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薬丸岳 友罪 [作者や行]


友罪 (集英社文庫)

友罪 (集英社文庫)

  • 作者: 薬丸 岳
  • 出版社/メーカー: 集英社
  • 発売日: 2015/11/20
  • メディア: 文庫


ストーリーは あなたは“その過去”を知っても友達でいられますか?
埼玉の小さな町工場に就職した益田は、同日に入社した鈴木と出会う。
無口で陰のある鈴木だったが、同い年の二人は次第に打ち解けてゆく。
しかし、あるとき益田は、鈴木が十四年前、
連続児童殺傷で日本中を震え上がらせた「黒蛇神事件」の犯人ではないかと疑惑を抱くようになり―。
少年犯罪のその後を描いた、著者渾身の長編小説。

映画化が公開になるというので手に取りました。

自分の友人が殺人犯だったらというとても難しく重いテーマでした。
加害者側それを取り巻く家族、
それを支える医療少年院いた頃のサポートチームの教師などの
視点でも描かれています。
とかく一般的には遺族側からの視点で描かれることが多いですが、
これは視点が違うのでそれだけでも印象深くて遺族側と同様にして
生きていくことに対しての苦悩が伝わります。

加害者が少年ということで教護院などでたとえ更生したとしても、
いくら過去の罪を背負って生きてたとしても、
周りからはそう見られることが無く過ごしていると見えてしまう。
いくら償っても償い切れない現実から逃れられなく、
そして過去の過ちから逃れられることがない鈴木の様子を見ていると
とても苦しい気持ちになりました。
けれど遺族側の立場から見てみれば
こんなことは当然の事だと思ってしまう。
両者の心情を考えるととても安易に答えを
出すには難しいと思ってしまいました。

そして加害者が友達と思った人に打ち明けらるのも苦しく、
それを知ってしまった恋人、職場の一部の人達は
どうやって加害者と共に接して生きていけば良いのかと
とても考えさせられました。
もし自分であったらと思うととても想像できないです。

益田のとった行動は少し迂闊な部分もありましたが、
最後の手記は加害者にとって救われる思いと
贖罪の思いも重なり両者にとって未来のある手記で
寄り添い心のある言葉であり心に沁みました。
またここでも加害者にとってメディアの在り方も
どうかと考えさせられました。
ただ真実だけを伝えるだけで良いのか。
それとも人として伝えるべきなのか・・・

重いテーマのストーリーですが、
飽きることなくそれどころかストーリーにぐいぐいと引き込まれて
一気に読んでしまいました。
結論は各々の考え方で違うと思いますが、
益田の手記でもあったように
二度と同じ過ちを繰り返さないで、
自分の罪と被害者やその家族への償いの気持ちを深めながら、
人間として強く生きていって欲しいという気持ちが
更に強く思えました。

最近は凶悪事件や理不尽な殺人事件など人を簡単に
傷つけてしまうような事件が多くなってしまった時代なので
こんな時こそこのような作品を多くの人達に読んで
心を揺さぶらせてもらえたらと思います。
男女、世代を問わずに読める作品なのでお勧めです。
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山本文緒 あなたには帰る家がある [作者や行]


あなたには帰る家がある (角川文庫)

あなたには帰る家がある (角川文庫)

  • 作者: 山本 文緒
  • 出版社/メーカー: KADOKAWA
  • 発売日: 2013/06/21
  • メディア: 文庫


ストーリーは紹介 家を建て直そうか。新しい書斎、広い台所。
そうすれば家族はもっと幸福になるに違いない。
学校教師の茄子田太郎は、住宅展示場で営業マン・秀明と出会う。
一方、秀明の妻・真弓ががむしゃらに手に入れた家庭は、天国ではなかった。
子供は好きだけど、もし自分が夫と同じくらい稼げたら?“
たまには憂さ晴らしをする権利”だってほしい。そうだ、働こう。
二組の家族の、運命の歯車が動き出す!家族の幸福を問う、極上小説。

