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西加奈子 i(アイ) [作者な行]


i(アイ)

i(アイ)

  • 作者: 西 加奈子
  • 出版社/メーカー: ポプラ社
  • 発売日: 2016/11/30
  • メディア: 単行本


ストーリーは「この世界にアイは存在しません。」
入学式の翌日、数学教師は言った。
ひとりだけ、え、と声を出した。ワイルド曽田アイ。
その言葉は、アイに衝撃を与え、彼女の胸に居座り続けることになる。
ある「奇跡」が起こるまでは―。
「想うこと」で生まれる圧倒的な強さと優しさ―直木賞作家・西加奈子の渾身の「叫び」
に心揺さぶられる傑作長編!

2017年本屋大賞ノミネート作品 というのは知っていましたが、
アメトーク読書芸人特集で光浦さんの今年読んだ本の
中で紹介されていたのを観て興味を持ち手に取りました。

「この世界にアイは存在しません。」という言葉が常に
問いただされいるようだったので、
アイの世界のとても窮屈で苦しい世界が
いつになったら軽くなるのだろうと思いながら読んでいました。
やっと自分の世界から少し解放されそうになってきた矢先に、
心の底から友達と言える友達とのトラブル。
自分が子供を生んで今まで生きた証をこの世に残したかったのに、
片方では違うことを望んでいるなんて・・・
こんな相反することが同時になってしまったところは、
心は引き裂かれそうで読んでいてとても辛かったです。

アイはシリアからの養子のハーフという
日本では少し特殊な存在です。
欧米ではハーフも養子もそれ程特別な存在ではならないと思いますが、
アイは養子ということに少し囚われすぎて
孤独感を余計に味わってしまったのかと思います。
養子であってもアイほど家庭やその他の環境に恵まれている人は
なかなかいないと思いますが、
そうゆう問題ではなくこの立場になった人にしか分からない苦しみが
生まれるのかと思いました。
養子などを取り扱った小説は何作か読んだことはありますが、
養子側からの心の叫びを読んだのは初めてかもしれません。

苦しくても一人孤独に耐えているアイを追っていると
本当に芯が強くて凄い女性だと思いました。
そして本当のアイを知っているからこそ
頼り甲斐もあり包容力のある夫が寄り添い、
そしてまた親友にも恵まれて、
確実なアイに成長したのだと思います。

アイの本当の祖国でもあるシリアの現状が度々出てきたり、
近年の世界情勢や災害、事故などがずらりと並んでいると
こんなにも世界では惨状があるのだと思わされます。
アイのように惨状を知り罪悪感を持つようなことはないですが、
それを情報として知っているだけ何もできなかったなとも思わされて
日本だけを見るのではなく、世界全体を見ているアイは凄いとも思います。

アイは小さな世界から大きな世界と目を向けて
何かを発信しているような気がします。
ラストに本当の自分の存在を分かったことで、
アイの今まで漲っていたパワーがここで爆発して
ここから力強く羽ばたけていけるのかと思うと感涙しそうでした。

アイは愛するの愛だと思え、
愛ということにパワーを感じられた作品でした。

西さんの作品は今までに何作が読んだことがありますが、
読みやすくて、このような心揺さぶられる作品は初めてで
今の世界情勢、社会などを反映してこの時代に読めて
良かった作品だと思いました。
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沼田まほかる ユリゴコロ [作者な行]


ユリゴコロ (双葉文庫)

ユリゴコロ (双葉文庫)

  • 出版社/メーカー: 双葉社
  • 発売日: 2014/01/09
  • メディア: Kindle版


ストーリーはある一家で見つかった「ユリゴコロ」と
題された4冊のノート。
それは殺人に取り憑かれた人間の生々しい告白文だった。
この一家の過去にいったい何があったのか―。
絶望的な暗黒の世界から一転、深い愛へと辿り着くラストまで、
ページを繰る手が止まらない衝撃の恋愛ミステリー!
各誌ミステリーランキングの上位に輝き、
第14回大藪春彦賞を受賞した超話題作!

