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荻原浩 噂 [作者あ行]


噂 (新潮文庫)

噂 (新潮文庫)



ストーリーは「レインマンが出没して、女のコの足首を切っちゃうんだ。
でもね、ミリエルをつけてると狙われないんだって」。
香水の新ブランドを売り出すため、渋谷モニターの女子高生がスカウトされた。
口コミを利用し、噂を広めるのが狙いだった。
販売戦略どおり、噂は都市伝説化し、香水は大ヒットするが、やがて噂は現実となり、
足首のない少女の遺体が発見された。衝撃の結末を迎えるサイコ・サスペンス。

最後の一行が衝撃のラストということを忘れて
そのまま読んでいましたが、
どこかでおや?というところあったので慌てて
またラストをじっくりと読み返したところ
じわっとした怖さがありました。

大きなトリックなどはありませんが、
ごく普通のミステリーで、
現実的にもありそうな設定なので
どんどんとストーリーに入り込めました。
タイトルの「噂」というテーマを上手く取込んでいる作品だと思います。

犯人のたった一時的な快楽のために
こんな酷い事件になってしまうというのは 恐ろしく、
読んでいてムカついてく部分があります。
あまりにも残忍なので気分を害する部分もありましたが。

荻原さんの作品は何作も読んでいますが、
ミステリーは初めて読みましたが違和感もなく
読みやすくて良かったなと思います。
どんなジャンルでもそつなく書かれてしまうのでさすがだなと思い
益々荻原さんの作品を読みたくなりました。

眠れなくなる夢十夜 阿刀田高他 [作者あ行]


眠れなくなる 夢十夜 (新潮文庫)

眠れなくなる 夢十夜 (新潮文庫)

  • 作者: 阿刀田 高
  • 出版社/メーカー: 新潮社
  • 発売日: 2016/12/23
  • メディア: 文庫



ストーリー
あなたにも、「忘れられない夢」がありますか。
見知らぬ橋で、いつか訪れるはずの誰かを待つ男。
父親から命を受けた幼い息子が赴く上総の海。
今際の際に現れた、思い出食べる伝説の動物――。
100年の時を超え、夏目漱石『夢十夜』にインスパイアされた10名の人気作家が紡ぐ夢物語
「こんな夢を見た」の名文句に始まる珠玉の10篇を編み込んだ、儚くも美しい「夢」アンソロジー

阿刀田 高 夢一夜
あさの あつこ 厭だ厭だ
西 加奈子 小鳥
荻原 浩 長い長い石段の先
北村 薫 指
谷村志穂 こっちへおいで
野中 柊 柘榴のある風景
道尾 秀介 盲蛾
小池 真理子 翼
小路 幸也 輝子の恋
の10編

夏目漱石の『夢十夜』を読まないと分からない内容なのかと思いましたが、
読まなくてもこの本を単独に読むだけでも大丈夫でした。

本のタイトルを見るとまるでホラーや妖怪の怖い本だと想像させられましたが、
恋愛SFファンタジー、ホラーなどの様々な要素を含んだ作品で
どれも夢というのを独自の世界観で表されています。

印象的だったのは『厭だ厭だ』のラストのオチに吃驚し
女性の執拗な怖さが伝わったり、
『長い長い石段の先』の父と子が同じ経験から不思議な話へ。
荻原さんらしい世界観がここにも出ていて和まされました。
『翼』の切なくも悲しい想いなどが女性らしく伝わりました。
 
野中さんと小路さんの作品は読んだこともなく知らなかったですが、
小路さんの作品は夏目漱石の書かれた時代を彷彿とさせ
レトロ感と当時の恋というのもよく表現されていたような気がします。
また思い出を食べるという発想もまた斬新だったので
他の作品も読んでみたいなと思いました。

夢ということで実際の夢から、夢のような出来事などと
夢とひとえにいってもこんな様々なテイストになって面白いかと思います。
どこかおぼろげでもやもやとしている所が共通し、
生死について語られているような気がします。
それがどこかぞくっとさせられる気もします。

このようなアンソロジーの作品を読んだのは初めてですが、
普通の小説とはまた違い、色々な作家さんを知る機会にもなり、
同じテーマで違うテイストの作品を何度も味わえるというのも良いので
たまにはこうゆう作品も読んでみたいと思いました。

荻原浩 家族写真 [作者あ行]


家族写真 (講談社文庫)

家族写真 (講談社文庫)