山本さんの作品は好きなので何冊か読んでいますが、
ドラマが放映されるというので
この作品も読んだと思ったのですが内容を全然思い出さなかったので
手に取りました。
登場人物をドラマのキャストの人と想像しながら読んでいったので
更に分かりやすかったですが、ドラマとは少し違う印象でした。

専業業主婦というものは家事、育児、介護などと常に日頃から
時間に関係なく働いていて、自分の時間というものもなく、
常に家族の人のために働いているのに
特に評価もされずにいるととても孤独だなと思います。
真弓にしても綾子にしてもそれは共通しているのだと思いますが、
その解決策が二人は違っていてこれもまた女性ならではだと思いました。

前半の茄子田の印象はなんて嫌な男性だなという思いが強いですが、
後半になると本当は純粋な人で結婚の前も後もぶれなくて、
この登場人物の中では一番
まともな人間ではなかったかと思えました。
その反対に秀明は優しい良い人というイメージでしたが、
何だか話を進めるごとに常に自分の楽な方にしか考えず、
自分本位で好きな事にしか関心がないみたいで、
こうゆう人はもしかしたら夫にするには
値しない人なのかなと思えてしまいました。

結婚する前と後では環境が違ってきたり、
立場も徐々に変わってくるので同じようにはいかないということは
よく分かりますが、その時々に変わっていくのを
夫婦で会話をしながら確認をしながら臨機応変に
していけばこのようなトラブルなども無かったのかとも思いました。

それにしても謎や秘密の多い茄子田家には驚かされてばかりで、
特に綾子の過去から現在に至ってはとても想像できないことばかりでした。
真弓に比べたら綾子のような人は
女性から見ても苦手なタイプだと思うし、
こうゆう女性にはなりたくもなく、
友達になるのもちょっと怖くて気が引けます。

真弓の時として秀明に冷たく口走ってしまう言葉も
自分の思い描いていた結婚生活ではなく物足りないものだったり、
一人の女性としての何か生き甲斐のあるものが欲しかったから
お金だけでなく働きたいという意欲が強くなったのかとも思いました。

秀明の浮気が無ければ働くということに対しても、
前半の考え方とはまた違った考えにもなり、
秀明もそれなりの自分の生き方を少しは考えるようには
なったと思うので少しは明るい未来が開けて
良かったようにも思えました。

ただ家事はいつも妻や女性だけがするという固定観念は
もう捨てて、気が付いた人がしたり、
協力し合ったりその場において臨機応変にして欲しいなという
思いが強く残りました。

結婚生活とは、夫婦とは、家族とはと改めて考えさせられることが
多々あり、結婚の意味は何かと思わされる作品でした。

あとがきに20年以上前の作品だと書かれていましたが、
時代に関係なく違和感なく読めました。
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矢部太郎 大家さんと僕 [作者や行]


大家さんと僕

大家さんと僕

  • 作者: 矢部 太郎
  • 出版社/メーカー: 新潮社
  • 発売日: 2017/10/31
  • メディア: 単行本(ソフトカバー)


ストーリーは1階には大家のおばあさん、2階にはトホホな芸人の僕。
挨拶は「ごきげんよう」、好きなタイプはマッカーサー元帥(渋い!)、
牛丼もハンバーガーも食べたことがなく、僕を俳優と勘違いしている……。
一緒に旅行するほど仲良くなった大家さんとの“二人暮らし”が
ずっと続けばいい、そう思っていた――。
泣き笑い、奇跡の実話漫画。

性別も年齢も違うのにこんなに仲良く過ごしているのが
とても微笑ましく羨ましくも思えました。

最初はとっちつかずな矢部さんが徐々に大家さんの優しい心に寄り添い、
いつの間にか食事をしたりお喋り相手になっていて
親子とも友達とも違った程良い仲の良さの距離感が良いです。

大家さんの気品の良さ、昔の事を大事にして、
新しい事も徐々に取り入れて、
そして今この瞬間を丁寧に生きていて
人としての生き方がとても誇らしくこんな歳の重ね方は
素敵だなと思いました。
所々の矢部さんへのつっこみが面白かったです。


