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森美樹 主婦病 [作者ま行]


主婦病 (新潮文庫)

主婦病 (新潮文庫)

  • 作者: 森 美樹
  • 出版社/メーカー: 新潮社
  • 発売日: 2017/12/25
  • メディア: 文庫


ストーリーは「たとえ専業主婦でも、女はいざという時のために
最低百万円は隠し持っているべきでしょう」。
新聞の悩み相談で目にした回答をき っかけに、美津子はある仕事を始めた。
八時三十分から三時まで、昼休憩を除いて六時間勤務。
完全在宅勤務でノルマなし。
欠かせないのは、熟したトマト─。
R 18文学賞読者賞を受賞した「まばたきがスイッチ」をはじめ、
生きる孤独と光を描ききる六編を収録!

眠る無花果
まばたきがスイッチ
さざなみを抱く
森と密
まだ宵の口
月影の背中 6編を収録

眠る無花果
母との永遠の別れがまだ受け入れられないのに、
新しい母親を受け入れるのにこの歳ならではの葛藤がありながらも
戸惑いつつ受け入れるのが意外と早かったのが驚きでした。
この母親と父親との関係も何だか生々しくて
お互いに密やかな裏の心がありそうで、
様々な余韻を想像させられました。
無花果の花言葉のように生前の母は女であり
純粋であったようにも思えます。
けれどそこにはまた夫婦しか分からない愛情や絆などが
この短い中に秘められているのでただの短編とは思えなかったです。

まばたきがスイッチ
この主婦の仕事がまた生々しいけれど仕事として割り切るところが潔い。
夫とのことは割り切り、次のステップに徐々に移行しているところが
したたたかでスリリングでした。
こんな事は現実にはできないと思いますが、
誰でも密かに願望はあるのかと思ってしまいます。
いざという時の100万円は用意すべきか?
この100万円は高いのか?それとも安いのか?
なんて思ってしまいました。

さざなみを抱く
夫をやっと自分に振り向かせるチャンスだったのに
こんなラストになってしまうなんて切なすぎました。
夫婦としてはダメだったけれど、
人間同士だったら良い仲間だったなのかと思えました。
それが救いかどうか・・・
彼女らしくぶれない人生を送って欲しいと思ってしまいました。
このタイトルのさざ波というのは一見すると爽やかですが、
後から考えてみるとかなり意味深なことに思えます。

森と密
眠る無花果の続編というべきか、母親の視点で描かれています。
封印されていた過去を振り返りながら夫とのことも描かれていますが、
あまりにも過去の事が生々しいので読んでいるのが
少し苦しい気持ちになりました。
母であり妻ででありその前に一人の女であったということ。
それが強く印象に残る作品でした。

まだ宵の口
「それぞれの女の悲しみがある。
どんな母親だって、母親じゃない自分を夢見るよ。」
これは良いことなのか、悪いことなのか。
この作品では女性の立場として二極に分かれるかなと思えた作品でした。
けれどいくら女であったとしても
子供のことは二の次にしてというのはちょっと人としては
失格だなと思ってしまいました。

月影の背中
お金持ちで何不自由のない生活をしていた女性が、
結婚した相手が普通ではない人でなかったばっかりに
人生の歯車が少し狂い出したように思えました。
元々持っていた気質や性格のようなものもあるのかもしれないですが、
それが自分と合わなければ合う人を
求めてしまうのが性なのかもしれないです。
偶然にも行き着いた先で激しい恋に堕ちてしまって
この先がどうなるかも分からないけれど、
それでもそこにしがみついていくというのはやはりこれが
本望なのかと思ってしまいました。
「いつか一緒に天国に行こう。」という台詞は決まり事のような
言葉でもあるけれど、これもある意味での意味深言葉です。

六作品のうち前半の三作品は女性の秘めたる想いを中心に描かれていて、
読んでいてもまだそんなには苦痛にはならなかったですが、
後半の三作品はかなり積極的な女性の想いを中心に描かれていて
かなりリアルで生々しい表現があるので少し苦痛気味でした。

