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宮下奈都 神さまたちの遊ぶ庭 [作者ま行]


神さまたちの遊ぶ庭 (光文社文庫)

神さまたちの遊ぶ庭 (光文社文庫)

  • 作者: 宮下 奈都
  • 出版社/メーカー: 光文社
  • 発売日: 2017/07/11
  • メディア: 文庫


ストーリーは北海道のちょうど真ん中、
十勝・大雪山国立公園にあるトムラウシ。
スーパーまで三十七キロという場所へ引っ越した宮下家。
寒さや虫などに悩まされながら、壮大な大自然、
そこで生きる人々の逞しさと優しさに触れ、さまざまな経験をすることになる。
『スコーレNo.4』の宮下奈都が「山」での一年間を綴った感動エッセイを文庫化。
巻末に、「それから」を特別収録。

「羊と鋼の森』を読んでとても良かったので
その後少しずつ読み始めてこちらを手に取りました。
エッセイは初めてです。

自然の中で暮らすというのはよく聞きますが、
宮下家の暮した所は北海道の十勝で壮大な大自然の中なので
スケールが大きすぎて想像もつかなかったです。

今まで暮らしてきた場所とは全然違う環境の中で
どのようになっていくのかとこちらも山村留学をしている気分でした。
住めば都とはよくいったもので、
環境に不自由があっても無いものが当たり前となっていくのが
目に見えて分かっていくのが面白いくらいでした。
物がなくてもその分目の前にあるすぐ近くの自然が
全部代わりとなって素敵な物へとプレゼントされているように思いました。

大人になってこれだけの環境を変えるというのはなかなか出来ないので
とても貴重な経験だと思いますが、三人の子供さんにとっても
とてもプラスになった経験で滞在前よりも立派に成長されたなと思いました。
「教室に座って勉強するより、
 雪山で遊んで身につけることの方が大事じゃないかな」
という言葉に納得です。
宮下さんのそれぞれの子供さんの性格がよく表れていて、
弾むような会話やユニークな会話が微笑ましかったです。
また地域の人とのコミュニティや学校行事などが
一方向だけではなく、家庭と地域と学校といちがんとなって
行われいるのがとても素晴らしいなと思いました。

読み始めは子供さんのことばかり書かれていたので、
子育て日記のように思えていましたが、
それがいつの間にか無くなりすっかり最後には
三人の子供さんの応援をしたくなってしまいました。

家族の楽しい会話の合間に
宮下さんの社会に対するクールな言葉や人生への教訓になる言葉も
なかなか良かったです。
「チャンスの神様は前髪しかないというけれど、
 チャンスの神様がふさふさであることを思い出す。
 チャンスはまたきっとまた来る。」
この言葉も素敵です。

自然の中で生き生きとした姿はどれも良かったです。
やはり人間は自然と共に寄り添いながら暮らしていく方が、
心身ともに豊かになれるとつくづく思わされた作品でした。

トムラウシに住んだからこそ「羊と鋼の森」の作品が生まれて、
神さまからのプレゼントで直木賞受賞をしたのかなとも
思えたりしました。
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益田ミリ 沢村さん家のこんな毎日 平均年令60歳の家族と愛犬篇 [作者ま行]




ストーリーは年をとってきた両親と40歳の娘との3人暮らしを
描いた沢村さん家のホーム・コミック
『沢村さん家のこんな毎日』『沢村さん家はもう犬を飼わない』を
1冊にまとめたお得な文庫版。

仲良く温和な四朗さんと典江さんですが、
お母さんの典江さんが意外にもお父さんに対して突っ込みをしたり、
40代独身の娘に対してもきついひと言などがあったりして
それが良いバランスを取っていて面白いです。

ただ40歳過ぎた頃になった歳なりの
現実的な事が出て来るので共感できるところもありますが、
段々それが切ない思いにもなったりして少し複雑でした。

誰でも歳を重ねるとそれなりに焦りや悩みなどが出てきますが、
そうゆうのをコミックで読むと同じなんだなと思えて
少しほっと出来ます。

両親が早くに他界してしまったので、
高齢になった両親とテレビを観ながら団欒をしたり、
何気ない日常的な会話をするのも良いなと思い
羨ましく思いました。

会社のトイレのことはまさに「あなどれない」なくて
思わず納得してくすりとしてしまいました。
確かにこうゆうことはあったなと思い返してみたりして。
人は見かけだけでなく、見えない所も大事だなと思わされます。