そんな大家さんと仲良く出来ているということは
矢部さんも同じような心の持ち主だと思い
ちょっと見直してしまいました。

とかく今は核家族化などで高齢者と交わることが少なく、

私も小さい頃から祖父、祖母とは一緒に暮らしたこともなく、
このようにじっくりと話したことが無いので
こうゆう交流がとても大切だと思いました。

のんびりと心温まる作品だったので、
またのんびりと繰り返し読んでみたいと思いました。
大家さんとのこの後のことも知りたいので
続編を期待したいところです。
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是枝裕和、佐野晶 三度目の殺人 [作者や行]


三度目の殺人【映画ノベライズ】 (宝島社文庫)

三度目の殺人【映画ノベライズ】 (宝島社文庫)

  • 作者: 是枝 裕和
  • 出版社/メーカー: 宝島社
  • 発売日: 2017/09/06
  • メディア: 文庫


ストーリーは「本当のことを教えてくれよ」― 『そして父になる』の是枝裕和監督作品、真実の小説化。
弁護に「真実」は必要ない。
そう信じ、勝利するための“法廷戦術”を追求してきた弁護士・重盛。
しかし、ある事件の被疑者・三隅は、供述を二転三転させ、重盛を翻弄する。
そして次第に明らかになる、三隅と被害者の娘の関係。
本当に裁かれるべきは、だれか。
心の底から「真実」を求め始める重盛の前に浮かび上がるものとは。

9月9日に映画の公開があったので手に取りました。
真実を求めるために重盛が最後まで三隅と関わり合いますが、
何度も供述が変わるのでそのたびに翻弄されていくので、
読んでいても考え方ががらりと変わるので最後まで気が抜けません。
真実を知るためには司法という壁を突き破るべきか。
実際の裁判ではこのようなことがあるのは少ないかと思われますが、
あるとしたら司法の難しさというのを感じました。

人殺しは普通での人間ではないということ。
それは生まれつき殺人の欲求を抱いてしまう人なのか、
それとも環境によってそうなってしまう人なのか。
世の中でもあまりにも残虐で動機が不可解な事件が起きると
専門家が語っていることでさえも
解明できないことがあるので現場に立ち会わせている人達から
みるときっとこんな見解になるのかもしれないと思ってしまいました。

次々と真相が明らかになっていきますが、
その中で被害者と娘の関係はとても残酷で胸に詰まる思いがします。
それが果たして三隅が善意でしたことなのか、
それとも利用したことなのかが謎です。
他の人達もここでは本当の事を語っていないので
どれが本当のことなのか
考え出したら切りがなくなりそうです。
果たしてこの事件の真相は・・・と言いたいところですが、
この判断はそれぞれに委ねられているのでもどかしかったです。

情景や心情などが大雑把に描かれていているので
脚本を読んでいるかのようでした。
普通のミステリー小説と比べてしまうと物足りないと思うので、
ノベライズ本と割り切って読めば違和感はないかと思います。
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短編学校 米澤穂信、本多孝好、中村航他 [作者や行]


短編学校 (集英社文庫)

短編学校 (集英社文庫)

  • 作者:
  • 出版社/メーカー: 集英社
  • 発売日: 2017/06/22
  • メディア: 文庫


ストーリーは個性あふれる作家陣が、
大人への階段を上ろうとする人生の一瞬を
鋭くとらえた短編作品10本を集めたアンソロジー。

913 米澤穂信
エースナンバー 本多孝好
さよなら、ミ子オ 中村航
タウンター・テコンダー 関口尚
骨 井上荒野
ちょうどいい木切れ 西加奈子
少年前夜 吉田修一
サイリウム 辻村深月
マニアの受難 山本幸久
ねむり姫の星 今野緒雪