全作品の中に必ず金髪の若い男というのが登場してきますが、
これは何か深い意味があるのかなと思いましたが、
風貌が金髪の若い男という方が想像力をかき立てられるみたいなので
こんな風に出てくるのかと思いました。

この本のタイトルが主婦病となっていますが、
主婦病というと少し主婦を偏見した見方に思えるので
違うものが良いかなと思えました。

森さんの作品は初めてですが女性の心底に秘めているものを
リアルに生々しく描かれていると思いました。
なかなかこのような事を心のどこかで思っていても
いくら女性同士でも堂々と会話にして出来ることではないので、
そういった意味では余計に切実な問題だなと思ってしまいました。
何よりも女性はいくつ歳を重ねても女性なんだなと思わされて、
ちょっと女性とは?そして夫婦とは?と普通の観点からではなく、
裏の方向から見ることで考えさせられました。

R18受賞作品というだけあるので
あまりリアルにレビューも書けないので
ややオブラートに包んで書いています。
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森沢明夫 エミリの小さな包丁 [作者ま行]


エミリの小さな包丁

エミリの小さな包丁

  • 作者: 森沢 明夫
  • 出版社/メーカー: KADOKAWA/角川書店
  • 発売日: 2016/04/27
  • メディア: 単行本


ストーリーは信じていた恋人に騙され、職業もお金も、居場所さえも失った25歳のエミリ。
藁にもすがる思いで10年以上連絡を取っていなかった祖父の家へ転がり込む。
心に傷を負ったエミリは、人からの親切を素直に受け入れられない。
しかし、淡々と包丁を研ぎ、食事を仕度する祖父の姿を見ているうちに、
小さな変化が起こり始める。
食に対する姿勢、人との付き合い、もののとらえ方や考え方…。
周囲の人たち、そして疎遠だった親との関係を一歩踏み出そうと思い始める―。
「毎日をきちんと生きる」ことは、人生を大切に歩むこと。
人間の限りない温かさと心の再生を描いた、癒やしの物語。

心に傷を負っていまったエミリと昔堅気で少し口下手で
シャイなおじいさんとの会話や接し方が
微妙な心の距離感で傷ついた心を癒してくれて
本当に良かったと思ってしまいました。

エミリの過去を洗いざらいに話してしまった
同僚の沙耶の行動というか性格は読んでいて腹ただしかったです。
こうゆう友達とはなるべくなら近くにいたくないです。
この発言からエミリの過去を聞いて少し衝撃的だったのは事実ですが、
何もこんな場でというのは誰でも思ってもしまうかもしれないです。

おじいさんの生き方は魚を釣り、読書をして、美味しい料理を作る
そして周りの人達と楽しく一日を大切に生きているなと思いました。
こうゆうことが人生を濃くしているのかと思えました。
何か大きなことをするのではなく、一日を大事に生きる事の方が
大切だと教えてくれました。

森沢さんの作品では心に残る温かい言葉が沢山詰まっています。
この作品でもいくつもありました。
その中でも
おじいさんの言葉
 幸せになることより、満足することの方が大事だよ

心平さんの言葉
 生きていれば、誰にだって悪いことは起こるし、
 だからって、ずっと嫌な気分で生きている
 必要もないわけじゃん

 辛い時でも鼻歌を歌っていれば、世界は変えられなくても、
 気分を変えることなら出来る

この言葉がシンプルだけれどすぐに実行できそうで
心にいつまでも留めておきたいと思いました。

なぜ作家を「先生」と呼ばせないのかという理由が
これまた納得のいく説明だったので、
もしかしたら森沢さんも同じような事を考えているのかと
思ったら余計に親近感や謙虚さなどが伺えてました。

エミリにとっては辛い経験をしてしまったことだけれど、
おじいさんや田舎の優しい人達を触れ合うことにより
人生の再スターとを歩み出せることができたと思ったら、
この夏での出来事は人生での夏休みだと思えば
本当に良い経験と思い出だなと思いました。
居場所を無くしてもありのままを受け入れてくれる
人と場所があれば人は何度もやり直せるかとも思いました。

