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柴崎友香 春の庭 [作者さ行]


春の庭 (文春文庫)

春の庭 (文春文庫)



ストーリー東京世田谷の取り壊し間近のアパートに住む太郎は、住人の女と知り合う。
彼女は隣に建つ「水色の家」に、異様な関心を示していた。
街に積み重なる時間の中で、彼らが見つけたものとは―
第151回芥川賞に輝く表題作に、「糸」「見えない」「出かける準備」の
三篇を加え、作家の揺るぎない才能を示した小説集。

芥川賞受賞作ということで柴崎さんの作品を初めて手に取りました。
「春の庭」は水色の家を中心にそれを好きな人とアパートの住人との
日々の日常生活模様が淡々と描かれていています。
読解力の不足なのか想像力が乏しいのか
何が伝えたいのかよく分からず、心に響くものがなく、
頭にも特に残ることなく終わってしまいました。
ただいくら身内の物の形見と思っても
太郎がすり鉢と乳鉢をいつまでも持っていたのが薄気味悪かったです。
主人公の太郎が途中でわたしになったり、
視点も太郎から違う人へと変わったりと
一人称から二人称になったりと変化するので少しややこしかったです。
それが文章のトリックなのかとも思いましたが。

「糸」、「見えない」、「出かける準備」も
ある建物を中心としてそれを取り巻く人々の日常が描かれていましたが、
情景は事細かく描かれているので想像しやすいのですが、
人の心情や行動などがあまり描かれていないので
心にピンと伝わるものが無かったです。

つい何かが始まる気配があるとこれから何かが起きるのかと思い
それを期待しながら読み進めますがそれが無く淡々と過ぎていく。
こんな感じが現実の日常というものかとも思いました。

何とか理解しようと同じ個所を何度か読み返してみたりしたのですが、
あまり伝わるものがなくて、まるで国語の教科書でも
読んでいるかのようで肌にあまり合わなかったようでした。
このような独特な世界感が芥川賞それとも純文学というものかとも思えました。

柴崎さんの作品は他にもまだあるので、他の作品を読んでみたら
また印象も変わるかと思うのでその機会を楽しみにしたいと思います。

坂口恭平 徘徊タクシー [作者さ行]


徘徊タクシー (新潮文庫)

徘徊タクシー (新潮文庫)



ストーリーは徘徊癖をもつ90歳の曾祖母が、故郷熊本で足下を指しヤマグチとつぶやく。
ボケてるんだろうか。
いや、彼女は目指す場所を知っているはずだ!
認知症老人の徘徊をエスコートする奇妙なタクシー会社を
立ち上げた恭平と老人たちの、
時空を超えたドライブを描く痛快作と、
熊本震災に翻弄された家族の再生を探る「避難所」など、
三編を収める新編集作品集。巻末に養老孟司との特別対談を収録。

坂口さんの作品はこの作品初めてです。
私の読解力が無いのか、何処からが現実なのか夢なのか
妄想なのか区別がつかなく分かりにくかったです。
認知症の方を目の前にしたことが無く
ただ知っている情報でしかなく判断が難しいですが
身内の方が認知症になるというのは
やはり心苦しく痛まれない気持ちになると思います。
正気の時があったりボケていることもあったりと
判断は難しいと思います。
けれど恭平が目の前にした曾祖母の行動は恭平がただやみくもに
判断しているのではなく、そこには愛情も入っているので
他の人が思っていることとは違う発想が浮かび
徘徊タクシーが生まれたのかとも思いました。
介護にもこのような変わってアイデアも使われると
介護する人もされる人も少しは心がときほぐれることが
あるのではないかと思わされました。

徘徊タクシーというアイデアはユニークでしたが、
いよいよこれから先が読みたいと思ったら
それが細かく描かれていなくて終わってしまったので
物足りなかったです。

熊本県を舞台にしているので熊本弁や蜜柑畑、
有明海の光景などほのぼのとする部分があったのでこれは良かったです。

徘徊タクシーの他にも蠅、避難所の二作品がありましたが、
こちらもあまり的を得ているようなものでなく
抽象的なもので心に響くことがあまり無くて理解に苦しかったです。
もしかしたらこうゆう作品は私には向いていないのかなと
思ったりしてしまいました。

タイトルが興味深かったので期待をしていたのですが、
少し期待外れだったのが残念です。

重松清 ファミレス(下) [作者さ行]


