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長江俊和 出版禁止 [作者な行]


出版禁止 (新潮文庫)

出版禁止 (新潮文庫)

  • 作者: 長江 俊和
  • 出版社/メーカー: 新潮社
  • 発売日: 2017/03/01
  • メディア: 文庫


ストーリーは著者・長江俊和が手にしたのは、いわくつきの原稿だった。
題名は「カミュの刺客」、執筆者はライターの若橋呉成。
内容は、有名なドキュメンタリー作家と心中し、
生き残った新藤七緒への独占インタビューだった。
死の匂いが立ちこめる山荘、心中のすべてを記録したビデオ。
不倫の果ての悲劇なのか。なぜ女だけが生還したのか。
息を呑む展開、恐るべきどんでん返し。異形の傑作ミステリー。

心中事件から生還した女性を男性ルポライラーが取材をしていく。
取材をしていくうちに彼女の魅力に惹かれてしまい・・・
心中事件の真相は意外なものがありましたが、
それよりもラストになっての大どんでん返しの結末が、
もう一度前に戻らないとライターの
あちこちに散りばめられた 言葉のトリックの謎を
解かないといけないと思いました。
けれどライターが起こした行動があまりにもおぞましいので、
もう一度読むには少し勇気がいるかと思います。

ライターがどんどんと彼女の真相に迫ろうという行動は
読んでいて引き込まれていきますが、
読了後は心中の真相がはっきりと分かることがなく、
もやもや感が残ってしまいました。
ただ心中がいかに愛の契りだとしても
今の世の中にはあまり存在できないのかもと思いました。
そして愛とは美しく永遠のものかもしれないですが、
時には非情なものになってしまうかと思えました。

長江さんの作品は初めてで、
このようなタイプの作品も初めてなので斬新でした。
普通のミステリー小説に飽きた方には
時にはこんな異色のミステリー小説も良いかと思います。
かなりラストでは裏切られるので覚悟をして読むのをお勧めします。
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東野圭吾 人魚が眠る家 [作者な行]


人魚の眠る家

人魚の眠る家

  • 作者: 東野 圭吾
  • 出版社/メーカー: 幻冬舎
  • 発売日: 2015/11/18
  • メディア: 単行本


ストーリーは娘の小学校受験が終わったら離婚する。
そう約束した仮面夫婦の二人。
彼等に悲報が届いたのは、面接試験の予行演習の直前だった。
娘がプールで溺れた―。病院に駆けつけた二人を待っていたのは残酷な現実。
そして医師からは、思いもよらない選択を迫られる。
過酷な運命に苦悩する母親。その愛と狂気は成就するのか―。

映画化になるというので手に取りました。
娘がプールで事故に遭い、
そして医師からは思いもよらない現実を告げられる。
脳死、臓器提供という重いテーマが主になっていますが、
細かく丁寧に描かれていてるので分かりやすかったと思います。
果たして脳死とは一体何なのかと思わずにはいられず、
とても考えさせられることばかりでした。

母親の薫子はただ自分の手で娘に対しては
出来る限りの事をしてあげたいという気持ちの一心で
何とも心の揺るがない心の強さには驚かされます。
母親だからこそここまでの境地になるというのが伺い知れます。

父親の和昌は別居しているということもあり
少し家族との隔たりがあるように思いますが、
最先端の科学技術を網羅できても、
それが現実に確実に利用できるかどうか分からないという
もどかしさが伝わり父親ならではの苦悩が伺えました。

母親だけでなく同じ家族、兄弟となると
幼い頃はよく事情が分からない兄弟の心情も描かれていて
とても辛い心境に立たされてしまうのだと思わされました。
どちらにしても辛い心境は家族みんなで
乗り越えなければいけないと思いました。
自分がもしこのような立場になったらと思うと
どちらの立場になっても難しい選択を迫られて
薫子のようにこんな強い意思にはなれないと思ってしまいました。
母はまさに強しです。

東野さんというとミステリー小説と思ってしまいますが、
この作品はミステリー要素は全くなく脳死、臓器移植に対して
真っ直ぐに描かれていて、これをきっかけに医療現場や行政などに
様々なテーマを呈しているとも思えました。
特に子供の臓器提供については諸外国とは異なるので
きちんとして医療制度を作っていかなければいけないと思います。

涙なくしては読めず重厚感のある作品なので
多くの方に読んで貰いたい一冊です。
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ねこまき ねことじいちゃん(3) [作者な行]