エピローグではおじいさんの本音や
エミリのお母さんも登場して昔の事から
これからのことのも語っていたのでとても後味の良いラストでした。

田舎の海辺が舞台となっているので
清々しい海と青空が想像できて、
早く暑い夏が来ないかなと思ってしまいました。

以前の作品でも風鈴の凛という音色に特別な想いを
感じていましたが、今回は更にこの音色が色々な想いが
乗せられているように思い、これから風鈴の音色を聞いたら
そっと耳を傾けたくなりたくなる心境になりました。

今回も心がとても温まり癒されて、
毎日をきちんと生きるということは
人生を大切に歩むということを教えられて大事な一冊になりました。
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村山崎 コンビニたそがれ堂こんびに [作者ま行]


(P[む]1-17)コンビニたそがれ堂 小鳥の手紙 (ポプラ文庫ピュアフル)

(P[む]1-17)コンビニたそがれ堂 小鳥の手紙 (ポプラ文庫ピュアフル)

  • 作者: 村山 早紀
  • 出版社/メーカー: ポプラ社
  • 発売日: 2018/02/28
  • メディア: 文庫


ストーリーは千花が幼い頃、隣家の庭に不思議なポストがあった。
そこに手紙を入れると、なぜか空の上の「あの人」から返事がくる。
結婚を控え故郷を離れようとしている千花は、
もう一度だけ優しい手紙を読みたくなって。
知らぬ間に見守ってくれていた温かなまなざしの物語、「小鳥の手紙」。
春の風早の街を舞台にした二話と、話題作『百貨の魔法』の番外編を収録。
大切な探しものが見つかる不思議なコンビニたそがれ堂、
大人気シリーズ第7弾!

収録作品
雪柳の咲く頃に
小鳥の手紙
番外編 百貨の魔法のこどもたち

コンビニたそがれ堂のシリーズは読んだことがなくこれが初めてです。
「百貨の魔法」を読んでとても心が温り良かったので、
番外編が収録されているので手に取りました。

このコンビニにはこの世には売っていないはずのものまでが
なんでもそろっているという不思議なコンビニです。
ただの魔法のコンビニと思いきや
ただの魔法だけではなく、
絶対に叶わないと思われている
人の心に秘めた思いを込めて、
タイムマシーンのように昔を思い返し
過去に出来なかったことを叶えてくれるという
とても心が温まる魔法でした。

雪柳の咲く頃では
猫を通していなくなってしまったおじいさんを思い返して
少年がこれから大きく成長していくというほのぼのとして物語でした。
まるでおじいさんが遠くで微笑んでいるかのように見えました。

小鳥の手紙では
千花が小さい頃にポストに手紙を入れると
必ず返事が返ってくる。
その手紙は絶対に返事が返ってくることはないものだけれど、
不思議と返ってくる訳を探ってみると・・・
詳しいことを書くとネタバレになってしまうので
あまり書きませんが、その手紙を書いていた方は過去に辛い思いをして
その手紙を書いていたのですがその理由もまた素敵でした。
特に文中での
手紙とはひとつひとつをつなぐもの。
郵便局とは、旅立つ言葉を見送り、受け取るための場所。
世界にに一枚、ひとつだけの大切な、紙の贈り物。
手紙というものをこんなに素敵に表現するなんて、
村山さんは素敵な心の持ち主なんだなと思ってしまいました。

そして自分がこれから旅立とうという時に、
旅にも人生にも終わりなんてないし、
世界には未知の場所があるんですからね
というきっぱりとした言葉があって、
これが彼女とそして千花へのはなむけの言葉だなと思いました。
この手紙を書いた彼女と千花のこれからの未知なる世界での
活躍に明るい光が来るようにと願いたくなりました。

百貨の魔法のこどもたちでは
昔、百貨店で魔法の猫がいるというので
それを確かめるかのように夜の百貨店を訪れた
二人の男の子がいたという話がありました。
けれただ魔法を確かめるだけではなく、
この二人には大切な思いが込められていたので
その願いが叶うかどうか最後まで心配でした。
幼い頃を思い出して二人の男の子を通して
その周りの育った環境なども
とても温かく、そして時には厳しい教えなどがあり
懐かしい思いになりました。

