれど暗い場面では暗くなり過ぎないように
文に色彩がついているかのように丁寧書かれていたので
あまり暗くならずにはすみました。

この物語の場合は親同士も世間ではあまり見かけないタイプで
周囲に受け入れられるまではそれなりに苦労を重ねてきています。
けれどそれ以上に息子や娘は本当は本人達の前では言えない
苦労していることなどが切実に語られて、
特に息子の草介の場合は 娘の宝とは違ストレートに表現することもなく、
また違う想いも重ねていたこともあり
とても辛い立場だったなと思いました。

家族、結婚という形について改めて考えさせられました。
そして生きるということについてまた深く考えさえられた作品でした。



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短編復活 赤川次郎、浅田次郎、伊集院静 [作者あ行]


短編復活 (集英社文庫)

短編復活 (集英社文庫)

  • 作者: 赤川 次郎
  • 出版社/メーカー: 集英社
  • 発売日: 2002/11/20
  • メディア: 文庫


内容は創刊15周年をむかえる「小説すばる」に掲載された
短編小説群から、よりすぐりの秀作16編を
集英社文庫編集部が精選!短編の冬、
といわれて久しい時代にあえて世に問う、究極のアンソロジー。

回想電車 赤川 次郎
角筈にて 浅田 次郎
特殊料理 綾辻行人
蛍ぶくろ 伊集院 静
岩  北方謙三
猫舐際 椎名 誠
38階の真実の国  篠田 節子
プレーオフ 志水辰夫
苦労判官太平記  清水 義範
梅試合 高橋克彦
盛夏の毒 坂東 眞砂子
超たぬき理論  東野 圭吾
さよなら、キリハラさん  宮部 みゆき
キャンパスの掟  群 ようこ
いるか療法・・・<突発性難聴> 山本文緒
青の使者  唯川 恵

それぞれの作品の印象
回想電車 
短いのに後からぞーっとして余韻を残す。

角筈 
父との切ない思い出

特別料理 
おぞましく気持ち悪くて読んでいて不快なので早読み

蛍ぶくろ 
アンニュイでレトロ感のある甘くも波乱の女の一生が
この短い中に詰まっていて独特の世界観 これが読むのをドキドキとします。
一途な女の心がよく現れている。
ひるまない女性の強さがカッコ良かったです。

岩 
ハードボイルド余韻に浸れます。

猫舐祭 
ミステリーとファンタジー?ちょっと不気味な雰囲気

38階の真実の国 
逃げ場の無い最悪な場所
人の人生がこんな風に一つ一つリストをチェックして潰していくようなもの
この言葉に共感してしまいました。
ハラハラドキドキと緊迫感があって迷走。

プレーオフ
自分の人生に煮詰まった男性が、本当の大事な事が見つかり、
それが大どんでん返しのようで面白かったです。

苦労判官大変記 
義経の一生が現代風で斬新なアイデアでユニークな結末でした。

梅試合 
あまり意味が分からなかったです。

真夏の毒
思いもよらない結末で妻を毒から救ったのか、
それとも嫉妬からなのかそれがミステリー。
超たぬき理論 たぬきから転じてUFOになる理論が面白いです。
この先の理論も知りたいところでした。
ラストのオチに吃驚です。

さよなら、キリハラさん 
お祖母さんが家族の中で一人ぼっちになってしまったことを
家族のみんなに知らせたかったのかなと思い少し切ない思いがしました。
生活の音をこんなに沢山文字にするとこんな雑踏の中で暮らしているのかと痛感。

キャンパスの掟 
学生時代にはよくある光景で、持ちつ持たれずの関係かなと思ったりもしました。

いるか療法・・・<突発難聴> 
自分も同じような経験をしている所があるので
かなり共感できるところがありました。
徐々に心を開いて未来に向かっている所に励まされました。

青の使者 
こんなに短いストーリーの中に鯉の煌びやかさと優雅さとは裏腹に
二回に渡り怖さがあり余韻を引きます。女性のしたたかさも怖いです。


今年の短編集三部作を読んで面白かったのでこの本を手に取りました。
今回は復活というテーマとはあまり関係ないようなものから
ジャンルも様々でホラー、ミステリー、
爆笑小説まであって楽しめました。

良かった作品は「角筈」、「蛍ぶくろ」、
「超たぬき理論」、「さよなら、キリハラさん」、「いるか療法」。

生理的に受け付けない作品が何作がありましたが、
「特別料理」はあまりにも気持ち悪すぎるので
読む時には覚悟をして下さい。食事中はやめて下さい。

一つ一つの作品にけっこう作家さんの色が出ているような感じがして、
どれも濃厚な作品でした。
短編小説は読んだことのない作家さんを発掘できるところが良いです。
また短編集が出たら読もうかと思います。

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