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荻原浩 幸せになる百通りの方法 [作者あ行]


幸せになる百通りの方法 (文春文庫)

幸せになる百通りの方法 (文春文庫)

  • 作者: 荻原 浩
  • 出版社/メーカー: 文藝春秋
  • 発売日: 2014/08/06
  • メディア: 文庫


ストーリーはオレオレ詐欺の片棒担ぎ、突然歴女化した恋人、成功法にこだわる青年……
この時代を滑稽に、でも懸命に生きる人々を描く七つの短篇。

原発がともなす灯の下で
俺だよ、俺。
今日もみんなつながっている。
出逢いのジャングル
ベンチマン
歴史がいっぱい
幸せになる百通りの方法 の七つの短編

どれも最後に軽いオチがあり思わずくすりと笑えてしまって
楽しく読むことができて幸せなひと時でした。

誰にでもある普通の日常生活の中から
苦い経験や面白い経験などが綴られているので
とても庶民的な笑いで親近感が得られ、
心がやんわりと温まりながらも
少し皮ったところもあってその塩梅も良かったです。

どれも面白くて一つ一つが鮮明に思い出されますが、
「俺だよ、俺。」、「今日もみんなつながるっている。」、
「出逢いのジャングル」、「ベンチマン」が強く印象に残っています。
ベンチマンの最後は清々しい気持ちにもなって、
明日から頑張ってみようという気持ちにさせられます。

タイトルだけと見ると自己啓発本のように思われますが、
そんなことは全然なく気軽に読めて、
読んだ後には心がなんだかほっこりとした気持ちになるので
心が疲れた方にはお勧めな作品だと思います。

小川糸 こんな夜は [作者あ行]


こんな夜は (幻冬舎文庫)

こんな夜は (幻冬舎文庫)

  • 作者: 小川 糸
  • 出版社/メーカー: 幻冬舎
  • 発売日: 2014/02/06
  • メディア: 文庫


スローリーは古いアパートを借りて、ベルリンに2カ月暮らしてみました。
土曜日は青空マーケットで野菜を調達し、日曜日には蚤の市におでかけ。
窓の外から聞こえるストリートの演奏をBGMに、
読書をしながらお茶を飲んだり、さくらんぼのジャムをことこと煮たり。
ベルリンの街と人々が教えてくれた、
お金をかけず楽しく暮らす日々を綴った大人気日記エッセイ。

2011年当時の日本での出来事とベルリンでアパートに
暮らした日々の事が綴られています。
今回も丁寧な暮らしぶりやスローライフ、
スローフードについて書かれていて
とても真似ができるとは思いませんが、
少しは見習いたかったり参考にしてみたい所もありました。

ベルリンでの生活では以前書かれたヨーロッパの旅行記とはまた違い
一歩生活に密接したドイツの歴史、ドイツ人の質実剛健さと
ドイツ人の根底に流れている魂のようなものを感じられました。
今の日本があるのもドイツのお蔭でもあるのも知り、
まだドイツのあらゆる精神を日本でも受け入れられたら良い思いました。

今回は2011年で3月11日の東日本大震災当時の事が書かれていて、
震災当時の事を思い出し、あれから何が日本では変わったのだろうかと
改めて考えてしまいました。
ここで述べられているように電力、原子力などについては
一時的には変わったようにも思えましたが
休止していた原発では再稼働を始めたり、
復興という名前ばかりで人の心の復興はまだまだだと思われます。

そしてベルリンで生活していた時に訪れたユダヤ博物館、
ホロコーストの事が書かれていて、現地で味わうことしか出来ない
生々しい歴史の現実をうかがい知ることが出来ました。
ドイツ人はきちんと過去を清算して忘れないように
努力しているなと思いました。
二度と同じ事の過ちを繰り返さないようにと願ったのに、
大きな戦争は無いにしても今の世界情勢は危ういです。
この二つの事に関しては次世代に受け継がなければらないと思うので、
いつまでも関心を持たなくてはいけないと思いました。

文中ものもあった
実際に旅に出られなくても、
本の中を自由に旅することができる
まさにこの作品でもドイツという国を旅することが出来て
改めてまた本の良さを分かり得た気がします。