ストーリーはちっちゃい赤ん坊だった準子が嫁に行くんだぞ
――男手一つで育てた娘を嫁がせる「結婚しようよ」。
あの主人公が同年代の54歳と知って愕然とする「磯野波平を探して」。
もはや見ないふりできない肥満解消のため家族で
ダイエットに励む「肉村さん一家176kg」他。
短編の名手による、笑って泣ける7つの家族の物語。

今まで荻原さんの作品を何冊か読みましたが、
どれも感動で涙なくしては読めないものばかりでしたが、
これはほろりとさせられてそしてまたくすりとした笑いもあり
とても和める作品ばかりでした。
家族をテーマにした作品でこんなに笑えて微笑ましく思えたのは
初めてかもしれないです。

家族の親子、夫婦、兄弟などのそれぞれの絆が
またこの作品で再確認でき、中年と言われる世代を
切なくもユーモラスに描いていて
まさにこの世代の私にとっては心を鷲掴みされたような気分になりました。

一つだけ少しタイプに違う「プラスチックファミリー」は笑わせてもらいました。
一体のマネキンに遭遇してから意外な方向へと向かっていき
怪しい方向へといってしまうのかと思いきや、
一連の行動をしている心の中には過去の切ない思いが重なり
そこから生きていくことの厳しさや大切さを教えられました。

印象に残ったものは「磯野波平を探して」です。
磯野波平の年齢が54歳でフネが50歳という年齢にまず驚かされ、
それから主人公もあたふたとしながら人生というものを考える。
文中の
 あきらめちゃだめなのか?年齢を。
 若さイコール善。そうした一画的な価値観に縛られているから、
 俺たちの人生は窮屈になっているんじゃないだろうか。
 相手もいないのに憔悴に身構えしているのではないのか。
このフレーズがまさに心の的を得られた感じで
心のどこかで自分が言いたかった言葉だと思い心打たれました。

どの家族も読み終えた後には家族は良いものだと思わされ、
人生半ばだけれどまだまだ人生は捨てたものではないと思わされ、
爽快で心が温まる作品でした。

大崎梢 忘れ物が届きます [作者あ行]


忘れ物が届きます (光文社文庫)

忘れ物が届きます (光文社文庫)



ストーリーは不動産会社の営業で訪れた家の主人が、
小学生の頃の自分を知っているという。
驚いた自分にその元教師が語ったのは、
なぜか二十年前に起きた拉致事件の真相を巡る推理だった。
当時の記憶が鮮やかに蘇る…(「沙羅の実」)。
長い日々を経て分かる、あの出来事の意味。
記憶を遡れば、過去の罪と後悔と、感動が訪れる。
謎が仕組まれた、極上の「記憶」を五つ届けます。

沙羅の実
君の歌
雪の糸
おとなりの
野バラの庭へ 五つの物語

過去の記憶を辿りながらミステリーをひも解いていていくというタイプですが、
ぼんやりと記憶が甦っていき謎解きも叙情的になっているので
徐々に胸に打たれる感じで、
今まで読んだミステリーとは違ってじわじわと引かれていきました。

表紙の絵からは想像できないようなストーリーですが、
過去からの記憶の忘れ物がふっと訪れていき、
心の中もタイムスリップされてミステリーのはずなのに
どこか心が温まるという心地良いミステリーでした。

この中では「沙羅の実」、「君の歌」が好きで
学生時代の青春の記憶が蘇り、ほろ苦く懐かしい気持になりました。
特に「沙羅の実」では一番初めの章だったので
ミステリーという観念が無く読んでいたのでラストになり、
どんでん返しのように話がひっくり返ったので吃驚しました。
この作品だけでなく他の作品でもミステリーの気配がなく、
そのまま犯人の解明になってしまうので
またページを戻して謎解きに戻ることが何度かありました。

「おとなりの」は割とミステリーにはありがちな展開ですが、
隣人のような行動が出来るのも感心しますが、
少年同士の固い友情にも胸を打つものがあり好きな作品です。

推理小説のような伏線があるわけでもなく、
そこから推理が始まるというのがこの本の面白い味かとも思いました。
それと文章からどことなく品の良さのようなものが漂い、
読み終わった後も心が和み余韻も味わえました。

こんな風に過去の忘れ物がふとしたところが訪れるのが
良いのか悪いのか・・・
ふと自分の人生も振り返りたくなる作品ばかりです。

大崎さんの本はこの本が初めて手に取りましたが、
他の作品も読んでみたくなるような作品ばかりだったので
引き続き読みたいと思います。

色川武大 離婚 [作者あ行]