映画公開のCMを観て興味深かったので手に取りました。
前半はかなりグロテスクな表現があり、
読むのに少し苦痛な所がありましたが、
それからいつの間にかアナタへの気持ちが
愛情に溢れていることに変わりその節なる思いが、
胸が張り裂けそうな思いなりました。
ドキドキしながらも読む手が止まらなくて一気に読んでしまいました。

この4冊のノートを読んでいた主人公もノートに書かれていたこととに翻弄され、
そして実生活の仕事、私生活でも上手くいかなく板挟みになっていて
あらゆることが交差して物語を右往左往しているのがスリリングです。

年をとるというのは、たぶん、混乱を混乱のまま抱きかかえて
生きられるようになることではないだろうか。
人間の心そのものが、永遠に解き明かせないひとつの波乱だと、
知ることではないだろうか。
という言葉が印象的でした。

まさしくこの主人公もそして家族、両親、兄弟とも
一人の危うい女性を通して人生を歩んでいくということ
ではないかと思いました。

ラストの展開には予想も出来なかったことで驚きましたが、
親が子供を思う気持ち、そして子供が親を思う気持ちがよく分かり
愛情と絆の深さが見られた気がしました。

初めの印象からラストの印象に変わるまで、
なんとも言えない不思議な感覚になり、
恐怖や苦しみがいつの間にか温かで幸せなものに変わっていくという
独特な世界観を味わえました。

沼田さんの作品は何冊か読んだことがありますが、
久しぶりに読んでまたインパクトが強く残りました。
恋愛ミステリーらしいですが、
あまりこのようなタイプは読まないのでかなり衝撃的な作品でした。
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沼田真佑 影裏 [作者な行]


影裏 第157回芥川賞受賞

影裏 第157回芥川賞受賞

  • 作者: 沼田 真佑
  • 出版社/メーカー: 文藝春秋
  • 発売日: 2017/07/28
  • メディア: 単行本


ストーリーは大きな崩壊を前に、目に映るものは何か。
交差する追憶と現実。
第157回芥川賞受賞。

芥川賞受賞作品ということで手に取りました。
感想を書くのも難しくどこから書いて良いのか分からないくらいです。

岩手の自然の情景が繊細に描かれていて、
目に光景が映っているかのように綺麗でした。
それとは反対に淡々と日々の物事が淡々と描かれているので
一体この先には何が訪れるのだろうかと思いながら読んでいました。

そして後半に差し掛かった時に考えもしなかったある登場人物の過去。
今まで主人公と釣りを通して親しく付き合っていたものが、
過去を告げられたことによって一瞬にしてその人物像が崩れてしまう。
その落差をどのようにしたら心を埋められるのかと考えてしまいました。
過去の人物像がマイナスのものであったとしても、
現在までの人物像がプラスであったのならば人はどちらを選ぶのか?
それと同時にその人物が現在の状態がどうなっているのかも
分からない状況となると、例え血の繋がりのあ家族であっても
一線を引いてしまうということ。
想像では語ることも出来なくとても複雑な心境になりました。

薄い本の割には内容が難しく読解力が無いせいで
何が伝えたかったのかがいまひとつ心に響きませんでした。
時間や場所の移動の幅が激しく時間軸がいまいち把握しにくかったです。
それと一番なのは難しい漢字が多かったのでもう少しルビをふって欲しかったです。
難解漢字が何度も出てくるとそれに囚われてしまって、
ストーリーの邪魔をされてしまい面白さも少し半減してしまうことがあるので。

3.11ということが出てきますが、
他の本では3.11をこのような書き方をしないのでまた印象が変わります。
人それぞれ感じ方は違うかと思いますが、
このようなものだと何かひっかかるものがあります。
悲しみや怒りといったものではなく何か分からないものがある。
それが経験をした人の本当の心境なのかもしれないのですが、
これも難しいです。

芥川賞受賞作ということもあるので
これだけの難しさの作品なのかなとも思ったりしました。
文章力はとてもあると思うので、
機会があったら他の作品読んでみたいと思います。

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乃南アサ それは秘密の [作者な行]


それは秘密の (新潮文庫)

それは秘密の (新潮文庫)

  • 作者: 乃南 アサ
  • 出版社/メーカー: 新潮社
  • 発売日: 2017/03/01
  • メディア: 文庫


ストーリーは美容に狂う前妻と彼女を奪っていった男、
なぜ二人は俺に会いに来るのか?なぜこんなに友人の母親が気になるのか?
隣室で虚ろで奇妙な音を出し続けるのは何者か?
どうしてあんなに不出来な部下に惹かれるのか?
なぜ暗闇で出会って顔も見えない彼女がこんなにも愛おしいのか?
なぜ、なぜ…。愛とも恋とも言えない、不思議な感情―。
心理描写の洗練を極めた珠玉の短編九編を収録。