特別なことが無くても日々を普通に平凡に過ごせることが
一番幸せなことなんだとつくづく思わされる作品です。
毎日同じことの繰り返しが虚しい日もあれば、
幸せだと感じる日もある。
当たり前のことですが、なんだか深みのある言葉なとも思いました。

益田さんの作品は何冊も読んでいますが、
沢村さん家のコミック本は初めてで
他のコミックとは違ってしみじみとして、
どこかほろりとさせられる作品でした。


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湊かなえ 豆の上で眠る [作者ま行]


豆の上で眠る (新潮文庫)

豆の上で眠る (新潮文庫)



ストーリーは 小学校一年生の時、結衣子の二歳上の姉・万佑子が失踪した。
スーパーに残された帽子、不審な白い車の目撃証言、そして変質者の噂。
必死に捜す結衣子たちの前に、二年後、姉を名乗る見知らぬ少女が帰ってきた。
喜ぶ家族の中で、しかし自分だけが、大学生になった今も微かな違和感を抱き続けている。
―お姉ちゃん、あなたは本物なの?
辿り着いた真実に足元から頽れる衝撃の姉妹ミステリー


妹は元々姉に対して劣等感を持っていて、
姉が失踪している期間はそれが無くなるかと思えば、
かえって姉に対しての思いが強くなり
苦しい関係はいつになっても拭いきれなくて読んでいくうちの
妹の結衣子が可愛そうに思えてきました。

姉妹というのは仲が良いと人が羨ましがるほどなのに、
この姉妹のように仲が悪い場合だと
こんな風なケースになるのかなと思ってしまいました。
異性の兄弟の微妙な心境というもの垣間見れた気がします。

姉が時には妹だけでなく祖母の目から見ても
今までの姉とは明かに違うという思いがしたのは
何かあるのかと思い、真相が徐々に暴かれるまでは
ワクワクして読んでいました。
けれど真相に辿り着くまでにはかなり長かったのでもどかしかったです。

それにしてもこの母親の育て方は同じ姉妹なのに
扱い方に差がありすぎたり、
周囲の対して気にし過ぎたり、言わゆる世間体というのを気にしすぎで
こんな母親の下にいるのは心が歪んでしまいそうです。
そんな思いも妹に影響があるように思えていたたまれなかったです。
そんな時にふと寄り添うように祖母さんがいてくれたのが
少し救いだったようにも感じられました。

真相を明かすことになってからは
特に劇的なラストということではなかったですが、
結局はある人の親のエゴでこんな苦しい思いをさせられ、
人生を翻弄させられてしまったのかと思うと
妹だけでなく子供たちにとっていい迷惑だったと思ってしまいます。

「本ものってなんですか?」
という疑問がありますが、
果たして本物は今まで時間を重ねてきたモノなのか、
それとも科学的に証明されたモノなのか
これは永遠の謎になりそうな気がしました。

こうやって疑問を投げかけておいて、
いつまでもそれを気にさせておくというのが
またこの作品のタイトルのモチーフにもなっている
「えんどう豆の上にねたおひめさま」のような
状態にしているのかと思ってしまい
ラストまで気が抜けなく楽しめました。

森沢明夫 虹の岬の喫茶店 [作者ま行]


虹の岬の喫茶店 (幻冬舎文庫)

虹の岬の喫茶店 (幻冬舎文庫)



ストーリーは小さな岬の先端にある喫茶店。
そこでは美味しいコーヒーとともに、
お客さんの人生に寄り添う音楽を選曲してくれる。
その店に引き寄せられるように集まる、
心に傷を抱えた人人―彼らの人生は、
その店との出逢いと女主人の言葉で、大きく変化し始める。
疲れた心にやさしさが染み入り、温かな感動で満たされる。
癒しの傑作感涙小説

この本のカバーのイラストにあるような素朴な物が、
このストーリーの中でも繰り広げられていて、
美味しいコーヒーをどんなお客さんでも丁寧に淹れてくれるおばあさん。
このおばあさんのコーヒーと温かい言葉の不思議な魅力が
何とも癒されてほのぼのとさせられます。
こんなおばあさんになれたらという憧れや
こんな素敵な喫茶店があったら行ってみたいなと思いました。