離婚 (文春文庫)

離婚 (文春文庫)



ストーリーは納得ずくで離婚したのに、
ぼくはいつの間にかもと女房のところに住みついているのです
─奇妙な男と女の世界を、独特のほろ苦いユーモアで活写した直木賞受賞作

離婚という形を取っているものの、
別れてからもお互い行き来をしていて結婚していた頃よりも
お互いに気を遣い合っているという不思議な男女の関係です。
元妻は女性という性別でいけば女らしい生きものかもしれないですが、
結婚という形をとるには相応しくなかった相手なのかもしれないです。

この男性もまた他の女性を好きになりながらも、
それ程欲を出すことがなく、
女性だけでなく人生全体に対して無難に
ゆるく生きているような感じがして
良いのか悪いのか分からない雰囲気でした。

けれど遊園地という自分の理想郷のようなものが
身近にあったりして危うい気配もあったりしたので
それ程女性には苦労しないタイプなので
こんなにぼんやりとしているのかとも思えました。
このぼんやりとした感覚をもしかしたら楽しんでるのかもしれないです。

こうなると結婚という形は今も法律上だけの問題という考え方もあり、
どんな形であっても一緒にいて心地良い人であれば問題ないのかと思えました。
この作品は昭和50年代なので、
この時代に現代のような考え方が生まれるというのは先を
読んでいたのかと思えてしまいました。
離婚ということよりもむしろその先の生き方をどうするかということも
テーマであった気がします。


この本は文藝春秋が運営する本のWEBサイトのプレゼント企画で
頂いた本なので作者の事も知らず、何も情報が無かったので
先入観がなくまっさらな状態で読めました。
この場を借りてお礼を申し上げます。
どうも有り難うございました。
これをきっかけに他の作品も機会があったら読んでみたいと思います。

荻原浩 月の上の観覧車 [作者あ行]


月の上の観覧車 (新潮文庫)

月の上の観覧車 (新潮文庫)



ストーリーは閉園後の遊園地
高原に立つ観覧車に乗り込んだ男は月に向かって
ゆっくりと夜空を上昇していく。
いったい何のために? 去来するのは取り戻せぬ過去、
甘美な記憶、見据えるべき未来――
そして、仄かな、希望。ゴンドラが頂に到った時、男が目にしたものとは。
長い道程の果てに訪れた「一瞬の奇跡」を描く表題作のほか、
過去/現在の時間を魔術師のように操る作家が贈る、極上の八篇。

トンネル鏡
上海租界の魔術師
レシピ
金魚
チョコチップミントをダブルで
ゴミ屋敷モノクローム
胡瓜の馬
月の上の観覧車

八作品のうち六作品が四十代以上の主人公で
そろそろ人生の折り返し地点を通過している世代がターゲットになっています。
そんな年代になると日々過ごしているとふとした時に
過去の事を思い浮かびこうすれば良かったと思うことがあります。
そんな世代の人達が人生を振り返った時々のことが綴られていますが、
どの作品も普段隠れている心の隅をぎゅっと掴まれたように
どこか切なく淋しさがあり脆くも涙が出てしまいそうなものばかりでした。

主人公が女性で過去を振り返りながらも唯一未来に向かっている
作品の「レシピ」はこの中ではとても印象的で、
作者は男性なのに女性の心理をよくぞここまで把握しているなというのが
書かれていて面白く、料理と過去の男性をこのようにして
思い返しているというアイデアも面白かったです。
そして女性らしいラストの潔さに爽快でした。

歳を重ねると今までなんてことのない事だったことも
何か大きな人生の転機があると
今まで身近だった家族、夫婦子供、友達、同級生、同僚などが
特別な存在だったということに気が付き
だからそんな時に「もしもあの時にこうしていれば」と
思うことが多くなるのかと思います。
けれど過去ばかり振り返っていても何も変わることがないので、
少しでも今までとは違う自分を取り戻して、
未来へ歩んで欲しいというメッセージもこの作品の中からは
読み取れるような気もしました。

若い方が読んだらまた違う観点からの感想になるかと思いますが、
歳を重ねたからこそこの深みのある心境が分かるかと思うので
アラフォー世代の方が読むにはまさに打ってつけの作品だと思います。
これで人生の準備としての心構えも出来るかと思います。

