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乃南アサ それは秘密の [作者な行]


それは秘密の (新潮文庫)

それは秘密の (新潮文庫)



ストーリーは美容に狂う前妻と彼女を奪っていった男、
なぜ二人は俺に会いに来るのか?なぜこんなに友人の母親が気になるのか?
隣室で虚ろで奇妙な音を出し続けるのは何者か?
どうしてあんなに不出来な部下に惹かれるのか?
なぜ暗闇で出会って顔も見えない彼女がこんなにも愛おしいのか?
なぜ、なぜ…。愛とも恋とも言えない、不思議な感情―。
心理描写の洗練を極めた珠玉の短編九編を収録。

ここに出てくる女性はどこか自分の生活に不満があり
くすぶっていてちょっと不甲斐ない感じでした。
でもどこか共感できてしまうところが多々あり、
長年一緒に男女が暮らしていると
こんな風な感情になってしまうのも仕方ないかと思ったりしました。
そして恋愛結婚は別のものだということがよく分かります。
それにしても「ハズバンズ」の女性は自分の美貌を保つために
こんなことばかりするのは腹ただしくて
同じ女性として嫌な気分になりました。

「僕が受験に成功したわけ」と「それは秘密の」は
他のものとはタイプが違っていて
男性の視点から描かれているというのもありインパクトがありました。
特に「僕が受験には成功したわけ」では思春期の男の子の心境が
まざまざと描かれていてこの位の年代の男の子は
こんな想像をしているのかと思うと
ちょっと怖いような思いもしましたが、
らしいなという思いもしました。

「それは秘密の」はまるで夢物語というか男性の願望が
ここに表れているような気もしたり、
女性もある意味こんな一夜があったら日常から離れた嬉しい思い出に
なるなと思い少し微笑ましい思いがしました。

ミステリーサスペンスと帯の表紙で書かれていたので
手に取ってみたのですが、そのようなことは全然なく
やられた感もそれ程ありませんでした。
ショートストーリが何作がありましたが、
この先も読んでみたいという所で終わってしまい
歯痒い思いがするので、もう少し長めにしてくれたら
良いなと思ってしまいました。

どの作品も読みやすく共感しやすいと思うので、
様々な感情に浸りたい時には読んでみるのも良いかと思います。

中澤日菜子 お父さんと伊藤さん [作者な行]


お父さんと伊藤さん (講談社文庫)

お父さんと伊藤さん (講談社文庫)

  • 作者: 中澤 日菜子
  • 出版社/メーカー: 講談社
  • 発売日: 2016/08/11
  • メディア: 文庫


ストーリーは彩は三十四歳、アルバイトで独身。
伊藤さんは二十歳年上の給食調理補助員。
古くて狭いアパートでの気ままな同棲暮らしは彩の父の登場によって破られる。
居座る父とのぎこちない共同生活は続くのか?
誰にも必ず思い当たる家族問題を笑いと緊張の絶妙なタッチで描く、
選考委員絶賛の小説現代長編新人賞受賞作。

映画化されていて面白そうなので手に取りました。
誰にでも起こりうる家族の神妙な問題を
笑いと絶妙な緊迫感で取り組んでいき
改めて家族とは何かと考えさせられました。

特にこの作品では会話が多いですが、
それがテンポよく出てくるので
まるでそばで会話しているかのようでとても楽しめました。
映画では34歳のフリーターを上野樹里さん、
バツイチの54歳の伊藤さんをリリー・フランキーさん、
お父さん74歳の元教師を藤竜也さんが演じているので
これを想像しながら読んでも全然違和感がありませんでした。
むしろ描写とテンポが良かったので想像しやすかったくらいでした。

私は両親が早く他界してしまったので、
老後や介護などという老いというのを
目の当たりにすることが無かったので今になって、
良いことなのか悪いことなのか考えさせられました。
もしいたのならやはり彩と同じような思いにかられてしまい
現実を受け止めるには時間がかかるかと思います。
彩とは少し状況は違いますが、
同じような会話をしていた覚えがあったので
余計に苦い気持ちを重ね合わせてしまいほろりとさせられてしまいました。

伊藤さんの存在もこの中では良い塩梅で、
お父さんとは当たり障りがなく男同士とはまた少し微妙に違い、
彩とお父さんとの間を上手く取り持っていて微笑ましかったです。

子供からの親に対する気持ちと
親が子供に対する気持ちとは同じになることはなく、
どちらかが重くなったりしてしまうと
どこかで歯車が狂ったりして潰れてしまうかと思います。
今は例えそれぞれ違う生活をしていても、
長年一緒に暮らしてきた家族なのでそれぞれを思う気持ちは同じだと思うので、
意地を張らずにお互いに寄り添うことが大事なのかと思いました。