おばあさんのこの温かく優しい言葉があるのには、
今まで積み重ねきたかけがえのないものと
夫をいつまでも想う気持ちと
切なくも素敵な気持ちなどがあるのかなとも思えたしりました。
素敵な気持ちをいつまでも持ちながら生きていく姿というのが
とても微笑ましく羨ましくも思えました。

おばあさんの淹れたコーヒーも美味しそうですが、
選曲されたBGMも良さそうなので
この本と合わせて聞いてみたらよりこの作品も楽しめるかと思いました。

おばあさんの言葉で印象的な台詞が
「人間って生きているうちに色々と大切なものを失うけれど、
でも一方ではアメイジンググレイスを授かっているのよね。
そのことにさえ気づけたら、あとは何とかなるものよ」

「人はね、いつかこうなりたいっていうイメージを持って、
 それを心の中で祈っているときは生きていけるの。
 どんなことがあってもね。
 でも夢とか希望とかをなくして、祈るものがなくなちゃうち、
 つい道と誤ったりするものなのよね」

「いろいろあって、自分の未来に夢も希望もないんだったら、
 他人の未来を祈ればいいんじゃない。
 (中略)
 そうゆう人の未来が少しでもいいものになりますようにって
 祈って、そのために行動していれば、
 人はそこそこ素敵に生きていけるのよ」
いつまでもこの台詞を覚えておきたいです。

堅苦しい言葉でなく、
優しい言葉で、特別な光景ではなく、
普通の光景と日常生活ばかりですが、
それがかえって親しみやすく心が時ほぐれされるのかもしれないです。
こんな場所と時間を見つけるのは現実的にはなかなか難しいですが、
この本では心をいつでも癒すことが出来ると思うので
そんな時にお勧めな一冊です。

益田ミリ 夜空の下で [作者ま行]


夜空の下で (集英社文庫 ま 22-2)

夜空の下で (集英社文庫 ま 22-2)



ストーリーは遠い夜空を見上げると、そこには無数の星が見える。
帰り道、仕事の合間、散歩中。
それぞれの場所から夜空を見上げる人々を描き出すマンガ24編。
天文台職員のコラム天体イベントカレンダーも収録。

益田ミリさんのいつものエッセイかと思い手にしましたが、
読み始めてみたら天文台に勤めている方とのコラボでした。

あまり宇宙の事に詳しくはないですが、
初歩的な事から丁寧に説明されているので分かりやすいです。

宇宙のことに対して漫画では身近に例えて描かれていたり、
そのちょっとした一言にまた閃きや人生の教訓などが
書かれているので共感してしまうことが多々ありました。

一瞬の美しい光を奇跡的に出来た地球の歴史の中で、
その光が見れるが偶然としか思えなくとても貴重なことだと
改めて思えてしまいました。

普段夜空を見上げる時間が少ないですが、
色々な偶然などを思いながら見ながら
思いを馳せるのも良いものだと思いました。

星にしても、人にしても私たちは
奇跡的な巡り合わせの中から暮している。
そんな巡り合わせだから大切にしたいと思い、
そして宇宙から見れば人間の悩みなんてちっぽけだということ。
小さなスケールの中で考えるのではなく、
時には宇宙のように大きなスケールで物事を
捉えるということも必要だなと思わされました。

天文イベントカレンダーが収録されているので
これから訪れる天体ショーに役立ちそうです。

まだ完全には宇宙の事を理解していないことがあるので、
またゆっくりと読み返してみたいと思います。
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短編少女 三浦しをん、荻原 浩、中田永一他 [作者ま行]


短編少女 (集英社文庫)

短編少女 (集英社文庫)



ストーリーは人気作家が「少女」をキーワードに紡いだ短編9本を収録したアンソロジー。
少女の微妙な心情や確かな成長が感じられることはもちろん、
各作家の個性も楽しむことができる贅沢な1冊。

てっぺん信号 三浦しをん
空は今日もスカイ 荻原浩
やさしい風の道 道尾秀介
ガーデン 中島京子
宗像くんと万年筆事件 中田永一
haircut17 加藤千恵
薄荷 橋本紡
きよしこの夜 島本理生
イエスタデー 村山由佳

今人気の作家さんが少女をテーマにした
短編作品のアンソロジーということで、
どれもそれぞれに個性が出ていて、
多感で揺れ動く少女をあらゆる角度から描かれていて
少女から大人になる微妙な心理描写が楽しめました。