ファミレス (下) (角川文庫)

ファミレス (下) (角川文庫)

  • 作者: 重松 清
  • 出版社/メーカー: KADOKAWA/角川書店
  • 発売日: 2016/05/25
  • メディア: 文庫


ストーリーは中学校教師の宮本陽平が見つけた離婚届には、妻・美代子の署名が入っていた。
彼女に問いただすこともできずに途方に暮れる陽平。
そして料理仲間の一博の家では、料理講師のエリカとその臨月の娘がなぜか居候。
陽平と、幼なじみの康文も巻き込んだ出産騒動に。
50歳前後のオヤジ3人それぞれの奮闘の行方は――?
「メシをつくって食べること」を横軸に描き出す、夫婦、家族、友情。
人生の滋味がぎゅっと詰まったおいしい物語。
●2017年1月公開映画「恋妻家宮本」原作

それぞれの男性三人衆が女性に翻弄されてピンチになっている所が
何とも面白いと思いましたが、そのピンチも大人になって友達になった
この三人衆で解決が出来たのも良く、
その後の行方も前向きな足取りになったので明るい気持ちになれました。

離婚を切り出したり人生の岐路に立つ時期というのは
男性よりも女性の方が割と早く先の事を見据えていたり、
心構えをしているのだということに気が付かされました。
夫婦の場合、男性は仕事に重視しているせいか
五十代を目前とすると先がある程度見えてくるので
周りのことに着目したりするのかもしれないですが、
女性の場合は家庭に密着していることが多いせいか、
子育て介護などと人と交わっているせいか
理由は定かではないですが男性よりは早目に人生の先の事を
考えているなと思いました。
男性よりも女性の方が自身の身体の微妙な変化からでも考えられるのかとも思ったり。
そんな事なので女性が自分らしく悠々と生きていくというのは
ある意味生まれ持ったものなのかとも思えました。
美代子の場合もおひとり様デビュー気分で行動をしていたので
上巻では理由が分からずにいましたが、
下巻ではその答えが出ていたので少し納得出来ました。

「老眼になると近くが見えづらくなってくるってのは、皮肉っていうか、
うまいことを言っているというか、なんか、わかるな それ。
これからは遠くをクリアに見るより、すぐ近くの手元をしっかりと見るべきなのだろう。
五十代からの人生は、坂の上の雲を追うよりも、
足の下の小石にけつまずかないするほうが大切なのかもしれない」
このようは哲学的な事を時々語っている陽平に
思わす納得させられて心を動かされます。
教師として生徒に対する熱意も時には名言があり、
ここぞという時にはきっぱりと語っているところは尊敬してしまいました。

現代は飽食時代と言われていて身の回りにでは
コンビニ、スーパー、ファミレスなどと
食に対して困ることが無くすぐ手の届く所に何でもあります。
その一方では孤食が増えていたりと食に対する考え方が本来の事から
逸脱していることがあり、食事の有難さなども失われつつあります。
それから家族団欒という一昔前ならばあたり前だったことが無くなり、
個人ばかりが優先や尊重されてしまい
徐々に家族という形が崩れていくようになってきているような気がします。

温かい手料理を食べて大事な人と笑顔を交わせていくことが
家族、夫婦、友達との絆をまた深めていくものだと思わされて
改めて人と食事をするということが大事だということを考えさせられました。

また日常では忘れかけている東日本大震災でのことが
この作品では時々出て来てきて、
ここでさらに家族という形、絆というものを再認識させられました。
特に
「過去の思い出が無くなってしまうと、これからのことも想像できなくなる」
はとても切ない言葉で重みのある言葉でした。

人生の折り返し地点にそろそろ差し掛かってくる頃なので
陽平の言い分、美代子の言い分とどちらも分かるので
読んでいて共感するうことが多々ありました。
人生というのを考えながらこの作品を読むと奥深い所があり、
それとはまた別に若き頃の気持ちも甦ったりとそれぞれの年代の
気持になって楽しめました。

重松清 ファミレス(上) [作者さ行]


ファミレス (上) (角川文庫)

ファミレス (上) (角川文庫)

  • 作者: 重松 清
  • 出版社/メーカー: KADOKAWA/角川書店
  • 発売日: 2016/05/25
  • メディア: 文庫


ストーリーは中学校教師の宮本陽平は、子どもたちが家を出て、
妻・美代子との初めての二人暮らしに困惑中。
ある日陽平は、美代子の署名入りの離婚届を見つけてしまう。
彼女は離婚を考えているのか?
唯一の趣味である料理を通じた友人の一博と康文は、
様子のおかしい陽平を心配するが、彼らの家庭も順風満帆ではなく……。
「人生とは、腹が減ることと、メシを食うことの繰り返し」。
50歳前後の料理好きオヤジ3人を待っていた運命とは?