人生でもし何かに躓いた時に読み返してみても
今とはまた違った心境にもなると思うので、
読み返してみたい作品だとも思いました。

青木祐子 幸せ戦争 [作者あ行]


幸せ戦争 (集英社文庫)

幸せ戦争 (集英社文庫)



ストーリーは念願の一戸建てを購入した氷見家。
そこは、四軒の家が前庭を共有している場所だった。
親切な他の三家族とともに幸せな生活が始まるが……。
誰もが思い当たる「ご近所」サスペンス

タイトルからは幸せそうなストーリーを想像していましたが、
四軒の家があるということは、
そこにまたそれぞれの家族があり
それまでの作りあげた環境でご近所付き合いが異なっていて
表と裏ではこんなに違うのかと思い驚きと共に怖い世界だと思いました。
ご近所付き合いというのはやはり主に主婦が主体となるので
四家族の主婦の視点と娘さんがこの小説では主になっていました。
大人のドタバタ劇を意外と冷静に見渡しているのは子供で、
特に娘さんというのは大人顔負けに見ているのが面白かったです。

それにしても表向きに上手く付き合っていたとしても、
これほど女性の性格が違うと
例えご近所でも親しくしていこうとすると無理がたたるのかと思いました。
ご近所付き合いというものを殆どした経験がないのですが、
この中で苦手なのは美和と朝子。
どちらも近所付き合いに敏感になりすぎて嫌な面がありますが、
美和はあまりにも強烈で近くにいたらずけずけと
入り込んできそうな感じで怖い気がしました。

女性はこれだけ強烈な性格ですが、
男性はその反対に弱腰な人が多いので、
何かいざこざがあった時などはここぞのいう時に登場して欲しいと思いました。
現実の社会でもこれは同様なことかもしれないですが。

ども家族も幸せになりたいという気持は一緒ですが、
その形はそれぞれで、
それがご近所付き合いと絡めてくると複雑になると思うので
ご近所とはいえ程々の距離感で付き合うのが一番と教えてくれた作品でした。


荻原浩 海の見える理髪店 [作者あ行]


海の見える理髪店

海の見える理髪店



ストーリーは主の腕に惚れた大物俳優や政財界の名士が通いつめた伝説の床屋。
ある事情からその店に最初で最後の予約を入れた僕と店主との
特別な時間が始まる「海の見える理髪店」。

意識を押しつける画家の母から必死に逃れて十六年。
理由あって懐かしい町に帰った私と母との思いもよらない再会を描く「いつか来た道」。

仕事ばかりの夫と口うるさい義母に反発。
子連れで実家に帰った祥子のもとに、
その晩から不思議なメールが届き始める「遠くから来た手紙」。

親の離婚で母の実家に連れられてきた茜は、
家出をして海を目指す「空は今日もスカイ」。

父の形見を修理するために足を運んだ時計屋で、
忘れていた父との思い出の断片が次々によみがえる「時のない時計」。

数年前に中学生の娘が急逝。
悲嘆に暮れる日々を過ごしてきた夫婦が娘に代わり、
成人式に替え玉出席しようと奮闘する「成人式」。
人生の可笑しさと切なさが沁みる、大人のための“泣ける"短編集。

直木賞受賞作ということで手に取りました。
家族の日々を描いた六編の物語。
母と娘、夫と妻、父と息子などと家族の形と視点は
それぞれですが同じような人生経験を
自分と重ねて合わせて読んでみるととても切ない気持ちになり、
当時の記憶が更に蘇り懐かしくもあり、嬉しかったり気恥ずかしくもなり
様々な気持ちに駆られました。
その中で「空は今日もスカイ」は少し違う雰囲気で、
まるで絵本を読んでいるかのようなリズム感が溢れ出ていて印象的でした。
英語をこのようにカタカナだけで表すとまた違った雰囲気と
言語に生まれ変わるのかと思えました。

家族を描いた小説はいくつか読んでいますが、
「成人式」のようなタイプは初めてです。
これだけは自分では経験の出来ない思いですが、
この夫婦の心の痛みと悲しみがあまりにも響き途中で
涙が出そうなのを堪えました。
娘のためだけでなく、自分達のために、
同じところを揺れてばかりの悲しみのメーターを、
どこかで大きく振り切らねばならないのだ・・・
というところは生きていく力強さのようなものを貰えたような気がしました。