日記エッセイはこれで2作品目ですが、
ゆっくりと何も考えずに楽しめることが出来るので
また読みたいと思います。

内館牧子 聞かなかった聞かなかった [作者あ行]


聞かなかった聞かなかった (幻冬舎文庫)

聞かなかった聞かなかった (幻冬舎文庫)

  • 作者: 内館 牧子
  • 出版社/メーカー: 幻冬舎
  • 発売日: 2017/04/11
  • メディア: 文庫


ストーリーは「残念だ」という自分の気持ちさえ断言できず、
「残念だったかな」と言ってしまった国会議員に笑止千万と言い放ち、
まともに挨拶できない子供は、親の責任!と苦言を呈する。
もはや日本の将来は、真っ暗どころの騒ぎではない!?
歯に衣着せぬ物言いに、著者本人も思わず怯む、直球勝負の痛快エッセイ五十編。
日本人の心を取り戻す必読の一冊!!

政治から芸能ニュースなど幅広い分野にわたって
率直な言葉で痛快に何事も書かれているので読みやすかったです。
日頃感じていた現代の日本をぶっちぎりに斬っていたので
自分だけがこんな考えたカをしていたのではないのだということにも
気付かせてくれたので安心しました。

特に日本語、言葉、話し方などに関してのことは
内館さんの書かれたことに納得です。
今の若い人達の話し方をはじめとして、
国会議員までが「かな」という日本語を話しているのはいかがものかと。
言葉は時代と共に変化をしていくと言われていますが、
公私混同せずに公の場で話す場合には
きちんとした日本語が必要だと改めて思いました。
また言葉の他にも今まで築かれた伝統や文化などは、
これからも大事にして守るべきだと思います。
多くの人達が不便だと思ったりおかしいと思ったところは
どんどんと改善し良いと思いますが、
ある程度の歴史は残していくべきだと思います。

内館牧子さんよりも先輩の佐藤愛子さんの「九十歳。何がめでたい」でも
この作品と同じような事が述べられていたので
やはり言葉の専門家の方なら共通な思いをしているのだというのがよく分かります。
やはり日本人なら日本人らしいことをこれからも守るべきかと思わされました。

人生のあらゆる場面に当てはまることについて書かれた言葉で、
心配事は横に並べずに縦に並べなさいということ。
幾つかある心配事を横に並べると、順位がつかない。
並行して全ておなじ重さだと思ってしまうからつらい。
だが、心配事を時間準に縦に並べてみると、一番新しい心配事だけが
目の前にあるに過ぎず、心が楽になる。
という言葉がとても印象的でした。

硬い話だけでなく水洗トイレがこれ以上便利にならなくていい話や
クロネコとペリカン、名前の間違えはくすりと笑えて面白かったです。

これからも色々な方面での活躍から辛口な言葉を交えて、
日本人を痛快にばっさりと斬ってもらいたいなと思えた作品でした。

東直子 いとの森の家 [作者あ行]


([ひ]3-1)いとの森の家 (ポプラ文庫)

([ひ]3-1)いとの森の家 (ポプラ文庫)

  • 作者: 東 直子
  • 出版社/メーカー: ポプラ社
  • 発売日: 2017/04/05
  • メディア: 文庫


ストーリーは都会から小さな村に引っ越してきた加奈子は、
不思議なおばあさん・おハルさんとの出会いを通し
命について考えはじめる。
福岡・糸島の豊かな自然の中で、成長していく少女の姿が瑞々しく描かれた物語。
永作博美・樹木希林主演でNHKドラマにもなった話題作!第31回坪田譲治文学賞受賞作。

子供の目線で描かれていて読みやすくて
幼少期の頃に戻ったような気分になりました。
主人公と同じように小学生の頃に転校生の経験があるので
加奈子の不安な気持ちが手に取るように分かったり、
保健室でのイメージというのもこんな感覚だったのかもと
遠い昔の記憶と感覚が甦ってきて思わず身震いしてしまいそうでした。