ここに出てくる女性はどこか自分の生活に不満があり
くすぶっていてちょっと不甲斐ない感じでした。
でもどこか共感できてしまうところが多々あり、
長年一緒に男女が暮らしていると
こんな風な感情になってしまうのも仕方ないかと思ったりしました。
そして恋愛と結婚は別のものだということがよく分かります。
それにしても「ハズバンズ」の女性は自分の美貌を保つために
こんなことばかりするのは腹ただしくて
同じ女性として嫌な気分になりました。

「僕が受験に成功したわけ」と「それは秘密の」は
他のものとはタイプが違っていて
男性の視点から描かれているというのもありインパクトがありました。
特に「僕が受験には成功したわけ」では思春期の男の子の心境が
まざまざと描かれていてこの位の年代の男の子は
こんな想像をしているのかと思うと
ちょっと怖いような思いもしましたが、
らしいなという思いもしました。

「それは秘密の」はまるで夢物語というか男性の願望が
ここに表れているような気もしたり、
女性もある意味こんな一夜があったら日常から離れた嬉しい思い出に
なるなと思い少し微笑ましい思いがしました。

ミステリーとサスペンスと帯の表紙で書かれていたので
手に取ってみたのですが、そのようなことは全然なく
やられた感もそれ程ありませんでした。
ショートストーリが何作がありましたが、
この先も読んでみたいという所で終わってしまい
歯痒い思いがするので、もう少し長めにしてくれたら
良いなと思ってしまいました。

どの作品も読みやすく共感しやすいと思うので、
様々な感情に浸りたい時には読んでみるのも良いかと思います。

中澤日菜子 お父さんと伊藤さん [作者な行]


お父さんと伊藤さん (講談社文庫)

お父さんと伊藤さん (講談社文庫)

  • 作者: 中澤 日菜子
  • 出版社/メーカー: 講談社
  • 発売日: 2016/08/11
  • メディア: 文庫


ストーリーは彩は三十四歳、アルバイトで独身。
伊藤さんは二十歳年上の給食調理補助員。
古くて狭いアパートでの気ままな同棲暮らしは彩の父の登場によって破られる。
居座る父とのぎこちない共同生活は続くのか?
誰にも必ず思い当たる家族問題を笑いと緊張の絶妙なタッチで描く、
選考委員絶賛の小説現代長編新人賞受賞作。

映画化されていて面白そうなので手に取りました。
誰にでも起こりうる家族の神妙な問題を
笑いと絶妙な緊迫感で取り組んでいき
改めて家族とは何かと考えさせられました。

特にこの作品では会話が多いですが、
それがテンポよく出てくるので
まるでそばで会話しているかのようでとても楽しめました。
映画では34歳のフリーターを上野樹里さん、
バツイチの54歳の伊藤さんをリリー・フランキーさん、
お父さん74歳の元教師を藤竜也さんが演じているので
これを想像しながら読んでも全然違和感がありませんでした。
むしろ描写とテンポが良かったので想像しやすかったくらいでした。

私は両親が早く他界してしまったので、
老後や介護などという老いというのを
目の当たりにすることが無かったので今になって、
良いことなのか悪いことなのか考えさせられました。
もしいたのならやはり彩と同じような思いにかられてしまい
現実を受け止めるには時間がかかるかと思います。
彩とは少し状況は違いますが、
同じような会話をしていた覚えがあったので
余計に苦い気持ちを重ね合わせてしまいほろりとさせられてしまいました。

伊藤さんの存在もこの中では良い塩梅で、
お父さんとは当たり障りがなく男同士とはまた少し微妙に違い、
彩とお父さんとの間を上手く取り持っていて微笑ましかったです。

子供からの親に対する気持ちと
親が子供に対する気持ちとは同じになることはなく、
どちらかが重くなったりしてしまうと
どこかで歯車が狂ったりして潰れてしまうかと思います。
今は例えそれぞれ違う生活をしていても、
長年一緒に暮らしてきた家族なのでそれぞれを思う気持ちは同じだと思うので、
意地を張らずにお互いに寄り添うことが大事なのかと思いました。

登場人物ひとりひとりの言葉にとても人間味があって
とても心が温まった作品でした。

乃南アサ シャボン玉 [作者な行]


しゃぼん玉 (新潮文庫)

しゃぼん玉 (新潮文庫)