ねことじいちゃん3 (メディアファクトリーのコミックエッセイ)

ねことじいちゃん3 (メディアファクトリーのコミックエッセイ)

  • 作者: ねこまき(ミューズワーク)
  • 出版社/メーカー: KADOKAWA
  • 発売日: 2017/02/23
  • メディア: 単行本


ストーリーはいつかは終わってしまう時間だからこそ、こんなにも愛おしい---。
いつかは終わってしまう時間だからこそ、こんなにも愛おしい---。
老妻に先だたれ、猫のタマと二人暮らしの大吉じいちゃん。
猫と老人だらけの島でひとりと一匹が繰り広げる、
毎日がいとおしくなる四季折々の営みを
優しい筆致で叙情性豊かに描きます。
小学生から80代まで、幅広い年齢層に支持されるハートウォーミングな良作。
第19回文化庁メディア芸術祭漫画部門審査委員会推薦作品

おおばあさんとの若き頃の懐かしい思い出話や、
おじいさんの幼馴染の話や同級生に加わり、
診療所の先生のことも描かれていてより面白さが増しました。

島の自然豊かな風景や心温かい島の人達、
そして可愛い猫に囲まれてこんなにのんびりと穏やかに
楽しそうにおじいさんが生き生きとして暮らしているのを見ていると
こんな老後がとても羨ましく思えました。

こんなのんびりで穏やかな生活は身近ではとても味わえないので、
この本を読んで少し時間を忘れてほのぼのとしたい時に読みたいと思います。

子供さんから大人まで幅広い世代にお勧めな本だと思います。
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ねこまき ねことじいちゃん(2) [作者な行]


ねことじいちゃん (2) (メディアファクトリーのコミックエッセイ)

ねことじいちゃん (2) (メディアファクトリーのコミックエッセイ)

  • 作者: ねこまき(ミューズワーク)
  • 出版社/メーカー: KADOKAWA
  • 発売日: 2016/04/21
  • メディア: 単行本


ストーリーはこれは、ばあさんとの約束--------。
老妻に先だたれ、猫のタマと二人暮らしの大吉じいちゃん。
猫と老人だらけの島でひとりと一匹が繰り広げる、

毎日がいとおしくなる四季折々の営みを
優しい筆致で叙情性豊かに描きます。
「クスッと笑えて、ちょっとだけ泣ける」、
小学生から80代まで、幅広い年齢層に支持されるハートウォーミングな良作。
続刊の今作では亡き妻との思い出話など、
タマと大吉じいちゃんの絆を感じさせるエピソードが満載です。
第19回文化庁メディア芸術祭漫画部門審査委員会推薦作品

前作と同じくほのぼのとして心が和んで読めます。
おばあさんとの馴れ初めが書かれていたり、
おじいさんの幼馴染の話や同級生のことも
描かれていて懐かしい思い出も良いですが、
高齢という世代の現実も垣間見れて少し切なかったです。

おじいさんが猫を飼うというよりも、
タマとの関係を見ているとタマの方が少し上手で
面白い猫で茶目っ気たっぷりでより可愛らしく思えます。

三冊まとめて購入しましたが何度でも読みたくなる本なので
買って良かったです。
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ねこまき ねことじいちゃん [作者な行]


ねことじいちゃん (メディアファクトリーのコミックエッセイ)

ねことじいちゃん (メディアファクトリーのコミックエッセイ)

  • 作者: ねこまき(ミューズワーク)
  • 出版社/メーカー: KADOKAWA/メディアファクトリー
  • 発売日: 2015/08/07
  • メディア: 単行本


ストーリーはばあさんに先だたれ猫のタマと二人暮らしの大吉じいちゃん。
ともに白髪の生えるまできっと一緒でずっと一緒。
ひとりと一匹が繰り広げる毎日がいとおしくなる四季折々の彩りをお届けします。

カラーのページが水彩画でとてもほのぼとした
イラストなのでこれを見ているだけでも心が和みます。

特に猫好きというわけでもないですが、
猫の仕草や行動が可愛いので、
猫好きな方にはお勧めだと思います。
猫好きでない方はもっと猫好きになってしまうかもしれないです。