都会から自然が豊富な環境に引っ越したことで、
それまで味わえなかった四季折々の過ごし方、
それと共におハルさんとの日々の会話や暮らし方などから
自然と命の大切さなどを伝えていてとても心温まり、
こんな幼少期を少しは経験してみたかったなと思いました。

おハルさんと出会ったことで戦時中の事、移民の事、死刑囚の事など
両親や学校や教科書では教わることのできないことを
子ども達にも優しく丁寧に教えていくというのが
大事だということが分かり、
ここから学ぶことが沢山ありました。
これから次世代に向けて伝えていかなければならないということが、
まだまだあるのだと思わされました。

この本は普通の文庫本ですが、
子どもでも読めるように分かりやく書かれているので
多くの子どもさん達が読んで人にとって大切な事を
吸収して欲しいなと思えた作品です。
児童書にもなっているのでそちらもお勧めだと思います。

「猫と子どもは遠慮なんてしなくていいのよ。」
これでおハルさんの人柄の良さ、
心の温かさが全部滲み出ているかと思える一言で
とても心に残ります。

世代を問わずに多くの方に読んでもらって
殺伐としたこの現代だからこそ
この作品で失いかけた大事な物を取り戻し、
心を豊かに出来たら良いなと思えました。

恩田陸 蜜蜂と遠雷 [作者あ行]


蜜蜂と遠雷

蜜蜂と遠雷

  • 作者: 恩田 陸
  • 出版社/メーカー: 幻冬舎
  • 発売日: 2016/09/23
  • メディア: 単行本


ストーリーは俺はまだ、神に愛されているだろうか?
ピアノコンクールを舞台に、人間の才能と運命、そして音楽を描き切った青春群像小説。
著者渾身、文句なしの最高傑作!
3年ごとに開催される芳ヶ江国際ピアノコンクール。
「ここを制した者は世界最高峰のS国際ピアノコンクールで優勝する」
ジンクスがあり近年、覇者である新たな才能の出現は音楽界の事件となっていた。
養蜂家の父とともに各地を転々とし自宅にピアノを持たない少年・風間塵15歳。
かつて天才少女として国内外のジュニアコンクールを制覇し
CDデビューもしながら13歳のときの母の突然の死去以来、
長らくピアノが弾けなかった栄伝亜夜20歳。
音大出身だが今は楽器店勤務のサラリーマンでコンクール年齢制限ギリギリの高島明石28歳。
完璧な演奏技術と音楽性で優勝候補と目される
名門ジュリアード音楽院のマサル・C・レヴィ=アナトール19歳。
彼ら以外にも数多の天才たちが繰り広げる競争という名の自らとの闘い。
第1次から3次予選そして本選を勝ち抜き優勝するのは誰なのか?

こんなにも分厚い本だったので読むのが少し手強かったので
購入してから暫くしてから読み始めました。
けれど読み始めてからはどんどんとのめり込み
飽きることなく読めたので吃驚です。
これで分厚い本もトライしてみようかと思えました。

曲の音色やテンポなどを物語のように描いたり、
宇宙のように描いたりと様々に表現されていて
音楽をこんなにも細かく表現するのに驚かされました。
音楽の時間にこんな表現をしてくれたら
また音楽の楽しみ方も違うかなとも思いました。

ピアノコンクールを舞台にした作品というのは
今までに読んだことがなかったのでとても新鮮で、
一人の主人公だけでなくコンクールの出場者、審査員、
恩師、マネージャーなどと主人公を中心とした周りの人達からの
視点も書かれているので登場人物の多さがまるで
パノラマを見ているかのようでした。
そしてコンクールという特別な空間での緊迫感、臨場感などが
とてもよく伝わりピアノの音色が恋しくなりました。

コーンクールの曲や音色はどんな曲はリストに載っていても
知っている曲は殆ど無いので曲調なんて本を読んでいるのだから
耳では聞くことは出来ていないはずなのに、
どこからか曲が聞こえてきそうなほどリズム感や流れなどが
躍動感があって聞こえているようでした。
本を読むのを途中でやめると曲まで途中でやんでしまったり、
流れが止まってしまいそうな気がしてページをめくる手が止まりませんでした。