こんな風に子供から愛される大人というのは
今ではとても貴重な存在だと思うので
こんな大人になれたら良いものです。

どの作品にも共通していえることは、
子供の目を通しての大人、大人といってもかなり歳を重ねた人です。
こうゆう温かく微笑ましい光景がこの作品には
溢れていたので心がほっこりとします。
こんなほっこりとした魔法ならばどんどんとかかってみたいし、
かけてみたいです。

どのストーリーも心優しく、温かみのあるものばかりでしたが、
村山さんらしい優しくふんわりとした世界感がとても良く、
疲れた心をほぐしたい時、時間を忘れてゆっくりと味わうには
お勧めな作品だと思います。
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益田ミリ 僕の姉ちゃん [作者ま行]


僕の姉ちゃん (幻冬舎文庫)

僕の姉ちゃん (幻冬舎文庫)

  • 作者: 益田 ミリ
  • 出版社/メーカー: 幻冬舎
  • 発売日: 2018/02/07
  • メディア: 文庫


内容はファッション誌は立ち読みで済ませ、エクササイズ本は一回やっておしまい。
「ゴミの日に捨てるもんある?」と問われれば「あるある、がんばりすぎる心」と即答。
絶妙に軽やかなベテランOL姉ちゃんが、新米サラリーマンの弟を
前に繰り広げるぶっちゃけトークは恋と人生の本音満載、
共感度120%。雑誌「an・an」の人気連載漫画、待望の文庫化。

お姉さんの物事をズバズバという話し方や
時にはツッコミのような話し方が軽快で、
それに右往左往している弟が面白かったです。
特に恋愛関係についての会話はシビアで
なるほどと思えることがありました。

弟が普段こんな風に姉を見ているかと思うと
自分もこんな風に見られていたのかと
今さらながら恥ずかしいような気がしました。

コミックの間にある短いイラストも
なかなか印象深いものがあり、
自分にも身に覚えがあるものが
あったりしたので、益田さんの人間観察力が鋭いなと思いました。

とても薄い本で読みやすいので、
何も考えずに笑いたいと思った時に
また再読してみたいと思える作品でした。
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群ようこ うちのご近所さん [作者ま行]


うちのご近所さん (角川文庫)

うちのご近所さん (角川文庫)

  • 作者: 群 ようこ
  • 出版社/メーカー: KADOKAWA
  • 発売日: 2018/02/24
  • メディア: 文庫


ストーリーは「もういやだ、家を出よう」。
両親がコーヒーを音を立ててすすったり、
目の前で着替えたりするたびにそう思うマサミ。
就職をし、家が揉め、両親の体調が悪くなり、
そうこうするうち四十路を迎え、実家に居着いてしまった。
ご近所のレレレのおばさんことヤマカワさん、
お腹のせり出したギンジロウ、四角顔のオサムくん、
気付いたら奇天烈な人ばかり…。
一つの家族とそのご近所さんの30年をユーモラスに描く、連作短篇集。

ご近所さんというの日常生活の中で常に
目に付きやすい所にあるものなので、
少し風変りな人を見かけると色々と詮索したくなるのかと思います。
子供の頃はご近所さんなんてあまり気にしなかったですが、
物心がつき出した頃からこの作品のお母さんのように
噂話を聞いたり、見たりするので自然と近所の様子が分かってきて
知らないうちに自分まで意識してみるようになってしまう
傾向があるかと思います。

この作品の中に出てくるご近所さんはかなり個性が強いですが、
同じような人は何処にでもいるなと思ってしまいました。
良い噂ならば良いですが、悪い噂ほどすぐに広まり
誤解を多く招くことが多いので現実的には
笑えるような間柄のご近所さんの方が住みやすいかと思います。
今はご近所さん同士の付き合い方も昔とは違うので
こうゆう関係もなかなか目にしないのかとも思いました。