定年までは好きなことや趣味などが何も無かったおじいさんですが、
今では四季の折々の手作り料理をしているのが素敵だなと思いました。

猫とおじいさんのほのぼのとした関係が良くて、
温かい距離感がなんともいえなくて癒されます。
心が疲れた時に何度でもまた読みたくなる一冊です。
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西加奈子 i(アイ) [作者な行]


i(アイ)

i(アイ)

  • 作者: 西 加奈子
  • 出版社/メーカー: ポプラ社
  • 発売日: 2016/11/30
  • メディア: 単行本


ストーリーは「この世界にアイは存在しません。」
入学式の翌日、数学教師は言った。
ひとりだけ、え、と声を出した。ワイルド曽田アイ。
その言葉は、アイに衝撃を与え、彼女の胸に居座り続けることになる。
ある「奇跡」が起こるまでは―。
「想うこと」で生まれる圧倒的な強さと優しさ―直木賞作家・西加奈子の渾身の「叫び」
に心揺さぶられる傑作長編!

2017年本屋大賞ノミネート作品 というのは知っていましたが、
アメトーク読書芸人特集で光浦さんの今年読んだ本の
中で紹介されていたのを観て興味を持ち手に取りました。

「この世界にアイは存在しません。」という言葉が常に
問いただされいるようだったので、
アイの世界のとても窮屈で苦しい世界が
いつになったら軽くなるのだろうと思いながら読んでいました。
やっと自分の世界から少し解放されそうになってきた矢先に、
心の底から友達と言える友達とのトラブル。
自分が子供を生んで今まで生きた証をこの世に残したかったのに、
片方では違うことを望んでいるなんて・・・
こんな相反することが同時になってしまったところは、
心は引き裂かれそうで読んでいてとても辛かったです。

アイはシリアからの養子のハーフという
日本では少し特殊な存在です。
欧米ではハーフも養子もそれ程特別な存在ではならないと思いますが、
アイは養子ということに少し囚われすぎて
孤独感を余計に味わってしまったのかと思います。
養子であってもアイほど家庭やその他の環境に恵まれている人は
なかなかいないと思いますが、
そうゆう問題ではなくこの立場になった人にしか分からない苦しみが
生まれるのかと思いました。
養子などを取り扱った小説は何作か読んだことはありますが、
養子側からの心の叫びを読んだのは初めてかもしれません。

苦しくても一人孤独に耐えているアイを追っていると
本当に芯が強くて凄い女性だと思いました。
そして本当のアイを知っているからこそ
頼り甲斐もあり包容力のある夫が寄り添い、
そしてまた親友にも恵まれて、
確実なアイに成長したのだと思います。

アイの本当の祖国でもあるシリアの現状が度々出てきたり、
近年の世界情勢や災害、事故などがずらりと並んでいると
こんなにも世界では惨状があるのだと思わされます。
アイのように惨状を知り罪悪感を持つようなことはないですが、
それを情報として知っているだけ何もできなかったなとも思わされて
日本だけを見るのではなく、世界全体を見ているアイは凄いとも思います。

アイは小さな世界から大きな世界と目を向けて
何かを発信しているような気がします。
ラストに本当の自分の存在を分かったことで、
アイの今まで漲っていたパワーがここで爆発して
ここから力強く羽ばたけていけるのかと思うと感涙しそうでした。

アイは愛するの愛だと思え、
愛ということにパワーを感じられた作品でした。

西さんの作品は今までに何作が読んだことがありますが、
読みやすくて、このような心揺さぶられる作品は初めてで
今の世界情勢、社会などを反映してこの時代に読めて
良かった作品だと思いました。
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沼田まほかる ユリゴコロ [作者な行]


ユリゴコロ (双葉文庫)

ユリゴコロ (双葉文庫)

  • 出版社/メーカー: 双葉社
  • 発売日: 2014/01/09
  • メディア: Kindle版


ストーリーはある一家で見つかった「ユリゴコロ」と
題された4冊のノート。
それは殺人に取り憑かれた人間の生々しい告白文だった。
この一家の過去にいったい何があったのか―。
絶望的な暗黒の世界から一転、深い愛へと辿り着くラストまで、
ページを繰る手が止まらない衝撃の恋愛ミステリー!
各誌ミステリーランキングの上位に輝き、
第14回大藪春彦賞を受賞した超話題作!