昔、「曲は流れて止まらない」というのを教えてもらったことがあります。
まさにこの作品は流れることを知らない音楽そのものを
表している作品で音楽は本当に良いものだというのを教えてくれました。
これだけ細かい設定がなされていて、
場面展開もテンポが良いので、映像化をしても面白いかと思いました。

クラッシックやピアノがそれ程分からなかったり、
好きでもなかったりしてもこの作品を読んだら
すぐに好きになったり聞きたくなりそうな気がします。

直木賞受賞と本屋大賞のW受賞に相応しい作品だと思うのでお勧めな一冊です。
ピアノの曲を聴きながら読むのもよりお勧めだと思います。


小川糸 ツバキ文具店 [作者あ行]


ツバキ文具店

ツバキ文具店

  • 作者: 小川 糸
  • 出版社/メーカー: 幻冬舎
  • 発売日: 2016/04/21
  • メディア: 単行本


ストーリーはラブレター、絶縁状、天国からの手紙…。
鎌倉で代書屋を営む鳩子の元には、今日も風変わりな依頼が舞い込む。
伝えられなかった大切な人への想い。
あなたに代わって、お届けします。

文具屋を営む傍ら代書屋という少し特別な仕事を
先代から受け継いだ若い女性の話。
一つ一つに品があり丁寧に描けていて、
文具一つとっても古くからの歴史や謂れなどが綴られていて
これを知るだけでも学ぶことが沢山あり、
文具に対する愛着心があるのが伺われます。
手紙の書き方も常識として知っているとしても
その他にももっと深いことがあり
日本人の手紙に対する心遣いを知った気がします。

鎌倉が舞台なので鎌倉の自然と街並みなどが四季を通して楽しめました。
とても鎌倉に行きたくなり住んでみたくなりました。
そこへ家族、友人、恋人などと様々な人から
代筆の仕事を依頼されますが、その物語もまた心温まるものばかり
読んでいてうっとりとさせられ、
読んでいる時に時間がスローモーションのように感じられ、
異空間にいるようでとても穏やかな気分にさせられました。

主人公が先代から厳しく教えられた代書屋として大切な
文字のことをはじめとして所作や生活に対しての
あらゆることに対して厳しかっただろうと思いますが、
一時期の反抗はあるにしても
それをきっちりと守っていく姿もどこか芯の強さもあり
代書屋としてはとても頼り甲斐もあってとても好感が持てました。
こうゆう厳しさならば人間として素敵だなと思い、
あらゆるところで自分に対しても襟元を正す思いをさせられました。

この作品を読みながらでゆったりとした気分になり、
また丁寧に読み返したくなりました。
そして文字を大切にしたいという思いになり、
誰かに手紙を書きたくなりとても心が温まる作品でした。

大切な人に手紙を書くとしたら誰に書きますか・・・


心に響いた言葉
書き文字は、その人と共に年を重ね、老いていく。
(中略)
文字も、年齢と共に変化する。

失くしたものを追い求めるより、今、手のひらに残っているものを
大事にすればいいんだって。
誰かにおんぶをしてもらったら、今度は誰かをおんぶしてあげればいい

小川糸 犬とペンギンと私 [作者あ行]


犬とペンギンと私 (幻冬舎文庫)

犬とペンギンと私 (幻冬舎文庫)

  • 作者: 小川 糸
  • 出版社/メーカー: 幻冬舎
  • 発売日: 2017/02/07
  • メディア: 文庫


ストーリーは女子四人組で旅したインドでは、ヨガとカレー三昧。
仕事で訪れたパリでは、お目当てのアップルパイを求めて一人お散歩。
旅先で出会った忘れられない味と人々。
でも、やっぱり我が家が一番!
新しく家族の一員になった愛犬と〝ペンギン〟の待つ家で、パンを焼いたり、いちじくのジャムを煮たり。
毎日をご機嫌に暮らすヒントがいっぱいの日記エッセイ。