登場人物ひとりひとりの言葉にとても人間味があって
とても心が温まった作品でした。

乃南アサ シャボン玉 [作者な行]


しゃぼん玉 (新潮文庫)

しゃぼん玉 (新潮文庫)



ストーリーは女性や老人だけを狙った通り魔や強盗傷害を繰り返し、
自暴自棄な逃避行を続けていた伊豆見翔人は、宮崎県の山深い村で、
老婆と出会った。
翔人を彼女の孫と勘違いした村人たちは、あれこれと世話を焼き、
山仕事や祭りの準備にもかり出すようになった。
卑劣な狂犬、翔人の自堕落で猛り狂った心を村人たちは
優しく包み込むのだが……。
涙なくしては読めない心理サスペンス感動の傑作。


乃南さんの作品は何作が読んだことがありますが、
このような作風は初めてなので新鮮でした。

都会の中で育ち荒れた生活の中で通り魔や強盗傷害を繰り返し
逃避行していた少年。
そんな青年が環境を変えたらどんな人に変わっていくのかと思いましたが、
事情を知ってか知らずかの老婆の屈託のない温かさ、
本当の父親でもないのに懐が広くて昔堅気の老父。
そして山仕事や祭りの準備を通しての村人との触れ合いにより、
心も身体もいつしか自然にときほぐれ
これまでにない人間らしい生活と人間らしい心に変わっていくところが
なんともほろりとさせられてました。
老父の言葉のように人間はいつになっても
心根があれば変わるものなどだと思いました。

青年と老父は同じ男性ということもあり、
今まで行き場のない心がこの自然環境が変化させて、
今まで考えてみなかった本当の家族の事や自分の将来なども考えるようになり
全ての考え方や行動も変わっていくのが
自然に芽生えてくるというのがとても見事でした。
宮崎弁がここでは良い味を醸し出してより温もりを感じられました。

エピローグがあると思わなかったので読み進めたら、
更にこれまでにない成長した姿になっていたので
とても爽快なり微笑ましかったです。

今の世の中世知が無く殺伐とした世の中なので、
しゃぼん玉のような生活を送っている若い世代の人達に
多く読んでもらえたら良いなと思える作品です。

中脇初枝 わたしをみつけて [作者な行]


([な]9-2)わたしをみつけて (ポプラ文庫)

([な]9-2)わたしをみつけて (ポプラ文庫)



ストーリーは施設で育ち、今は准看護師として働く弥生は
問題がある医師にも異議は唱えない。
なぜならやっと得た居場所を失いたくないから。
その病院に新しい師長がやってきて―。
『きみはいい子』と同じ町を舞台に紡がれる、
明日にたしかな光を感じる物語。

医療現場が舞台となっていますが、
あまり難しい医療用語が出てくることが無いので
ストーリーに邪魔されなくスムーズに読めて良かったです。
施設に育った弥生はそこで育ったという劣等感と、
施設では「いい子」にしていれば良いということに固執していて
それが成長過程や仕事の上にまで概念がついてしまっていて
なかなか抜け出せなくて辛かっただろうと思いました。
仕事をきちんとこなしている端々にも何処か心の隅でまだ見たことにない
産みの母親を探し求めている心情はとても切なかったです。
けれどある登場人物とある事件がきっかけとなり、
「いい子」を演じてきた事から本当の自分を見出していくことになっていき、
見事に成長しているので読んでいてとても清々しかったです。
人というのはふとした一歩からこんなに大きく成長できるものだと
改めて思えました。

舞台となっている病院の体質や院長の態度には呆れるというか
こんな病院はあってはならないと思いますが、
これはあくまでも物語の設定ということだということを
認識していれば腹ただしくもならないかと思います。

病院には患者の数だけ病気がありそれだけそれぞれの人生の数があります。
医師には医師としての務め、
看護師には看護師にしか出来ない仕事を務める
それぞれが十二分に努力していけば患者達にも
明るい光が射し込まれるかと思いました。
一人の女性が本当の自分を取り戻すことの感動作でもありますが、
看護師としての職業の志の高さを再確認出来る作品でもあるように思いました。