この中の嫌われギンジロウさんのような人が
一番手に負えないタイプで何処にでもいそうなタイプで
出来ればお付き合いは避けたいものです。
憧れはやっぱりセンドウさんのような人柄の良い老夫婦で
誰からにも好まれる人物になれるのが理想です。

風変わりなご近所さんの特徴がはっきりとしているので、
読んでいてとても面白くて思わず笑い出しそうになります。
気軽に読めるので心が疲れた時などにお勧めだと思います。
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湊かなえ 物語のおわり [作者ま行]


物語のおわり (朝日文庫)

物語のおわり (朝日文庫)

  • 作者: 湊 かなえ
  • 出版社/メーカー: 朝日新聞出版
  • 発売日: 2018/01/04
  • メディア: 文庫


結末の書かれていない「空の彼方へ」という小説が
北海道を旅する人達にバトンタッチされていく形になっています。
この作品の結末を読者に任せるという手法が面白いです。
そして旅先での登場人物がさりげなく現われて、
さりげなく小説が渡されていくのが見事でした。

最後までどんな結末になるのかワクワク感が止めらず、
旅先での登場人物と同じようにラストの結末を
色々な方向から想像をさせられました。
人生の岐路や置かれた環境など様々な所で、
この作品への思いや考え方が全然異なってくるのが、
また面白く考えさせられることばかりでした。

結末の書かれていない小説の行方とそれを書いた女性の行方は
どうなってしまったのかと思えば、後半になりデジャブーのように
同じストーリーが出てきて、これも過去から未来へと
見事にバトンタッチされていて読んだ後にもすっきりとしました。

どんな時代でも夢を追い求める人、
夢を諦める人、夢を助ける人、夢を妨害する人がいて
これがあるからこそ人生は苦しくも歩きにくいものであっても
最後には笑ってまた歩き出せるという希望があることを
また思い知らせてくれたような気がしました。
そして歳を重ねても何か一つ小さなものでも良いから、
夢を持ち続けていたいなと思いました。

ストーリーの舞台が札幌、小樽、洞爺湖、旭川、美瑛、富良野、
網走、摩周湖、知床と北海道になっていて風光明媚な場所
ばかりだったので一度は北海道へ旅してみたいと思っているので、
益々北海道の良さが伝わって行ってみたくなりました。

湊さんの作品というとミステーでどちらかというと
グロテスクでドロドロとした印象がありますが、
この作品ではそれは一切なく、読了後は清々しい気持ちになりました。

湊さんの新境地の作品だと思うのでお勧めな一冊だと思います。
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森沢明夫 たまちゃんのおつかい便 [作者ま行]


たまちゃんのおつかい便

たまちゃんのおつかい便

  • 作者: 森沢 明夫
  • 出版社/メーカー: 実業之日本社
  • 発売日: 2016/06/04
  • メディア: 単行本(ソフトカバー)



ストーリーは過疎化と高齢化が深刻な田舎町で「買い物弱者」を
救うため、大学を中退したたまちゃんは、
移動販売の「おつかい便」をはじめる。
しかし、悩みやトラブルは尽きない。
外国人の義母とのいさかい、救いきれない独居老人、大切な人との別れ…。
それでも、誰かを応援し、誰かに支えられ、にっこり笑顔で進んでいく。
心があったまって、泣ける、お仕事成長小説。

<目次>
第一章 血のつながり
第二章 ふろふき大根
第三章 涙雨に濡れちゃう
第四章 秘密の写真を見つけた
第五章 まだ、生きたい
第六章 かたつむり
あとがき

この本を読む前に偶然にもこの作品の題材になったものが
テレビの特集であったので観てから本題に入りました。

大学生活に有意義さを感じなかったたまちゃんが
自分の身近な所から自分の遣り甲斐を見つけ、
それが過疎化と高齢化が深刻に抱える買い物弱者を救う
移動販売のお使い便を始めるなんて
本当に凄いアイデアと行動力だと思います。

おつかい便だけの仕事だけでなく見知らぬお年寄りに出会っても
優しく声をかけて何かしらお手伝いをしている
姿勢と心掛けは本当に感心してしまいました。

これだけの行動力と優しさがあるのに、
二人目のお母さんのシャーリーンには時々苛立ったりして
いる時があったりするのでまだ子供みたいなところがあって、
少し憎めないところもありました。