短編少女、少年と読んで面白く、
今年三部作の短編集の最終ということもありこの本を手に取りました。
今回は学校がテーマだと思い読んでいましたが、
学校というテーマは殆どなく子供から大人への階段を上っている
最中のことが中心で普通のもあればミステリーやSFという
ジャンルもあって色々と楽しめました。

前半の作品は割とストーリーも面白く濃厚な作りでしたが、
後半の作品はさらりと読めてしまって物足りさが少々残りました。

特に印象的だった作品は「913」、「エースナンバー」、
「ちょうどいい木切れ」、「少年前夜」。

「913」は高校の図書館からごく平凡な学校生活でも
始まるのかとも思いきや、金庫を開けて欲しいという先輩からの
依頼から探偵コンビができ、このやり取りも見所ですが、
そこから数字へのトリックや謎解きになっていき
独特な雰囲気の中で解決されていくのが面白かったです。

「エースナンバー」はこのテーマにも相応しい
学校での部活が舞台になっています。
単純な青春のスポーツだけではなく、その裏側に隠されていた
当時のエースとしての心境とそれを取り巻いている状況が
当時では思い知ることが出来なかったものが
後になってから本当のことが解明されていくという
何とも甘酢っぱい思いがしました。
けれどこうゆう裏側が隠れて見えないからこそスポーツの良さ、
スポーツ精神の良さがあるのだと思わされました。

「ちょうどいい木切れ」はタイトルからは
とても想像の出来ないものでした。
自分の背の高さがコンプレックスになっている主人公が
背の小さな人と出会ってしまうというそれだけの話ですが、
まるで得体の知れない物を追っていくかのような描写は
ドキドキはらはらとしてとてもスリリングでした。
なんだかくすりと笑えてしまうオチが何とも掴み所がない面白さでした。

「少年前夜」はとある田舎に住んでいる少年が
少女と付き合っているという普通の光景。
けれどこの少年にはとても暗い過去を背負っていて、
拭い去りたくても出来ないことが
またこの少年を苦しめています。
本当は心の中では寂しくて会いたくてたまらない母親なのに
それが普通の生き方ができなかったせいか、
それも上手受け入れること出来なかったので
とても切なく感じました。
ラストには明るい兆しが見えるような素振りもありましたが、
明確には描かれていないのでこの少年の生き方がとても気になります。
これをきっかけに全てを受け入れて一歩進めれば良いなと思いました。

まだ大人にはなりきれない、
粗削りな大人や未熟な大人ならではの
ことばかりなので青春のような甘酸っぱさやほろ苦さなどが
随所に出てきてそれがまた懐かしい気分になったりして
新たな思い出のページを捲っていたようでした。

いくつ歳を重ねてもまだまだいい大人にはなれないので、
こうやって初心を戻れるのも良いなと思いました。

読んだことのない作家さんが今回は多かったので
これをきっかけに他の作品も読んでみたくなりました。

山本文緒 なぎさ [作者や行]


なぎさ (角川文庫)

なぎさ (角川文庫)

  • 作者: 山本 文緒
  • 出版社/メーカー: KADOKAWA/角川書店
  • 発売日: 2016/06/18
  • メディア: 文庫


ストーリーは故郷を飛び出し、静かに暮らす同窓生夫婦。
夫は毎日妻の弁当を食べ、出社せず釣り三昧。
行動を共にする後輩は、勤め先がブラック企業だと気づいていた。
家事だけが取り柄の妻は、妹に誘われカフェを始めるが。
小さな秘密が家族と暮らしに変化をもたらしてゆく。
生き惑いもがきながらも、人生を変えてゆく大人たち。傑作長篇!