映画「恋妻家宮本」が公開になったということで
原作を読みたくて手に取りました。

読む前には陽平と美代子の離婚話が中心のストーリーかと思いましたが、
読んでいったらそうではなく陽平を中心とした五十歳前後の男性達の
翻弄されていく人生を描いたものでした。
この男性三人衆はそれぞれの家庭で問題を抱えていますが、
それが男性自体に問題があるわけでなく
女性に翻弄されているところが何とも面白いと思いました。

男性が料理に嵌ると相当凝ったものになると言うのはよく聞きますが、
この三人衆も同じくとにかく美味しさに凝っているので
料理の一つ一つのレシピが細かく表現されているので
美味しさが伝わりこれだけでも料理のレシピ本になりそうなくらいの品目で
目から鱗ばかりでした。
もしかしたら重松さんはグルメな方なのか料理好きなのかなと
想像をかきたてられました。

「メシを作ることは、それを食べる相手の笑顔が見たいと思う。
ってことなんだ。優しさなんだ。
料理を覚えることは、優しさを覚えるってことなんだ。」
などと陽平が食に対して力説しているところは名言で好きです。

うだつの上がらない男性陣の一方では、
女性が自分らしく悠々と生きているのが対照的だと思いました。
特に陽平の妻の行動は夫というのを蔑ろまでしないにしても、
何でもおひとり様デビュー気分で行動をしているので
いったいこの人は何を考えているのだろうと今後も気になるところです。

この他に陽平の担当クラスの生徒のダンが健気で、
中学生なりにも意地を張っていたりする姿が微笑ましいです。
今後のこのダンの成長ぶりを期待したいところです。

ファミレスというタイトルはファミリーレスなのか、
それとも違った意味でのファミレスなのか
それも合わせて男性三人衆の今後の展開が楽しみになります。


瀬尾まいこ 強運の持ち主 [作者さ行]


強運の持ち主 (文春文庫)

強運の持ち主 (文春文庫)



ストーリーは元OLが営業の仕事で鍛えた話術を活かし、
ルイーズ吉田という名前の占い師に転身。
ショッピングセンターの片隅で、悩みを抱える人の背中を押す。
父と母のどちらを選ぶべき?という小学生男子や、
占いが何度外れても訪れる女子高生、
物事のおしまいが見えるという青年…。
じんわり優しく温かい著者の世界が詰まった一冊。

ニベア
ファミリーセンター
おしまい予言
強運の持ち主 の四編の短編集

どの話も心がほっこりと温かくなり、
占い師という職業柄もあるのかもしれないですが
どの会話も温かみやユーモラスを感じられていて
読んでいて楽しい気分になりました。

特に仕事以外での彼氏との会話にはほのぼののさせられて、
彼女がいかに彼氏のことを想っているという気持ちが表れていて
とても可愛らしい女性だと思えました。
そんな彼女が困った時に温かく見守っている彼氏も素敵だと思えて
この二人の光景が目の前に見えるかのようでした。

四編の中でとても印象的だったのが
『ニベア』でした。
小学生の男の子が初めの頃の占いでは子供らしいものでしたが、
それが最終的には父と母のどちらを選んだ方が良いという難題に。
それにはまた深い訳があったりして、
その経緯もまた心が切なくなります。
確かにこの男の子のようにニベアの香りは
懐かしい匂いがするなとは思っていましたが、
それがこの男の子と同じような事を連想させるとは
思いもしませんでしたが、
言われてみればすかさず納得できることなのでしてしまいます。
ニベアの香りが好きだと言う方はみんな同じなの思いを
重ねているのかなと思ったりもしました。

初めは占い師という仕事に特に力を入れているわけでもなく
直感でお客さん相手をしていましたが、
様々なタイプのお客さんと接することにより
占い師としても自覚や役割というのがはっきりとしてきて
人間的に成長されている姿も心地良かったです。