  • 作者: 乃南 アサ
  • 出版社/メーカー: 新潮社
  • 発売日: 2008/01/29
  • メディア: 文庫


ストーリーは女性や老人だけを狙った通り魔や強盗傷害を繰り返し、
自暴自棄な逃避行を続けていた伊豆見翔人は、宮崎県の山深い村で、
老婆と出会った。
翔人を彼女の孫と勘違いした村人たちは、あれこれと世話を焼き、
山仕事や祭りの準備にもかり出すようになった。
卑劣な狂犬、翔人の自堕落で猛り狂った心を村人たちは
優しく包み込むのだが……。
涙なくしては読めない心理サスペンス感動の傑作。


乃南さんの作品は何作が読んだことがありますが、
このような作風は初めてなので新鮮でした。

都会の中で育ち荒れた生活の中で通り魔や強盗傷害を繰り返し
逃避行していた少年。
そんな青年が環境を変えたらどんな人に変わっていくのかと思いましたが、
事情を知ってか知らずかの老婆の屈託のない温かさ、
本当の父親でもないのに懐が広くて昔堅気の老父。
そして山仕事や祭りの準備を通しての村人との触れ合いにより、
心も身体もいつしか自然にときほぐれ
これまでにない人間らしい生活と人間らしい心に変わっていくところが
なんともほろりとさせられてました。
老父の言葉のように人間はいつになっても
心根があれば変わるものなどだと思いました。

青年と老父は同じ男性ということもあり、
今まで行き場のない心がこの自然環境が変化させて、
今まで考えてみなかった本当の家族の事や自分の将来なども考えるようになり
全ての考え方や行動も変わっていくのが
自然に芽生えてくるというのがとても見事でした。
宮崎弁がここでは良い味を醸し出してより温もりを感じられました。

エピローグがあると思わなかったので読み進めたら、
更にこれまでにない成長した姿になっていたので
とても爽快なり微笑ましかったです。

今の世の中世知が無く殺伐とした世の中なので、
しゃぼん玉のような生活を送っている若い世代の人達に
多く読んでもらえたら良いなと思える作品です。

中脇初枝 わたしをみつけて [作者な行]


([な]9-2)わたしをみつけて (ポプラ文庫)

([な]9-2)わたしをみつけて (ポプラ文庫)

  • 作者: 中脇 初枝
  • 出版社/メーカー: ポプラ社
  • 発売日: 2015/06/05
  • メディア: 文庫


ストーリーは施設で育ち、今は准看護師として働く弥生は
問題がある医師にも異議は唱えない。
なぜならやっと得た居場所を失いたくないから。
その病院に新しい師長がやってきて―。
『きみはいい子』と同じ町を舞台に紡がれる、
明日にたしかな光を感じる物語。

医療現場が舞台となっていますが、
あまり難しい医療用語が出てくることが無いので
ストーリーに邪魔されなくスムーズに読めて良かったです。
施設に育った弥生はそこで育ったという劣等感と、
施設では「いい子」にしていれば良いということに固執していて
それが成長過程や仕事の上にまで概念がついてしまっていて
なかなか抜け出せなくて辛かっただろうと思いました。
仕事をきちんとこなしている端々にも何処か心の隅でまだ見たことにない
産みの母親を探し求めている心情はとても切なかったです。
けれどある登場人物とある事件がきっかけとなり、
「いい子」を演じてきた事から本当の自分を見出していくことになっていき、
見事に成長しているので読んでいてとても清々しかったです。
人というのはふとした一歩からこんなに大きく成長できるものだと
改めて思えました。

舞台となっている病院の体質や院長の態度には呆れるというか
こんな病院はあってはならないと思いますが、
これはあくまでも物語の設定ということだということを
認識していれば腹ただしくもならないかと思います。

病院には患者の数だけ病気がありそれだけそれぞれの人生の数があります。
医師には医師としての務め、
看護師には看護師にしか出来ない仕事を務める
それぞれが十二分に努力していけば患者達にも
明るい光が射し込まれるかと思いました。
一人の女性が本当の自分を取り戻すことの感動作でもありますが、
看護師としての職業の志の高さを再確認出来る作品でもあるように思いました。

中脇さんの作品を初めて読みましたが、
堅苦しくなくとても読みやすく心温まるお勧めの一冊です。

西加奈子 円卓 [作者な行]


円卓 (文春文庫)

円卓 (文春文庫)

  • 作者: 西 加奈子
  • 出版社/メーカー: 文藝春秋
  • 発売日: 2013/10/10
  • メディア: 文庫


ストーリーは世間の“当然”に立ち止まり、悩み考え成長する物語。
うるさいぼけ。なにがおもろいねん。
平凡やしあわせに反発する琴子、小学3年生。好きな言葉は、「孤独」。