夫婦がそれぞれに悩みを抱えているのに、
それが夫婦なのにある一定の隙間で保ち生活を送ってしまう。
そしてそれがとうとう心身共にギリギリになったところで
お互いの悩んでいた所にやっと踏み込むでいくという
よくある夫婦のタイプでもありますが、
これがお互いに信頼していたから言い出せないのか、
それとも信頼できないから言い出せないのか。
これは実際の夫婦でもギリギリのせめぎ合いがあるのでよく分かります。
これが夫婦ではなかったらどんな風な展開になっていたのだろうかと
思ってしまいました。

その一方で芸人に挫折し会社員となった夫の後輩が
程良い距離感で上手く付き合いながらも、
一人しきれず夫婦とは違った青年らしい悩みを抱えて
生き方を出していく姿が泥臭いですが
自分に正直に生きている感じが好感を持てました。

姉妹で良い仲だと思ったらまたここにも少しの隙間があったり。
その原因にもなっているのがこの家族の秘密があり
これが夫婦の悩みに少し加担したところもあり
前半よりも後半はかなり状況が蜜になってきた場面が
多くて思わずページを捲る手が止まりませんでした。

妻が誰にも悩みを言うことが出来ず、
自分の膝を抱えて泣き過ごしていくという気持ちが
とてもいたたたまれなかったです。
側に誰かいるのに誰も打ち明けることができなくなってしまうと、
自分で自分を慰めるしかないかと
大人になればなるほど孤独な世界があるかとこの本でも痛感します。
けれど妻に仕事をはじめてから徐々に本来の自分を
取り戻していく場面は、とても生き生きとしている環状が伝わり
思わずそのまま頑張れと励ましたくなりました。

夫婦とのあり方も大事だと思わせる作品でもありましたが、
家族とは別に側にいて誰かいて励ましてくれている人の姿や言葉が
とても心を動かされました。
中でも
「力まなくていいよ。
 生きていくということは、やり過ごすということだよ。
 自分の意思で決めて動いているようでも、
 ただ大きな流れに動かされているだけだ。
 成り行きに逆らわずに身を任すのがいいよ。
 できることはちょっと舵を取るくらいのことだ。」
この言葉に私も背中を押された気持ちなので、
辛く悲しくなった時には思い返したいと思っています。

久しぶりに山本さんの作品を読みましたがとても心が温まり、
夫婦、家族をはじめとして全てを取り巻く状況の中で
それぞれに目を向けることに大切さ、
そしてまた前向きになっていこうと思える作品でした。


吉田修一 怒り(下)  [作者や行]


怒り(下) (中公文庫)

怒り(下) (中公文庫)

  • 作者: 吉田 修一
  • 出版社/メーカー: 中央公論新社
  • 発売日: 2016/01/21
  • メディア: 文庫


ストーリーは殺人現場には、血文字「怒」が残されていた。
事件から1年後の夏、物語は始まる。
逃亡を続ける犯人・山神一也はどこにいるのか?
房総半島、新宿、沖縄。3組の家族の前に前歴不詳の男が現れて……。

身近な人が犯人と似ているということとなるとどうなるのだろうか。
自分に置き換えて考えていると考えさせられます。
犯人ではないと分かりながらもどこか心の隅で疑ってしまう。
そんな疑いをかけながらその人に対してではなく、
その場から逃げようとする心理も働くのかと。

そして人は今まで信頼していた人を信じられなくなったらどうなるのだろうか。
信じられなくなった瞬間に今まで築き上げたものや
その人の大事な物までも失ってしまう可能性が大いにあり得るということが
この作品ではよく分かりました。

三つの舞台での身元不明の男性が同じ犯人かと上巻では思いましたが、
下巻ではそれぞれ違う人物だということが徐々に明かになっていくのでこれは意外でした。
そして沖縄の舞台でレイプ被害に遭った少女が、
少年のために勇気のある行動をとったことについても意外でした。
これはお互いに口に出してはいないものの
心のどこかで通じるものがありお互いを支えているものだと思い、
少女がこれから厳しい環境にさらされながらも
懸命に生きていこうという決意のように感じられました。