日記エッセイというのを初めて読みましたが、
やはり普通の人とは違う毎日の生活なのでとても素敵に思えました。
普段あまり気にかけていなかったことに目を配ってみたり、
少し違う視点で生活をしてみると
こんなにも暮らし方の感覚が違うのかなと思いました。
食事や料理のことがよく登場してきますが、
それがどれも美味しそうで読んでいてお腹が減ってきてしまいます。
それに付け加え小川さんの丁寧な料理と上手さ加わるので
更にお腹が減ってしまいました。

旅の事も多く書かれていましたが、インドでの旅も良かったですが、
北イタリアを拠点としたヨーロッパの旅行記はどれも憧れで
行った気分が味わえました。
ドイツの良さを一度でも味わってみたいのと同時の
ドイツの根底にある精神を日本でも取り入れられたら良いなとも思いました。

端々に小川さんの繊細さや品の良さが伝わり、
そして大事なペンギンさんとの微笑ましい光景が目に浮かび、
犬のことが本当に大好きだということが分かり
心が自然にほぐれて和ませられた作品でした。

一日を大切に丁寧に暮すというのはこうゆうことかとも思えて
こんな生活を過ごせることが憧れになりました。
暮らしの中で少しでも心にゆとりを持ちながら
好きな物に囲まれるというのが本当に理想な生活だと思います。

久しぶりに小川さんの作品を読んで心が癒されたので、
これからもまた作品を読みたいと思います。
それにはペンギンシリーズをまずは読破したいと思っています。


荻原浩 噂 [作者あ行]


噂 (新潮文庫)

噂 (新潮文庫)

  • 作者: 荻原 浩
  • 出版社/メーカー: 新潮社
  • 発売日: 2006/02/28
  • メディア: 文庫


ストーリーは「レインマンが出没して、女のコの足首を切っちゃうんだ。
でもね、ミリエルをつけてると狙われないんだって」。
香水の新ブランドを売り出すため、渋谷でモニターの女子高生がスカウトされた。
口コミを利用し、噂を広めるのが狙いだった。
販売戦略どおり、噂は都市伝説化し、香水は大ヒットするが、やがて噂は現実となり、
足首のない少女の遺体が発見された。衝撃の結末を迎えるサイコ・サスペンス。

最後の一行が衝撃のラストということを忘れて
そのまま読んでいましたが、
どこかでおや?というところあったので慌てて
またラストをじっくりと読み返したところ
じわっとした怖さがありました。

大きなトリックなどはありませんが、
ごく普通のミステリーで、
現実的にもありそうな設定なので
どんどんとストーリーに入り込めました。
タイトルの「噂」というテーマを上手く取込んでいる作品だと思います。

犯人のたった一時的な快楽のために
こんな酷い事件になってしまうというのは 恐ろしく、
読んでいてムカついてく部分があります。
あまりにも残忍なので気分を害する部分もありましたが。

荻原さんの作品は何作も読んでいますが、
ミステリーは初めて読みましたが違和感もなく
読みやすくて良かったなと思います。
どんなジャンルでもそつなく書かれてしまうのでさすがだなと思い
益々荻原さんの作品を読みたくなりました。

眠れなくなる夢十夜 阿刀田高他 [作者あ行]


眠れなくなる 夢十夜 (新潮文庫)

眠れなくなる 夢十夜 (新潮文庫)

  • 作者: 阿刀田 高
  • 出版社/メーカー: 新潮社
  • 発売日: 2016/12/23
  • メディア: 文庫



ストーリー
あなたにも、「忘れられない夢」がありますか。
見知らぬ橋で、いつか訪れるはずの誰かを待つ男。
父親から命を受けた幼い息子が赴く上総の海。
今際の際に現れた、思い出を食べる伝説の動物――。
100年の時を超え、夏目漱石『夢十夜』にインスパイアされた10名の人気作家が紡ぐ夢物語。
「こんな夢を見た」の名文句に始まる珠玉の10篇を編み込んだ、儚くも美しい「夢」アンソロジー。

阿刀田 高 夢一夜
あさの あつこ 厭だ厭だ
西 加奈子 小鳥
荻原 浩 長い長い石段の先
北村 薫 指
谷村志穂 こっちへおいで
野中 柊 柘榴のある風景
道尾 秀介 盲蛾
小池 真理子 翼
小路 幸也 輝子の恋
の10編