どれも心に沁みて泣けますが、
その先には明るい光が射し込んでいるのが見えるので
とても爽やかな印象にもなり何度でも繰り返して読みたくなります。
そして家族というかけがえのないものを改めて大切に
したいと思える作品だと思いました。

荻原さんの作品はこれが初めてですが、
これをきっかけに他の作品も読みたいと思います。
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内村光良 金メダル男 [作者あ行]


金メダル男 (中公文庫)

金メダル男 (中公文庫)



ストーリーは小学校の徒競走での一等賞をきっかけに始まった「常に一番を目指す」男、秋田泉一。
何度失敗しても立ち上がり、あくなき挑戦を続け、
思いがけぬチャンスをつかんでいく。その一途な生き方を、
高度経済成長期からバブル崩壊を経て平成の今日に至るまで、
時代風景と重ね合わせながらユーモアたっぷりに描くエンタメストーリー。

映画の公開がされるということなので原作を読んでみたくなり手に取りました。
小説というジャンルよりも台本というかコントをそのまま読んでいるような感じで
テンポが良く読みやすく映像が脳裏に浮かびやすかったです。

全く同じ世代ではないですが、
やや同じような世代を歩いてきたので登場して来る
大きな事件、出来事、ヒット曲、映画、その当時流行ったものなど
あらゆるものが懐かしくてまるでタイムスリップしたかのようで
これだけ楽しむのもなかなかおつでした。

主人公の泉一が何度か甘酸っぱい思いをしてきたのも男子だけでなく、
女子も同じであり共感することが多々あり、
これも懐かしみながらくすりと笑えてしまいました。

小学校の徒競走で一等賞をきっかけに常に
一番を目指し続けるという姿勢は良いものの、
それがかえって裏目に出てしまい波乱の人生を
送ってしまうのかと思わされました。
けれどこのあきらめず、懲りない、へこたれないというのが
人生明日はどうなるのか分からないということから考えると
その時々に全力をかけて頑張ってきたことが
この泉一とって全部が宝物だと思えました。
どんな事でも変わらずに自分らしく全力に生きていくと
前向きな行動力にとても救われて、同じように元気が貰えました。

この小説は一人舞台『東京オリンピック生まれの男』を元にして
作られたので内村さんも色々な思いが込められています。
不器用だけれどいつも全力で懸命に生きていく
これが一番シンプルで大事ということが分かる作品でした。

有川浩 ストーリー・セラー  [作者あ行]


ストーリー・セラー (幻冬舎文庫)

ストーリー・セラー (幻冬舎文庫)



ストーリーは妻の病名は、致死性脳劣化症候群。
複雑な思考をすればするほど脳が劣化し、やがて死に至る不治の病。
生きたければ、作家という仕事を辞めるしかない。
医師に宣告された夫は妻に言った。
「どんなひどいことになっても俺がいる。だから家に帰ろう」。
妻は小説を書かない人生を選べるのか。
極限に追い詰められた夫婦を描く、心震えるストーリー。
Story Seller」に発表された「Side:A」に、
単行本のために書き下ろされた「Side:B」を加えた完全版

「side:A」と「side:B」と二つの短編が入っています。
「side:A」では小説家の妻が亡くなってしまうというストーリーで
「side:B」では小説家の妻の夫が亡くなってしまうというストーリーに
なっていますが、「side:B」では途中からこれは小説なのか、
それとも現実なのかと境目が分からなくなり時空を彷徨っていた感じでした。

ダ・ヴィンチで恋愛小説部門で第1位というので手に取り
かなり期待をして読んだのですが、
はっきりとしない終わり方だったので
少し期待外れではありましたが、
どちら側の妻にしても、これだけ夫から至れり尽くせりで
頼もしく心優しくて羨ましいなと思いました。
こんなに良い夫であるのはもしかしたら、夫の元々持っていたモノではなく、
妻が夫に対する好きでたまらなく、いつまでも自分だけのものにしていたい、
という気持ちが強くそれが夫に伝わっていたからそうさせたのかとのも思えました。
特に二つのストーリーのラストを迎える時には、
お互いの優しさが愛に溢れていて心打たれます。

小説家の心情が事細かに書かれていて現実味があったので
やはりこれは有川さんの現実の話か、
それとも願望かなとも考えてしまいました。

様々に想像させられるからこそ、
深い愛の形だと思えたりと一言では書きつくせない思いが多々ありました。
夫婦の在り方や大切な人を思う気持ちをまた考えさせられた作品でした。
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