この事件である人が関わりますが、
事件を発見したにも関わらず何もせずにその場で笑っていたというのは
とても憤りを感じて許せない気持ちなりました。

結局、事件の真相が分からずはっきりとした動機が分からなかったのと、
美佳の過去も何も分からないままだったので少しもやもや感が残りました。
けれど実際の犯罪でも最近の事件でははっきりとした動機もなく
残酷な事件なども多発しているのでこれもありなのかと思いました。
けれど「怒」と書かれていたのは不明なままなので納得がいかないです。

現代社会も様々に多面的な顔を見せるように
人の心も多面的な面を持っていて
それがいつどのように出てきてくるのかというのが鍵だと思います。

この作品はミステリー作品ですが、
ミステリーというよりも心理的要素が大幅に占めているので
ヒューマ二ティー作品だとも思いますが、
それでも十分に緊迫感漂い読み応えのある作品でした。

吉田修一 怒り(上) [作者や行]


怒り(上) (中公文庫)

怒り(上) (中公文庫)

  • 作者: 吉田 修一
  • 出版社/メーカー: 中央公論新社
  • 発売日: 2016/01/21
  • メディア: 文庫


ストーリーは殺人現場には、血文字「怒」が残されていた。
事件から1年後の夏、物語は始まる。
逃亡を続ける犯人・山神一也はどこにいるのか?


作品と同名が映画化されるというので面白そうなので手に取りました。

東京、千葉、沖縄の三つの舞台に身元不明の三人男が現れて、
それぞれの土地でのストーリーが並行に展開されていきます。
そのストーリーの中でそれぞれの人物に悩み、問題があり、
その描写が細かく情景などもとても細かく描かれていたので
とてもリアル感があって頭の中で想像しやすかったです。
サスペンスというのに伏線というべきそれらしきものが
大概の場合には出てくるのですが、
どこにも見当たらずに展開されていくので、
逆にこれがスリル感となり読む手を早めさせられました。

三つの舞台でのストーリーもどれも現実的な問題に直面しているのが
ひしひしと伝わりましたが沖縄での問題は読んでいて
とても胸が苦しい思いがしました。
途中で涙が出るのを抑えるのが必死でした。
南国の蒼くて綺麗な海とは対照的にここに来て
沖縄の米軍基地問題をまざまざと考えさせられたところが見事だと思います。
改めて沖縄の人達の苦悩を考えられずにはいられなくなりました。

三つの舞台の他に凶悪事件を追っているある警察官の動きも
サブストーリーとして動いているのでこちらもまた違った観点から
進みそうなので注目したいところです。

まだ事件解決への糸口が出ていないので、
今後どのようにして物語が展開していくのかが楽しみです。

山口花 あなたと暮らせてよかった―犬から聞いた素敵な話 [作者や行]


あなたと暮らせてよかった―犬から聞いた素敵な話

あなたと暮らせてよかった―犬から聞いた素敵な話

  • 作者: 山口 花
  • 出版社/メーカー: 東邦出版
  • 発売日: 2014/03
  • メディア: 単行本


目次
01 To my Dog飼い主から愛犬へ―。
(ヒメ―目覚めたときの、この胸のワクワク! ブチ―ブチが教えてくれた大切なこと。
コテツ―いつまでもあたしの心にいてくれる。
ドリー―忘れずにこれから前に進むこと。
ジョン―初めて見えた、たくさんのこと。
ポン―私はいま、昼間が好きだ。
クルミ―どんどん元気に、どんどん笑顔に。)

02 To my Master愛犬から飼い主へ―。
(ハッピー―みんなのこと、ボクは忘れない。
ブブ―どんなふうに笑うかな?
リリー―みんなの笑顔に会いに行かなくちゃ。
風太―いつもそばにいるよ。
リキ―いっぱい、いっぱい笑おうね。
マロン―パパのこと、応援してるからね。
レオ―ボクは、きっとしあわせになります。)


ヒメの話は今の私が似たような心境のストーリーなので共感出来て
心が癒されました。
ドリーはお別れをする話だったので
ちょっと涙が出そうになってしまいました。
犬っていつでも健気に何も言わずに目を潤ませて
人の言葉を聞いてくれているので本当に良いなと思いました。
その反対に犬もご主人様が優しく接してくれたら
嬉しいのでもっとそれに答えようとするので
犬ってペット以上にまさに家族の一員だなと思いました。