映画公開のCMを観て興味深かったので手に取りました。
前半はかなりグロテスクな表現があり、
読むのに少し苦痛な所がありましたが、
それからいつの間にかアナタへの気持ちが
愛情に溢れていることに変わりその節なる思いが、
胸が張り裂けそうな思いなりました。
ドキドキしながらも読む手が止まらなくて一気に読んでしまいました。

この4冊のノートを読んでいた主人公もノートに書かれていたこととに翻弄され、
そして実生活の仕事、私生活でも上手くいかなく板挟みになっていて
あらゆることが交差して物語を右往左往しているのがスリリングです。

年をとるというのは、たぶん、混乱を混乱のまま抱きかかえて
生きられるようになることではないだろうか。
人間の心そのものが、永遠に解き明かせないひとつの波乱だと、
知ることではないだろうか。
という言葉が印象的でした。

まさしくこの主人公もそして家族、両親、兄弟とも
一人の危うい女性を通して人生を歩んでいくということ
ではないかと思いました。

ラストの展開には予想も出来なかったことで驚きましたが、
親が子供を思う気持ち、そして子供が親を思う気持ちがよく分かり
愛情と絆の深さが見られた気がしました。

初めの印象からラストの印象に変わるまで、
なんとも言えない不思議な感覚になり、
恐怖や苦しみがいつの間にか温かで幸せなものに変わっていくという
独特な世界観を味わえました。

沼田さんの作品は何冊か読んだことがありますが、
久しぶりに読んでまたインパクトが強く残りました。
恋愛ミステリーらしいですが、
あまりこのようなタイプは読まないのでかなり衝撃的な作品でした。
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沼田真佑 影裏 [作者な行]


影裏 第157回芥川賞受賞

影裏 第157回芥川賞受賞

  • 作者: 沼田 真佑
  • 出版社/メーカー: 文藝春秋
  • 発売日: 2017/07/28
  • メディア: 単行本


ストーリーは大きな崩壊を前に、目に映るものは何か。
交差する追憶と現実。
第157回芥川賞受賞。

芥川賞受賞作品ということで手に取りました。
感想を書くのも難しくどこから書いて良いのか分からないくらいです。

岩手の自然の情景が繊細に描かれていて、
目に光景が映っているかのように綺麗でした。
それとは反対に淡々と日々の物事が淡々と描かれているので
一体この先には何が訪れるのだろうかと思いながら読んでいました。

そして後半に差し掛かった時に考えもしなかったある登場人物の過去。
今まで主人公と釣りを通して親しく付き合っていたものが、
過去を告げられたことによって一瞬にしてその人物像が崩れてしまう。
その落差をどのようにしたら心を埋められるのかと考えてしまいました。
過去の人物像がマイナスのものであったとしても、
現在までの人物像がプラスであったのならば人はどちらを選ぶのか?
それと同時にその人物が現在の状態がどうなっているのかも
分からない状況となると、例え血の繋がりのあ家族であっても
一線を引いてしまうということ。
想像では語ることも出来なくとても複雑な心境になりました。

薄い本の割には内容が難しく読解力が無いせいで
何が伝えたかったのかがいまひとつ心に響きませんでした。
時間や場所の移動の幅が激しく時間軸がいまいち把握しにくかったです。
それと一番なのは難しい漢字が多かったのでもう少しルビをふって欲しかったです。
難解漢字が何度も出てくるとそれに囚われてしまって、
ストーリーの邪魔をされてしまい面白さも少し半減してしまうことがあるので。

3.11ということが出てきますが、
他の本では3.11をこのような書き方をしないのでまた印象が変わります。
人それぞれ感じ方は違うかと思いますが、
このようなものだと何かひっかかるものがあります。
悲しみや怒りといったものではなく何か分からないものがある。
それが経験をした人の本当の心境なのかもしれないのですが、
これも難しいです。

芥川賞受賞作ということもあるので
これだけの難しさの作品なのかなとも思ったりしました。
文章力はとてもあると思うので、
機会があったら他の作品読んでみたいと思います。

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乃南アサ それは秘密の [作者な行]


それは秘密の (新潮文庫)

それは秘密の (新潮文庫)

  • 作者: 乃南 アサ
  • 出版社/メーカー: 新潮社
  • 発売日: 2017/03/01
  • メディア: 文庫


ストーリーは美容に狂う前妻と彼女を奪っていった男、
なぜ二人は俺に会いに来るのか?なぜこんなに友人の母親が気になるのか?
隣室で虚ろで奇妙な音を出し続けるのは何者か?
どうしてあんなに不出来な部下に惹かれるのか?
なぜ暗闇で出会って顔も見えない彼女がこんなにも愛おしいのか?
なぜ、なぜ…。愛とも恋とも言えない、不思議な感情―。
心理描写の洗練を極めた珠玉の短編九編を収録。