いくら正しいことでも、
先のことを教えられるのは幸せじゃない。
占いにしたって、事実を使えるのが全てじゃない。
その人がよりよくなれるように、
踏みとどまいる足を進められるように、
ちょっと背中を押すだけ。

こんな風に思ってくれる占い師だったらば
私も占って欲しいなと思ってしまいました。
占い師に限らずこんな風に考えてくれるだけで嬉しいかと思いました。

久しぶりに瀬尾さんの作品を読みましたが、
また心がほっこりと温まったので、
これからも読み続けたいと思います。
出来ればまたこの占い師シリーズで同じように短編集が出たら
面白いと思うので期待と願望を込めたいと思います。



佐藤愛子 楽天道 [作者さ行]


楽天道 (文春文庫)

楽天道 (文春文庫)



ストーリーは容姿だけ美しくても、元気がなければ!
五十からは後姿に気をつけて、六十代は性欲に心得を持つべき。
年齢なりの賢さがあってこそ人生は充実する! 爽快エッセイ集。

これから訪れようとするそれぞれの世代をどう生きていくべきかと思い、
心構えや何か参考になることがあるかと思いながら読んでいましたが、
これといったことは今回も書かれていませんでした。

現代の女性にしろ、男性にしても
佐藤さんが生きてきた時代とは全然物事が違い
考えることもなされていることも習慣などもすっかり様変わりしてしまい
比較にならないかと思いました。

けれど時代が変わってもそこに流れている精神論は
今ではどちらかというと排除されがちなことなのかもしれないですが、
これこそ現代人に欠けているものが沢山あるものだと思いので、
それはいつの時代でも受け継ぐべきかと思いました。

頑張るという言葉。
佐藤さんも好きではないと語られていましたが私も同感です。
どんな時でも頑張れと言うことが多いですが、
頑張っていない人なんてこの世の中にいないと思います。
それを簡単に頑張れという言葉一括りに言うのはおかしいとも思ったり、
どんな場合でもこの言葉で済ませてしまい
時と場合によっては相応しいとは思わない言葉とも思ったりします。
これからも簡単に頑張るという言葉は使わないようにと心の底から思えました。

女性は加齢するにしたがって容姿のことになると
深刻に悩みはじめますが、表ばかりを気にせずに
中身を磨きそして後ろ姿をよく見ることが大事だなと知らされました。
中身を磨き上げ、そして後ろ姿をよく見上げたら
きっと良い歳の重ね方ができ、
年齢にふさわしい顔の女性になれるのかなとも思いました。

楽天というのは元々の性格上のこともあるかと思いますが、
いくつもの困難な時があり、そこをいかに生き抜いてきたからこそ
楽天というものが生まれてきたのだなというのも思い知らされた気がします。
人の性格、考え方などはそう簡単に作られたものではなく、
やはり日々の積み重ねから積み上げられたものだと思わされました。
佐藤さんの楽天的性格とこの楽天道はまさに人生そのものだと思いました。

内容が少し『九十歳。何がめてたい』とかぶっているところがありますが、
さっぱりと痛快に物事をさばかれているので
読んでいて面白かったです。
またこの中の各世代になった時に読み返したら
他の考え方も出来るかと思うので参考にしてみたいと思います。

この本も通常の本よりも字が大きくて読みやすかったです。

佐藤愛子 九十歳。何がめでたい [作者さ行]


九十歳。何がめでたい

九十歳。何がめでたい



内容
『九十歳。何がめでたい』というタイトルには、佐藤愛子さん曰く「ヤケクソが籠っています」。
2016年5月まで1年に渡って『女性セブン』に連載された大人気エッセイに加筆修正を加えたものです。  
大正12年生まれ、今年93歳になる佐藤さんは2014年、
長い作家生活の集大成として『晩鐘』を書き上げました。
その時のインタビューでこう語っています。
「書くべきことは書きつくして、もう空っぽになりました。作家としての私は、これで幕が下りたんです」
(「女性セブン」2015年2月5日号より)  
その一度は下ろした幕を再び上げて始まった連載『九十歳。何がめでたい』は、
「暴れ猪」佐藤節が全開。自分の身体に次々に起こる「故障」を嘆き、
時代の「進歩」を怒り、悩める年若い人たちを叱りながらも、あたたかく鼓舞しています。  
自ら災難に突進する性癖ゆえの艱難辛苦を乗り越え92年間生きて来た
佐藤さんだからからこそ書ける緩急織り交ぜた文章は、
人生をたくましく生きるための箴言も詰まっていて、大笑いした後に深い余韻が残ります。
ぜひ日本最高峰の名エッセイをご堪能ください。(2016年8月発表作品)