公団住宅で三つ子の姉、両親、祖父母と一緒に暮らす琴子(こっこ)は
家庭の中では愛されているのに、
愛されていないと思っていたり、
いつも人の事を羨ましがったりして
ちょっと偏屈なところがある女の子です。

誰からでも好かれていると思うのに、
何故かもっと自分を特別に見つめて欲しいと
人がある事で注目されるとそれを真似してみたり、
同じ事をしてみたり
口が悪くて偏屈なところがあるけれど
可愛らしいなと思いました。

いつも大勢の家族に囲まれているから
それがかえって煩わしいと思ってしまう年頃だから
こんな行動をしてしまうのかもしれないと
自分の幼い頃の事と思い返しながら読みました。

この年頃は思春期とはまた違って、
何でも興味があるけれど
大人はまだ子供扱いをするので構ってくれないし、
本当の事などを教えてくれなかったりするので
偏屈なこっこにとってはそれが余計にしゃくに触って
みんなと同じことはせずに我が道を歩いているのかも
しれないと思いました。

でもこの個性的な所が子供らしくて
悩みを自分なりに解決したり、
時にはすぐ近所の同級生にの
打ち明けたりしてあどけないところが
ハツラツとしていて良いなと思いました。

ジャポニカ学習帳には秘密の言葉が書かれていたりして・・・
こうゆう事もこの時期にしかしない楽しみでもあったりして、
懐かしい気分にもなりました。

少し変わった女の子に思えますが、
子供の視線でその時の悩みや考え方が
ストレートに描かれているので
ユニークで自分の幼い頃と比較して読んでみると面白いかと思います。

文章が関西弁で書かれているのが、
面白さとリズム感が出ている感じがして良いかと思います。


HPのYuimiko's MemoriesのGalleryにも本の紹介をしているので、
そちらも良かったら見てみて下さい。
http://happy1996.web.fc2.com/

中脇初枝 きみはいい子 [作者な行]


きみはいい子 (一般書)

きみはいい子 (一般書)

  • 作者: 中脇 初枝
  • 出版社/メーカー: ポプラ社
  • 発売日: 2012/05/17
  • メディア: 単行本


ストーリーは夕方五時までは家に帰らせてもらえないこども。
娘に手を上げてしまう母親。
求めていた、たったひとつのもの—。
それぞれの家にそれぞれの事情がある。
それでもみんなこの町で、いろんなものを抱えて生きている。
心を揺さぶる感動作。

2013年本屋大賞ノミネート作品になっていて帯を読んでみて
気に入ったので手に取りました。

サンタさんの来ない家
べっぴんさん
うそつき
こんにちは、さようなら
うばすて山
の5章からなっています。

一見どらも関係ないような感じがしましたが、
どれかの作品の中に必ずリンクする人物がさりげなく出てくるので
上手く出来ているなと思いました。

どの作品も虐待がテーマとなっていますが、
普通虐待の小説となると読んでいて不快になる酷い表現などが
多いですが、この作品ではそのような表現がなく、
心にじわりと伝わる表現方法でした。

どれもごく普通の日常にある生活の一部の中でのストーリーなので、
より身近な問題やテーマを感じることができました。
サンタさんの来ない家の中の文中で
 子供は親を選べない、住む所も、通う学校も選べない、
 偶然によせ集められてここにいる。(中略)
 だからこそ、みんな、子供なりに、ここで踏ん張っているのだ。
というのがありますが、
これには納得でした。

虐待されてしまう子供にとっては好きでこんな親に
育てられたくないと常に思っていると思います。
けれど虐待された事を誰にも言えなくてじっと一人で耐えていて、
いつまで虐待から逃れられるのか分からないのに
子供ながらに我慢しているのが読んでいて辛いです。

べっぴんさんでは自分の好きでもないママ友と一緒に
過ごしている光景が書かれているのですが、
表面では普通に接しているのに心の中では
こんな事を考えていたり、行動も普通ではないので
少し怖い思いがしました。
虐待された子供はトラウマでまた自分の子供にも無意識のうちに
虐待をしてしまうというのがまざまざと分かります。