ここに出てくる女性はどこか自分の生活に不満があり
くすぶっていてちょっと不甲斐ない感じでした。
でもどこか共感できてしまうところが多々あり、
長年一緒に男女が暮らしていると
こんな風な感情になってしまうのも仕方ないかと思ったりしました。
そして恋愛と結婚は別のものだということがよく分かります。
それにしても「ハズバンズ」の女性は自分の美貌を保つために
こんなことばかりするのは腹ただしくて
同じ女性として嫌な気分になりました。

「僕が受験に成功したわけ」と「それは秘密の」は
他のものとはタイプが違っていて
男性の視点から描かれているというのもありインパクトがありました。
特に「僕が受験には成功したわけ」では思春期の男の子の心境が
まざまざと描かれていてこの位の年代の男の子は
こんな想像をしているのかと思うと
ちょっと怖いような思いもしましたが、
らしいなという思いもしました。

「それは秘密の」はまるで夢物語というか男性の願望が
ここに表れているような気もしたり、
女性もある意味こんな一夜があったら日常から離れた嬉しい思い出に
なるなと思い少し微笑ましい思いがしました。

ミステリーとサスペンスと帯の表紙で書かれていたので
手に取ってみたのですが、そのようなことは全然なく
やられた感もそれ程ありませんでした。
ショートストーリが何作がありましたが、
この先も読んでみたいという所で終わってしまい
歯痒い思いがするので、もう少し長めにしてくれたら
良いなと思ってしまいました。

どの作品も読みやすく共感しやすいと思うので、
様々な感情に浸りたい時には読んでみるのも良いかと思います。

中澤日菜子 お父さんと伊藤さん [作者な行]


お父さんと伊藤さん (講談社文庫)

お父さんと伊藤さん (講談社文庫)

  • 作者: 中澤 日菜子
  • 出版社/メーカー: 講談社
  • 発売日: 2016/08/11
  • メディア: 文庫


ストーリーは彩は三十四歳、アルバイトで独身。
伊藤さんは二十歳年上の給食調理補助員。
古くて狭いアパートでの気ままな同棲暮らしは彩の父の登場によって破られる。
居座る父とのぎこちない共同生活は続くのか?
誰にも必ず思い当たる家族問題を笑いと緊張の絶妙なタッチで描く、
選考委員絶賛の小説現代長編新人賞受賞作。

映画化されていて面白そうなので手に取りました。
誰にでも起こりうる家族の神妙な問題を
笑いと絶妙な緊迫感で取り組んでいき
改めて家族とは何かと考えさせられました。

特にこの作品では会話が多いですが、
それがテンポよく出てくるので
まるでそばで会話しているかのようでとても楽しめました。
映画では34歳のフリーターを上野樹里さん、
バツイチの54歳の伊藤さんをリリー・フランキーさん、
お父さん74歳の元教師を藤竜也さんが演じているので
これを想像しながら読んでも全然違和感がありませんでした。
むしろ描写とテンポが良かったので想像しやすかったくらいでした。

私は両親が早く他界してしまったので、
老後や介護などという老いというのを
目の当たりにすることが無かったので今になって、
良いことなのか悪いことなのか考えさせられました。
もしいたのならやはり彩と同じような思いにかられてしまい
現実を受け止めるには時間がかかるかと思います。
彩とは少し状況は違いますが、
同じような会話をしていた覚えがあったので
余計に苦い気持ちを重ね合わせてしまいほろりとさせられてしまいました。

伊藤さんの存在もこの中では良い塩梅で、
お父さんとは当たり障りがなく男同士とはまた少し微妙に違い、
彩とお父さんとの間を上手く取り持っていて微笑ましかったです。

子供からの親に対する気持ちと
親が子供に対する気持ちとは同じになることはなく、
どちらかが重くなったりしてしまうと
どこかで歯車が狂ったりして潰れてしまうかと思います。
今は例えそれぞれ違う生活をしていても、
長年一緒に暮らしてきた家族なのでそれぞれを思う気持ちは同じだと思うので、
意地を張らずにお互いに寄り添うことが大事なのかと思いました。

登場人物ひとりひとりの言葉にとても人間味があって
とても心が温まった作品でした。
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