愛犬から飼い主になる章は多分犬の行動を見て、
犬がこんな気持ちなんだろうなという感じで書かれています。
こう思いで犬がもし思っていたと考えると
犬の行動やちょっとした仕草を見逃せないかと思いました。
犬の気持ちになって読むのもまた違って面白く意外な一面を見ることが出来ます。

犬がいることによって生活が潤ったり、
心が和んだり、人と同じように心を持っているので
大事にゆっくりと育ててあげれば本当に心の通う相棒になると思いました。
なんだかそんな関係がとても羨ましく思い、
この本を読んでいると犬が飼いたくなってしまいます。

犬の種類も様々で盲導犬、セラピー犬、子犬、成犬、老犬などと
成長に合わせた犬も登場します。
これだけでも犬のれぞれのストーリーがあり、
人と同じように十人十色で個性が伝わって良かったです。

どのストーリーも共感と感銘でき、
とても読みやすく心の癒しの一冊にお勧めです。


HPのYuimiko's MemoriesのGalleryにも本の紹介をしているので、
そちらも良かったら見てみて下さい。
http://happy1996.web.fc2.com/

山口花 犬から聞いた素敵な話 涙あふれる14の物語 [作者や行]


犬から聞いた素敵な話 涙あふれる14の物語

犬から聞いた素敵な話 涙あふれる14の物語

  • 作者: 山口 花
  • 出版社/メーカー: 東邦出版
  • 発売日: 2012/12/20
  • メディア: 単行本(ソフトカバー)


ストーリーは犬から人へ――、人から犬へ――。ずっと、いつまでも。
実話をもとに人と犬とのキズナを描いた全14編の感動ストーリー。

第一章 飼い主から愛犬へ――。
1 うちに来てくれて、本当にありがとう。
2 ずっと僕たちのなかで生きている。
3 あるがままを受け入れること。
4 私はいま、ひとりじゃない。
5 さあ、行こう。
6 ゆっくり、しあわせになろうね。
7 あきらめないで信じること。

第二章 愛犬から飼い主へ――。
8 もっともっと、泣いていいよ。
9 助けてくれて、ありがとう。
10 春になったら、またお庭に花を。
11 よかったね……山本さん。
12 アタシ、忘れない。
13 またいつか、きと……。
14 しあわせになってね。

犬を飼ったことがないですが、犬が好きなので
この本が紹介されていた時にすぐに目に留まったので手に取りました。

どのエピソードも心を揺さぶられて、
目頭が熱くなってしまうものばかりでした。

やはり飼い主さんから愛犬の方が心打たれるものが多く、
飼い主さんが辛い事、悲しい事、寂しい事などがある時に
そっと何も言わずに傍らに居てくれて
心を癒してくれるのが犬とは思えずまるで人のようでした。
言葉はなくても行動だけでも癒されるのが
良いところで人よりも癒される効果が大きいかとも思いました。

愛犬から飼い主さんでは愛犬はきっとこんな風な言葉を
話しているんだろうなというのが、仕草、行動から良く分かるので
犬を見る視線がこれからは変わりそうな気がします。

ぺットはその家の悪い物を吸収してくれたり、
取り除いてくれたりとぺットを通して良い家族間が生まれるというのを
聞いたことがありますがこの本を読んでまさにその通りだと思いました。

犬は特に飼い主さんに忠実なので家族の一員といっても過言ではないと
改めてこの作品で思いました。

言葉はなくてもそばにいるだけで幸せな気分。
そんな関係が近くにいるだけで本当に幸せなことだと思いました。

心温まるエピソードばかりで幸せな気分になれるのでお勧めな作品です。


HPのYuimiko's MemoriesのGalleryにも本の紹介をしているので、
そちらも良かったら見てみて下さい。
http://happy1996.web.fc2.com/
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