夏目漱石の『夢十夜』を読まないと分からない内容なのかと思いましたが、
読まなくてもこの本を単独に読むだけでも大丈夫でした。

本のタイトルを見るとまるでホラーや妖怪の怖い本だと想像させられましたが、
恋愛、SF、ファンタジー、ホラーなどの様々な要素を含んだ作品で
どれも夢というのを独自の世界観で表されています。

印象的だったのは『厭だ厭だ』のラストのオチに吃驚し
女性の執拗な怖さが伝わったり、
『長い長い石段の先』の父と子が同じ経験から不思議な話へ。
荻原さんらしい世界観がここにも出ていて和まされました。
『翼』の切なくも悲しい想いなどが女性らしく伝わりました。
 
野中さんと小路さんの作品は読んだこともなく知らなかったですが、
小路さんの作品は夏目漱石の書かれた時代を彷彿とさせ
レトロ感と当時の恋というのもよく表現されていたような気がします。
また思い出を食べるという発想もまた斬新だったので
他の作品も読んでみたいなと思いました。

夢ということで実際の夢から、夢のような出来事などと
夢とひとえにいってもこんな様々なテイストになって面白いかと思います。
どこかおぼろげでもやもやとしている所が共通し、
生死について語られているような気がします。
それがどこかぞくっとさせられる気もします。

このようなアンソロジーの作品を読んだのは初めてですが、
普通の小説とはまた違い、色々な作家さんを知る機会にもなり、
同じテーマで違うテイストの作品を何度も味わえるというのも良いので
たまにはこうゆう作品も読んでみたいと思いました。

荻原浩 家族写真 [作者あ行]


家族写真 (講談社文庫)

家族写真 (講談社文庫)

  • 作者: 荻原 浩
  • 出版社/メーカー: 講談社
  • 発売日: 2015/04/15
  • メディア: 文庫


ストーリーはちっちゃい赤ん坊だった準子が嫁に行くんだぞ
――男手一つで育てた娘を嫁がせる「結婚しようよ」。
あの主人公が同年代の54歳と知って愕然とする「磯野波平を探して」。
もはや見ないふりできない肥満解消のため家族で
ダイエットに励む「肉村さん一家176kg」他。
短編の名手による、笑って泣ける7つの家族の物語。

今まで荻原さんの作品を何冊か読みましたが、
どれも感動で涙なくしては読めないものばかりでしたが、
これはほろりとさせられてそしてまたくすりとした笑いもあり
とても和める作品ばかりでした。
家族をテーマにした作品でこんなに笑えて微笑ましく思えたのは
初めてかもしれないです。

家族の親子、夫婦、兄弟などのそれぞれの絆が
またこの作品で再確認でき、中年と言われる世代を
切なくもユーモラスに描いていて
まさにこの世代の私にとっては心を鷲掴みされたような気分になりました。

一つだけ少しタイプに違う「プラスチックファミリー」は笑わせてもらいました。
一体のマネキンに遭遇してから意外な方向へと向かっていき
怪しい方向へといってしまうのかと思いきや、
一連の行動をしている心の中には過去の切ない思いが重なり
そこから生きていくことの厳しさや大切さを教えられました。

印象に残ったものは「磯野波平を探して」です。
磯野波平の年齢が54歳でフネが50歳という年齢にまず驚かされ、
それから主人公もあたふたとしながら人生というものを考える。
文中の
 あきらめちゃだめなのか?年齢を。
 若さイコール善。そうした一画的な価値観に縛られているから、
 俺たちの人生は窮屈になっているんじゃないだろうか。
 相手もいないのに憔悴に身構えしているのではないのか。
このフレーズがまさに心の的を得られた感じで
心のどこかで自分が言いたかった言葉だと思い心打たれました。

どの家族も読み終えた後には家族は良いものだと思わされ、
人生半ばだけれどまだまだ人生は捨てたものではないと思わされ、
爽快で心が温まる作品でした。

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