うそつきの中ではこの言葉が印象的でした。
 たとえ別れても、二度と会わなくても、
 一緒にいた場所がなくなったとしても、
 幸せなひとときがあった記憶が
 それが一生を支えてくれる。
 どんな不幸なことがあったとしても、
 その記憶が自分を救ってくれる。
本当にそうだと思います。
幸せな思い出があったのならば、その時を思い出して前に進むことも出来ます。
幸せな思い出もなかったのなら、本当に絶望的になってしまいそうです。
どんな思い出でも心の中では行き続けるので
改めて大切にしなければいけないなと思いました。

うばすて山は認知症を患ってしまった母親を姉妹で介護するという
ストーリーですが、同じ姉妹なのに育て方が違い姉だけには
とても厳しく完璧な母親でこんな母親が自分の親だと思ったら
その家には居たくないと思いました。
それでも自分の母親がこのような病状になってしまったら、
少しだけでも看てあげないといけないなんて残酷だなと思いました。
自分の名前も分からず、まして主人公の姉の名前や顔を見ても
知らない人のままで、改めて名前を教えてあげてやっと呼んでくれる。
本当は子供の頃にその名前を呼んで欲しかったり、
してもらいたいことがあったのに・・・
実のお母さんなのに、本当のお母さんでなくなっている
お母さんを受け入れる気持ちはとても複雑だと思います。
でもどんな形であっても実の母親なので受け入れるところは
受け入れているのがやっぱり子供なんだろうなと思いました。
この作品は自分がこの世代になるとよく分かると思います。

ストーリーの書き方も物腰が柔らかく書かれているので、
とても読みやすかったです。
どの作品でも虐待やいじめはあるものの
誰かが手を差し伸べてくれて
明るい未来が見えるのでこれが救われて心が温まるところです。


HPのYuimiko's MemoriesのGalleryにも本の紹介をしているので、
そちらも良かったら見てみて下さい。
http://happy1996.web.fc2.com/

夏川草介 神様のカルテ 3 [作者な行]


神様のカルテ 3

神様のカルテ 3

  • 作者: 夏川 草介
  • 出版社/メーカー: 小学館
  • 発売日: 2012/08/08
  • メディア: 単行本


ストーリーは「医者をなめてるんじゃない?自己満足で患者のそばにいるなんて、
信じられない偽善者よ」。美しい信州の情景。命を預かる仕事の重み。
切磋琢磨する仲間。青年医師・栗原一止に訪れた、最大の転機の医療小説。

初めからの『神様のカルテ』を読んでその後のシリーズ読んでも
いつも感銘していたのでこの作品を手に取りました。

今回は主人公の栗原一止の前に新たしい女性の内科医が来ます。
最初は彼女の医師としての振る舞い方に少し可笑しいなと思いました。
治ろうとする意思の持たない患者については、
急患であっても受診をしないというやり方。
これは医師であるのなら、
どんな患者の状態でも受け入れるとういうのが本業だと思います。
でもこれには深いわけが過去があります。
それを思うと頷けしまいます。
彼女がここまで思うまでの決断に至るにはどんなに辛かったかと思いました。

一止もそんな彼女の医師としての生き方を見て戸惑いながらも
また翻弄されつつも見つめ直してまた新たなる決意をするのが
この医師の良いところ。

医療現場もいつもリアルに描かれていて、
それだけでなく患者さんに対しての一止医師の対応の仕方が
本当に細やかだなと思います。
医師というのは病気を治すことが先決ですが、
それだけでなくメンタル的な部分で支えてくれると
患者さんもどんなに救われるかということがいつも
この神様のカルテでは痛感します。

過酷の医療から解き放たれて、ハルさんとのひと時はとても微笑ましいです。
どうしていつもこんなに穏やかな心でいられるのだろうと思うくらし
ハルさんは一止だけでなく他の人の心を温かくしてくれます。
こんな女性がそばにいるから一止も頑張れるのかなと思えます。
ハルさんのような女性になるのはどうしたらなれるのだとうかと・・・

そして大狸先生からの一言は重みがあります。
医者として一番大切なものは何か分かるか?
それはどこで働こうが、どんな病院へ行こうが、
そんなことはどうでも良い。とにかく医者を続けていくことが肝心なんだ。
これは一止だけでなく、実際に医療の現場で働いている人達に
捧げたいと思いました。

医療とは関係ないですが、
気になった言葉が・・・
芸術家とはいかなる嵐の中でも、常に北を示す続ける羅針盤だ。
 (クリフトの言葉)

いつも心の底から温かくされてしまう作品なのでお勧めな本です。


HPのYuimiko's MemoriesのGalleryにも本の紹介をしているので、
そちらも良かったら見てみて下さい。
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