タイトルのインパクトと佐藤愛子さんと安藤優子さんの対談をテレビで観て
とても面白そうだったので手に取りました。
庶民的な痴話話から政治の話まで何でもずばっと言い切っていて
読んでいてとても爽快で面白かったです。
これだけばっさりと書けるというのはやはり佐藤さんが
激動の人生を乗り越えてきたからこそ出来たことだと思います。
佐藤さんの若い頃は今のような平和な世の中ではなく、
明日を一日をどう生き抜くかという命がけの時代。
そんな時代を経験した方の言葉はとても重みを感じられます。

世代が違っても人としての大切なモノが力強く語られていて、
現代の世の中に欠けているものが炙り出されているようで
端々で共感をしてしまいました。

まだ高齢にはなっていませんが、
高齢になったらどのような生き方になるのか、
それまでの生き方などをヒントや参考にしようかと思っていたのですが、
特にそのような事は語られていませんでしたが、
とにかくその場は全力投球で言いたい事を
きっぱりと言っていたのが印象的でした。
それが元気の秘訣かもと思ったりしました。

けれど長生きするということは、全く面倒くさいことだ。
耳だけじゃない、眼も悪い。
始終、涙が滲み出て目尻目頭のジクジクが止まらない。
などとそれなりに大変な事も多々あり少し元気がなかった時期が
あったようですが、人間は「のんびりしよう」なんて考えては
ダメとか九十歳を過ぎてから分かったというのがあり
こうやって人は何度も力強くなれるのかと思えパワーをもらった気がしました。

「文明の進歩」は我々の暮らしを豊かにしたかもしれないが、
それと引き換えにかつて我々の中にあった謙虚さや
感謝や我慢などの精神力を磨滅させて行く。
もっと便利に、もっと早く、もっと長く、もっときれいに、
もっとおいしものを、もっともっともっと・・・・・・。
もう「進歩」はこのへんでいい。さらに文明を進歩させる必要はない。
進歩が必要だとしたら、それは人間の精神力である。私はそう思う。
この部分には大いに共感して忘れてはならない事だと思い
好きな文章です。
この気持を忘れずに次世代にも受け継でいくべきモノだと思いました。

この本は歳を重ねた方に配慮したのか通常の本よりも字が大きくて、
読みやすかったので優しい心配りに感謝します。
歳を重ねてから読んだら違った視点にもなると思うので、
また後で読み返しても面白いと思いました。

新海誠 君の名は。  [作者さ行]


小説 君の名は。 (角川文庫)

小説 君の名は。 (角川文庫)


ストーリーは山深い田舎町に暮らす女子高校生・三葉は、自分が男の子になる夢を見る。
見慣れない部屋、見知らぬ友人、目の前に広がるのは東京の街並み。
 一報、東京で暮らす男子高校生・瀧も、山奥の町で自分が女子高校生になる夢を見る。
やがて二人は夢の中で入れ替わっていることに気づくが――。
出会うことのない二人の出逢いから、運命の歯車が動き出す。
長編アニメーション『君の名は。』の、新海誠監督みずから執筆した原作小説


映画が大ヒットをしているのでどんなストーリーなのかと思い手に取ってみました。
映画のノベライズ本ということでこの小説版を書かれたようですが、
それにしては情景描写や心理的描写などが
大まかすぎて小説というより台本を読んでいる感じで
少し物足り無さを感じました。
大人が読むというよりもむしろ中高生が対象だと思われます。

思春期に男女の身体が入れ替わり、
まだ見えないどこかにいる大切な人への想い。
誰でも一度は経験をする甘酢っぱい青春への想い。
けれど普通ではない時空を超えての見えない相手との意思疎通に
どれだけの力を注いでも見えない愛との葛藤。
これだけの困難をいかに超えていくかというところは手に汗を握りました。
普段あまり読まないファンタジー恋愛小説のような感覚で、
新鮮で斬新なストーリーで読みやすい作品だったと思います。