女子独特な世界観が幼い頃から携えていますが、
大人の女性の世界とはまた少し違い
少女らしい繊細な心の世界観を味わえて
懐かしくもあり甘酸っぱい思いでいっぱいになりました。

特に印象的だった作品は「てっぺん信号」、
「宗像くんと万年筆事件」、「きよしこの夜」、
「イエスタディズ」。

「てっぺん信号」は切ない乙女心が上手く描かれていて、
あることで知り合うきっかけとなった初老の女性。
つっけんどな口調だけれど重みのある言葉の数々。
一番の問題は、悔いのない、だれに恥じることもない生き方を
死ぬまでできるかどうかだと思うんだけど、ちがう?
こうやって若い人も歳を重ねている人かた何かを吸収して
光りのある方へ目指していくというのは良い事だなと思いました。
一つ一つの言葉が大切に綴られているようなストーリーにも感じました。

荻原浩さんの「空は今日もスカイ」は読んでいくうちに
何処かで読んだことがあるフレーズだと思って解説を見てみると、
「海の見える理髪店」の中に収録されていたものでした。
また読んでみるとリズミカルな言葉で少女らしい世界が広がっていて
幼い頃の気分が味わえました。

「宗像くんと万年筆」は小学校が舞台となって、
唯一のこの本の中ではミステリーということもあって
他の作品とは違う切り口から少女が描かれています。
宗像くんの本格的な謎解きと不思議なキャラクターにが印象的です。
そんな彼に迷いながらも手を差し伸べてくれた女の子
微妙な心が描かれているのも良かったです。

「haircut17」は17歳という何をするにても
中途半端な年齢のことに対して、
その年頃のような文体で書かれていたような気がして、
軽くもあり重くもある言葉の綴りのようでした。
ストーリーも他と比べると薄い感じで
まるでコバルト文庫を読んでいる感覚でした。

「きよしこの夜」はこの年頃でもいくら親しい友達に
でも誰にも言えないことが
更に悲しくも辛い出来事が心の中でいつまでも残って、
前に進もうとしても進めない悩める少女の心の描写が
リアルでとても切なかったです。
でも最後には苦しかった時間が終わりの兆しが見えて。
誰かに言って欲しかった言葉。
もらうのではなく、あげることで、救われることもある。
という言葉で読み手としても心が救われた思いがしました。

「イエスタデイズ」は唯一過去の回想から少女時代を振り返っています。
少女時代に誰でも身近な男の子が急にこんな風になったり、
それまで何も意識していなかったことがあることをきっかけに
男性というのことを意識してしまうという
どこかほろ苦いような経験が綴られています。
そしてそんな思いからある曲をきっかけにして
偶然の再会に遭遇することに。
ラストにはドラマチックになってこの先の展開が楽しみになってしまいました。

女性は自らのそれぞれの時代と成長過程と重ね合わせながら
アルバムをめくっていくかのように読んで楽しめるかと思います。

男性は男性とはまた違う繊細な心の移り変わりを読み取ってくれると
日頃の女性との付き合い方も少しは分かってくれるかなとも思いました。

読んだことのない作家の作品がここで読めて
けっこう気に入った作品もあったので
これをきっかけに他の作品も読んでみたくなりました。

益田ミリ 前進する日もしない日も [作者ま行]


前進する日もしない日も (幻冬舎文庫)

前進する日もしない日も (幻冬舎文庫)



ストーリーは着付け教室に通ったり、旅行に出かけたり、引っ越ししたり。
仕事もお金も人間関係も自分なりにやりくりできるようになった
30代後半から40歳にかけての日々。
完全に「大人」のエリアに踏み入れたけれど、
それでも時に泣きたくなることもあれば、
怒りに震える日だってある。
悲喜交々を、きらりと光る言葉で丁寧に描く共感度一二〇%のエッセイ集。

今回は30代後半から40歳にかけの
日々の暮らしをエッセイにしたものなので
あらゆるジャンルで幅広く色々な場面で楽しめました。

益田さんとは同じ世代なので共感をする所が多々あり、
自分だけでは無い共通な考え方や想いなどがあったので安心しました。

特に大人という文字が入っている章が印象的で、
後半部分の生きるということもなかなか深みのある言葉が
あって好きです。

毒舌まではいかないですが、そのギリギリ具合に砕けた感じに
書かれていて、程よくゆるさと苦さのようなものが
入り混じって何も考えずにさらりと読めるところが良いです。