たまちゃんの周りの友人や家族などにも
それぞれに抱えきれない辛い過去がありますが、
それでも互いに支え合っていて生きている姿が良かったです。

静子ばあちゃんが徐々に最期を迎える「まだ、生きたい」の章では、
涙なくてしては読めず、死ぬことはとても怖いことではありますが、
このように温かい気持ちで何かに包まれるようになれる
ということがあるかと思うと少し気持ちが楽になれる気がしました。
こんな風に人生を振り返えられれば良いなとも思いました。

森沢さんの作品が好きなので何冊か読んでいますが、
今回も人生を生きていく上での素敵な言葉が
沢山散りばめてあって学ぶことが沢山ありました。
中でも
人生には、みんなが通ったあとにできる轍はあっても、レールはない。
だから、あなたは自分の心を羅針盤にして、
あなただけの道を歩いていけばいい。
そして、これこそが唯一、後悔をしないで死ぬための方法なのだ

人生には「失敗」はない。あるのは「成功」か「学び」だけ。

フィリピンの諺
死んでしまった馬に、草は必要ない
 日本語翻訳
 本当に必要なときこそ、その人を助けなければならない。

人生は振り子 悪い事もあれば、その分良い事がやってくる

こうゆう言葉はいつまでも心に留めておきたいです。

400頁少々ある厚い本でしたが、それを感じることがなく
会話が生き生きとしているのでとても読みやすかったです。
この作品でも何かに躓いた時に背中を押してくれる言葉が
沢山詰まっていて心がとても温まり、
少しでも前向きになって歩いていこうという希望が持てる作品でした。
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森沢明夫 きらきら眼鏡 [作者ま行]


きらきら眼鏡

きらきら眼鏡

  • 作者: 森沢 明夫
  • 出版社/メーカー: 双葉社
  • 発売日: 2015/11/18
  • メディア: 単行本(ソフトカバー)


ストーリーは 愛猫を亡くし、喪失感にうちひしがれていた立花明海は、
西船橋の古書店で普段は読まない自己啓発系の本を買う。
すると、中に元の持ち主の名刺が栞代わりに挟んであり、
明海が最も心を動かされたフレーズにはすでに傍線が引かれていた。
気になった明海は意を決して名刺の「大滝あかね」に連絡をとる。
会うと、あかねは明るい年上の女性で、
日常の物事を幸福感たっぷりに捉えている“幸せの天才”だった。
明海には、今まさに恋愛関係に発展しそうな
会社の同僚・松原弥生がいたが、あかねの存在が徐々に大きくなっていく。
だが…あかねには恋人がいた。
彼は病に伏し、余命宣告を受けているという―。

子供の頃にいじめに合って人との接し方にトラウマがあったり、
愛猫を亡くし喪失感や悲壮感に打ちひしがれていた明海。
そんな明海は自分でも自覚していた人とは
少し違う性格だと思っていましたが、
同僚の女性や年上の女性との出会いなどでそれが長所にもなっていき、
徐々に自分に自信がついていくところが見えてとても良かったです。
それにしても明海は年上の女性から好まれるので女性キラー?
なのかなとも思いましたが、読み進めていくうちに
明海の良さに引き込まれていました。

この作品の中にも素敵な言葉が沢山ありました。
中でも印象的なのは
弥生さんの言葉
人間の中には、自動的に立ち直れるようなプログラムがある気がするっていうか。
時間が経つと、いろんあことが薄れていくでしょ?
よかった記憶も、つらかった記憶も。
だから、自動的に立ち直りながら、少しずつでも前に進むしかないんだなって。

明海の言葉
人生の価値を決めるのは、その人に起こった事象ではなく、
その人は抱いた感情なのだ。

ゴンママの言葉
人生を花束でいうなら、
「幸運」は派手なバラで、
「不幸」は地味なかすみ草なのよ。
両方を合わせた花束は、
いっそう「幸福」のバラが引き立って、
とても愛すべき存在になるんだから