現代的なスマホや時空などを超えていてSFタッチで近代を思わせますが、
根底には彗星の話や神社の古くからの習わしなどの事が書かれていて
意外と古風な話などもあってバラエティにも富んでいたとも思います。

小説よりもやはり映画のアニメーションの方が
このような作品には向いていると思うので
映画の本編も機会があったら観てみたいと思います。


酒井順子 この年齢だった! [作者さ行]


この年齢だった! (集英社文庫(日本))

この年齢だった! (集英社文庫(日本))



ストーリーは女性の転機はいつ訪れるのか? 
レディー・ガガ11歳、紫式部35歳、市川房枝52歳……
古今東西の有名女性27人の人生を、転機となった年齢から読み解く。
驚きと共感のつまったエッセイ集。

Ⅰ この年齢だから
Ⅱ この年齢だから
の二部構成になっています。

それぞれ活躍されている時代、場所、年齢などは違いますが
どんな時代であろうとも女性らしく、
その時を懸命に自分らしく
気高く生きていることが素晴らしかったです。

特に古い時代になると今よりも歴史的には女性差別が激しかったですが
その中でも型にはめずに生き抜いていることに力強さを感じ
同じ女性としてとても勇気が湧いてきます。

一人ずつの伝記を読むよりも
これだけの多くの活躍された女性の事が知れることが出来て
とても効率良く学ぶことが出来ました。
大概の活躍されたことなどは知っていましたが、
その裏の隠された事実も知れて驚くこともありました。

中でも向田邦子さんの生き方はとても印象的でした。
TVなどでドラマ化をされていたので多少なりとも知っていたつもりでした。
美人で多くの人から愛され、才能に溢れていた反面、
不幸を抱えていたことを自慢にせずに
毅然とした大人の女性の見本というのを
見せつけられた気がして襟を正す思いがしました。

どんな時にせよ、
というよりも逆境から立ち上がり、
人生を自ら変えていくというスタイルの方が
成功しているのが大きく感じられました。

とかく女性は年齢に左右されることが多いですが、
それに左右されることなく
自分の気持ちに素直に行動して
いつでも前向きにいこうと気持ちにさせてくれた作品でした。

佐藤美由紀 世界でもっとも貧しい大統領ホセ・ムヒカの言葉 [作者さ行]


世界でもっとも貧しい大統領 ホセ・ムヒカの言葉

世界でもっとも貧しい大統領 ホセ・ムヒカの言葉



内容は冒頭にそのスピーチ全文を掲載。
そして彼の他の演説やインタビューの中から名言をピックアップして、
ホセ・ムヒカ氏の人となりと思想、生き方を掲載。

2012年のリオ会議で感動的なスピーチを中心に「世界一貧しい大統領」として
日本でもブームになっていたので手に取ってみました。
ただ漠然としか知らなかったので、これまでの詳しい経歴、活躍されたこと、
名言などが読みやすく書かれていたので分かりやすかったです。

たくさんの物を持つことにこだわれば、
それらのケアに人生の多大な時間を割かなければならなくなる。
自分の時間は自分が好きなことに費やす。それが自由。
このような人生哲学が根底になっています。
何とも身に詰まされる思いがします。

生きてきた時代、経験してきたことに大きな違いがありますが、
政治の指導者というよりも一人の人間としての心得があり、
それがあるからこそ国民の目線で物事を考えられて
多くの支持者を得ることが出来たのかと思います。
多くの政治家を目指している方、
現在政治家である方にも是非読んで欲しいと思いました。

日本の政治に携わる方には特にこの言葉で仕事をしてもらいたいです。
 政治だけでなくお金があまりに好きな人たちは、
 政治の世界から出て行ってもらう必要があります。

物が豊かな時代、情報が溢れすぎている時代に何気なく生活しています。
世界を見渡せばこれとは全く離れた別社会で生きている人達が多くいます。
どちらが人類にとって幸せなのかと問われると、
この本を読むと必然的に答えが導かれるかもしれないです。

彼のようにはすぐには生活、行動の変化をすることは出来にくいです。
けれどそこで一呼吸をしてふと彼のスピーチなどでの言葉を思い出すだけで
何か未来への糧になるかと思いました。

何度読み返しても心にとても響く名言ばかりです。
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