エッセイも良かったですが、
その間にある大きな文字で書かれてあるひと言も好きで
ついそこだけを先に読んでしまうこともありました。

歳を重ねていくということは思い悩むこともあるけれど、
時にはゆっくりと立ち止まってみたり、
またはまだできることがあるかもしれないという希望を
持ち合わせたりしながらまた前に歩んでいくものだなとも思いました。

益田さんの十年後にまた今と同じ気持ちで
出会えたら良いなと思いました。

森絵都 みかづき [作者ま行]


みかづき

みかづき

  • 作者: 森 絵都
  • 出版社/メーカー: 集英社
  • 発売日: 2016/09/05
  • メディア: 単行本


ストーリーは「私、学校教育が太陽だとしたら、
塾は月のような存在になると思うんです」 昭和36年。
人生を教えることに捧げた、塾教師たちの物語が始まる。
胸を打つ確かな感動。著者5年ぶり、渾身の大長編。
小学校用務員の大島吾郎は、勉強を教えていた児童の母親、
赤坂千明に誘われ、ともに学習塾を立ち上げる。
女手ひとつで娘を育てる千明と結婚し、家族になった吾郎。
ベビーブームと経済成長を背景に、 塾も順調に成長してゆくが、
予期せぬ波瀾がふたりを襲い――。

日本の教育の在り方、学習塾の遍歴、義務教育の歴史など
学校教育と学習塾を対比しながら様々な方面から書かれていて
とてもよく分かりました。

それと並行して女系家族を主軸とした家族の物語、
塾の経営者としての奮闘が絡み合い家族と教育に対しての
テーマが踏ふんだん盛り込まれた作品だと思いました。

特に塾の創設にあたった千明は教育ということに関して、
人生をかけたといっても過言ではない行動には度肝を抜かれます。
教育ということに関しては誰にも負けず、
誰よりも優れていたのは本当に素晴らしいことだと思います。
けれどこれに振り回されてしまった娘たちは可哀想な気もしましたが、
後々のことを見てみると子供は親の背中を見て育つとは
よく言ったものでそれぞれの個性を持ちながら
立派に大人になっていったので良かったなと思います。

人生の節目などを太陽と月のなぞえられて、
そして月の満ち欠けに例えたりしてロマンチックだと思えたり、
その一方ではとても深い意味だったりしてこの本のタイトルに
まさに相応しいと思いました。

常に何かが欠けている三日月。
教育も自分と同様、そのようなものでもあるのかもしれない。
欠けている自覚があればこそ、人は満ちよう、
満ちようと研鑽を積むのかもしれない

この言葉がとても印象的で
これでこの作品の全てを語っているかと思いました。

理想の教育を志していた作品ですが、格差社会、
シングルマザーから生まれる貧困問題などと現代の日本が
大きく抱えている社会問題にも切り込んでいたので
考えさせられることもありました。
教育を通して社会全体の在り方も問われているようでした。

教育をテーマにした作品なので初めは硬い印象がありましたが、
読み進めていくうちに登場人物がとても生き生きとしていて
時にはくすりと笑える一コマがあり、人間味がとてもあるので
テンポよく読めて読みがいのある作品だと思います。

教育に携わる方には多く読まれたら良いなと思います。

益田ミリ ちょっとそこまで旅してみよう [作者ま行]


ちょっとそこまで旅してみよう (幻冬舎文庫)

ちょっとそこまで旅してみよう (幻冬舎文庫)

  • 作者: 益田 ミリ
  • 出版社/メーカー: 幻冬舎
  • 発売日: 2017/04/11
  • メディア: 文庫


ストーリーは昨日まで知らなかった世界を、
今日のわたしは知っている――ひとりのときもあれば、
だれかと一緒のときもある。
たいてい、ちょっとそこまでという気軽さと、
いつだってどこ だって出かけられるという身軽さで。
金沢京都、スカイツリーは母と2人旅。八丈島、奈良、萩はひとり旅。
フィンランドは女友だち3人旅(気に入ったので、ひとりで再訪も)。

旅シリーズも好きなのでこちらの本を手に取りました。

今回は誰と行ったかと書かれていて、
今まで出て来なかった彼と行ったというのが
ちょっと驚きというか公言してしまって良いのかなと思って
他人事ながら心配してしまいました。
その辺は大人の事情で大丈夫になっているのかと思いますが。