明海は裕二に会うまではライバルと想像していましたが、
二人が対面した印象はそれとは逆のイメージとなり
その後の関係も男同士の程良い距離感が絶妙でした。
裕二が本の間に挟んだあかね宛てに書いたメッセージが素敵で、
涙をそそられますが、それに対して明海がコーラーのペットボトルに
書いた文字も潔くて清々しい言葉でぐっときました。
この作品の中での登場人物がみんな人として素敵な人ばかりで、
こんな人の中にいたら居心地が良いのはもちろんですが、
人間的にも成長させられそうな気がしました。

辛い時にきらきら眼鏡で目の前の風景を見てみると、
いつもとは違う風景が見れて嫌なことも少しは良い方向として
見えると思い、私も時にはこの眼鏡をかけてみようかと思いました。

そしてこの作品の初めにあった「自分の人生を愛せないと嘆くなら、
愛せるように自分が生きるしかない。他に何ができる?」
という栞の言葉。
まだ自分の人生を全て愛せるほど納得のいく生き方を
していないように思うのでこの言葉を目標にしてみたいです。

キリコの昭和堂、ゴンママ、岬の喫茶店、風鈴の音などの
森沢さんの作品の一部分があちこちに散りばめられていて
これが見つけられるのが嬉しかったです。

500頁近い厚い本でしたが、それを感じることがなくとても読みやすく
会話が生き生きとしていて目の前に情景がすぐに浮かぶので
頁をめくるが止まらず一気に読めました。
西船橋を舞台にしたラブストーリですが、
苦渋の決断、人生の生き方などが織り交ぜられているので
切ないラブストーリーです。
人生で躓いた時にそっと背中を押してくれる言葉が
沢山詰まっていて心も温まる作品です。

森沢さんの作品を何冊か読んでいますが、
この作品も後で何回でも読みたくなる一冊になりました。
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村山早紀 百貨の物語 [作者ま行]


百貨の魔法

百貨の魔法

  • 作者: 村山 早紀
  • 出版社/メーカー: ポプラ社
  • 発売日: 2017/10/05
  • メディア: 単行本


ストーリーは時代の波に抗しきれず、
「閉店が近いのでは?」と噂が飛び交う星野百貨店。
エレベーターガール、新人コンシェルジュ、
宝飾品売り場のフロアマネージャー、テナントのスタッフ、
創業者の一族らが、それぞれの立場で街の人びとに
愛されてきたデパートを守ろうと、今日も売り場に立ちつづける――。
百貨店で働く人たちと館内に住むと噂される「白い猫」が織りなす、
魔法のような物語。

不況の煽りを受けている百貨店で働く人々、
創業者の一族などとそれぞれの目線で
過去に消えてしまった夢や二度と逢えない人が
この百貨店で夢のような時間に遭遇するという物語。

どの登場人物にも秘めた願いがありますが、
それが不思議なことにこの百貨店を中心にして
過去から未来へと続いて誰もが笑顔になれ希望へと繋がるという
読んでいても心が洗われるような思いがする空間でした。
そこには必ず館内に住んでいると噂されている「白い猫」が
現れるというのがまた御伽噺のような楽しさがありました。

私の幼少の頃は百貨店、いわゆるデパートと呼んでいましたが、
休みの日になるといつもより少し身綺麗な服装をして
ご褒美にデパートに行ってお子様ランチを食べたり、
屋上の遊具施設で遊んだり、誕生日にはここでプレゼントを買ったりと
特別な時に特別な場所に行くという今とは違った豪華なイメージがありました。
そんな思い出のあるデパートなので
この百貨店も何処か懐かしい気がして、
改めて百貨店の良さを思い出させてくれた気がします。
特にこの作品での百貨店は小さな商店街から徐々に大きくなり、
地元に長年愛されている百貨店なので余計に思入れが強くなりました。
このような人の心を豊かにし、お客様の為に楽しませてくれる素敵な
百貨店は良と思うので、不況の煽りで厳しくても
いつまでも地元の人の為に長く続いて欲しいと思ってしまいました。