今回も北から南へと全国津々浦々と旅行をされていて
羨ましいなと思うばかり。
旅行で行った所のある場所は
その頃の自分の思い出と重ね合わせたりして、
時に旅行を楽しむことが出来ました。
行った所の無い場所は想像が膨らむばかりです。

特に今回はフィンランド、スウェーデンの旅は
ちょうど北欧ブームなので行ってみたい観光地です。
写真が掲載されていたのでそれを見ながら読むと
旅の気分がまた膨らみます。
普段の何気ない風景までもが観光地に見えて
それも自然のあふれる場所でもあるので
いくら見ていても飽きない場所なのだなと思いました。
そして旅の醍醐味である食事も充実していて
不満な所がないくらいに良い場所だなと思いました。

一人旅も良いですが、お母様ととの旅行もまた
良いものだなと思わせてくれます。
私はもう随分前にこれは実行できなくなってしまったので
これが親孝行の姿かなと思ったりしました。
この中でお正月に5日、お盆に5日、
一緒に旅行をしたとしても一年に会う日数は15日ほど。
わたしはこの人と、あと何日会えるんだろうかと暮れてゆく空を
見つめていたのだった。
というところがほろりとさせられてしまいました。

旅の途中でのちょっとしたコメントがまたきらりと光り、
こうやって旅という非日常と日常を行き来しながら
自分の心のバランスを取っていくのも良いなと思いました。

同じ旅はもうできない。
それをなんとなくわかっているから、
いつでも名残惜しいのだと思う心。
旅行の帰り道がこんなに切なく思うのは
小さい頃からあるのは同じですが、
それが歳を重ねると共にさらに強い思いになっていくのは
みんな同じんなんだと思ってしまいました。

気軽に読めてほっと出来る本なので
また心が疲れた時にでも読んで心の旅をしてみたいと思う作品でした。


村山早紀 桜風堂ものがたり [作者ま行]


桜風堂ものがたり

桜風堂ものがたり



村山さんの作品は初めてで本屋大賞にノミネートされたので手に取りました。
ゆっくりと時間が過ぎていくような感覚で
読んでいてとても心が穏やかになり心が温まりました。

この作品に出てくる登場人物はどの人も心の優しい持ち主で
誰にもキラリと光る物を持っていて、
これだけの登場人物がいるので一人くらいは憎らしい人が
いてもおかしくはないのですがそう思える人がいないというのも
またこの作品の良さで温かみが更にあるのかと思いました。

中でも同じアパートの隣に住んでいた老人の言葉が印象的で好きです。
 生きることをあきらめるな、幸せになることを。
 前に進むことをあきらめたら、人間その場で腐っていくだけ。(中略)
 希望を持て。夢と憧れを忘れちゃいけない。
 動け。前に進むんだ。闇雲に進んだっていい。
 景色が変われば、見えてくるものも変わる。
 迷いながらでも、光が指す場所に、向かっていくんだよ。
 そうすればいつか、波の果てに陸が見える

現在の全国的に抱えている書店の悩みが切実に描かれていたり、
書店員の仕事、本に携わる人々の事が事細かく描かれていたので
書店が好きで本が好きな私にとっては
とても楽しく味わうことができました。
そして本を作り上げる人々達がどれほど本に対する愛情が
込められているかということが分かり、
これからはなるべく書店で本を購入しようかと思わされました。

主人公の一整はただ本が好きというだけではなく、
悲しく辛い過去を背負ってどこか影のあるタイプの青年。
どことなくお人よしだけれど、
自分なりに地道に出来る事を成し遂げていき
前向きに歩いていく姿は好感が持て本当に影で支えたくなります。
こうゆう人物だからこそ周りの皆も一丸となって
一つの目標を目指して頑張れたのかと思います。

作品中に出て来た団先生の『四月の魚』の内容が良いので、
現実的にこれも書籍化してくれたら良いと思いました。
 この中の地球は揺り籠のように、
 たくさんの命の思い出を抱いて、
 宇宙を巡っていく
この言葉も印象的でした。

本編の間の猫の視点で描かれたのも
猫の気持ちが素朴て可愛らしくて本編とは別に良かったです。

村山さんのこの本に込めた思いがあとがきになるので、
ここも是非読んでみて下さい。
良い本に出逢えて本当に良かったです。
この桜風堂書店、銀河堂書店も運が良ければ
他の作品で出て来るようなのでそれも気になりますが、
他の作品も読んでみたいと思います。


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