どの物語も心優しく、温かみのあるものばかりでしたが、
終幕 百貨の魔法の祖父の言葉は感動的で印象深かったです。
 ひとの生は砂時計の上になっているようなものなんだ、
 足下の砂はさらさらと落ちていく。
 思い出も、記憶も、交わした言葉も、
 みんな砂のようにどこかに落ちてしまう。
 中略
 マッチの火のような小さな灯りでも、
 誰かの凍えるてのひらを温めることができたら
 そんな人生が送れたらと思うんだよ

2017年本屋大賞にノミネートされた「桜風堂ものがたり」と
舞台が同じになっている姉妹作になっているというので手に取りました。
「桜風堂ものがたり」ほどの心を揺さぶられるものはあまり無いですが、
村山さんらしい独特な世界感がとても良く表れていて、
静かな時間の流れを感じながら、
疲れた心をほぐしたい時にお勧めな作品だと思います。

大人になっても魔法の話というのも
時には楽しく童心に返るので良いかとも思います。
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湊かなえ 往復書簡 [作者ま行]


往復書簡 (幻冬舎文庫)

往復書簡 (幻冬舎文庫)

  • 作者: 湊 かなえ
  • 出版社/メーカー: 幻冬舎
  • 発売日: 2012/08/02
  • メディア: 文庫


ストーリーは高校教師の敦史は、小学校時代の恩師の依頼で、
彼女のかつての教え子6人に会いに行く。
6人と先生は20年前の不幸な事故で繋がっていた。
それぞれの空白を手紙で報告する敦史だったが、
6人目となかなか会うことができない(「20年後の宿題」)。
過去の「事件」の真相が、手紙のやりとりで明かされる。
感動と驚きに満ちた、書簡形式の連作ミステリ。


湊かなえさんと言えばラストになり大どんでん返しがあったり、
ドロドロとした人間関係があるので、
ドキドキしながら読み進めていましたが、
今回はこのような事が無くあっさりとしていました。

今の時代だとメール、ラインといったもので伝えてしまうことが多く、
すぐに返事が届いてしまって気持ちまではストレートに
伝わっているような利点のような欠点のようなものがあります。
けれど手紙だと一旦書いたことが時間がそこで置かれることになり、
それによって考え方や想いなどが熟成されるかのようになるので、
一息呼吸を置いて物事が伝わるような気がします。
それによって物事の判断が自分なりに解釈をしながら
また考えをゆっくりとしながら返事をすることができるという
利点があるかと思えました。

それぞれ過去の事に遡って手紙が書かれていますが、
十年後の卒業文集では自分がどんな風に思われていたのかと
人によってこんなに様々な印象があるのかと思いました。

二十年後の宿題はこの中では一番スリリングな手紙の内容で、
事件の真相が分かるまでもどかしい気持ちで読んでました。
先生の言葉で「ともに理解し合えるめぐり会えるということは、
人生にとってかけがえのない財産です。
それがたとえほんの数年で終わってしまうにしても
心の中には永遠に残っていくものです。」
という言葉がとても重みがあり、
先生からの教えとメッセージだと思えました。

十五年後の補習では今までの書簡での書き始まりとは違っていたので、
どんな二人の関係なのだろうかと思って読み進めていきましたが、
意外な方向に進んでいったので違った意味でドキドキしてしまいました。
互い手紙を交わす回数が増えていくごとに
気持ちの変化がよく分かりロマンティックな手紙も良く、
羨ましくも思えました。
ここで更に日本語の手紙の良いところも描かれていて、
日本語って本当に良いなとも思いました。

一年後の連絡網はおまけといった感じで十五年後の補習の裏話が
知れたのでこれもまたオツで良かったと思います。

書簡式というスタイルでいつもとは全く違ったタイプの作品でしたが、
あらためて手紙の良さを味わえました。
書簡式でも良いですが、またいつものような小説タイプの作品として
書かれていたらどんな風になっているだろうかと思いました。

いつもとは違った湊さんの作風も良いなと思える作品でした。
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