中脇さんの作品を初めて読みましたが、
堅苦しくなくとても読みやすく心温まるお勧めの一冊です。

西加奈子 円卓 [作者な行]


円卓 (文春文庫)

円卓 (文春文庫)



ストーリーは世間の“当然”に立ち止まり、悩み考え成長する物語。
うるさいぼけ。なにがおもろいねん。
平凡やしあわせに反発する琴子、小学3年生。好きな言葉は、「孤独」。

公団住宅で三つ子の姉、両親、祖父母と一緒に暮らす琴子(こっこ)は
家庭の中では愛されているのに、
愛されていないと思っていたり、
いつも人の事を羨ましがったりして
ちょっと偏屈なところがある女の子です。

誰からでも好かれていると思うのに、
何故かもっと自分を特別に見つめて欲しいと
人がある事で注目されるとそれを真似してみたり、
同じ事をしてみたり
口が悪くて偏屈なところがあるけれど
可愛らしいなと思いました。

いつも大勢の家族に囲まれているから
それがかえって煩わしいと思ってしまう年頃だから
こんな行動をしてしまうのかもしれないと
自分の幼い頃の事と思い返しながら読みました。

この年頃は思春期とはまた違って、
何でも興味があるけれど
大人はまだ子供扱いをするので構ってくれないし、
本当の事などを教えてくれなかったりするので
偏屈なこっこにとってはそれが余計にしゃくに触って
みんなと同じことはせずに我が道を歩いているのかも
しれないと思いました。

でもこの個性的な所が子供らしくて
悩みを自分なりに解決したり、
時にはすぐ近所の同級生にの
打ち明けたりしてあどけないところが
ハツラツとしていて良いなと思いました。

ジャポニカ学習帳には秘密の言葉が書かれていたりして・・・
こうゆう事もこの時期にしかしない楽しみでもあったりして、
懐かしい気分にもなりました。

少し変わった女の子に思えますが、
子供の視線でその時の悩みや考え方が
ストレートに描かれているので
ユニークで自分の幼い頃と比較して読んでみると面白いかと思います。

文章が関西弁で書かれているのが、
面白さとリズム感が出ている感じがして良いかと思います。


HPのYuimiko's MemoriesのGalleryにも本の紹介をしているので、
そちらも良かったら見てみて下さい。
http://happy1996.web.fc2.com/

中脇初枝 きみはいい子 [作者な行]


きみはいい子 (一般書)

きみはいい子 (一般書)



ストーリーは夕方五時までは家に帰らせてもらえないこども。
娘に手を上げてしまう母親。
求めていた、たったひとつのもの—。
それぞれの家にそれぞれの事情がある。
それでもみんなこの町で、いろんなものを抱えて生きている。
心を揺さぶる感動作。

2013年本屋大賞ノミネート作品になっていて帯を読んでみて
気に入ったので手に取りました。

サンタさんの来ない家
べっぴんさん
うそつき
こんにちは、さようなら
うばすて山
の5章からなっています。

一見どらも関係ないような感じがしましたが、
どれかの作品の中に必ずリンクする人物がさりげなく出てくるので
上手く出来ているなと思いました。

どの作品も虐待がテーマとなっていますが、
普通虐待の小説となると読んでいて不快になる酷い表現などが
多いですが、この作品ではそのような表現がなく、
心にじわりと伝わる表現方法でした。

どれもごく普通の日常にある生活の一部の中でのストーリーなので、
より身近な問題やテーマを感じることができました。
サンタさんの来ない家の中の文中で
 子供は親を選べない、住む所も、通う学校も選べない、
 偶然によせ集められてここにいる。(中略)
 だからこそ、みんな、子供なりに、ここで踏ん張っているのだ。
というのがありますが、
これには納得でした。

虐待されてしまう子供にとっては好きでこんな親に
育てられたくないと常に思っていると思います。
けれど虐待された事を誰にも言えなくてじっと一人で耐えていて、
いつまで虐待から逃れられるのか分からないのに
子供ながらに我慢しているのが読んでいて辛いです。

べっぴんさんでは自分の好きでもないママ友と一緒に
過ごしている光景が書かれているのですが、
表面では普通に接しているのに心の中では
こんな事を考えていたり、行動も普通ではないので
少し怖い思いがしました。
虐待された子供はトラウマでまた自分の子供にも無意識のうちに
虐待をしてしまうというのがまざまざと分かります。

うそつきの中ではこの言葉が印象的でした。
 たとえ別れても、二度と会わなくても、
 一緒にいた場所がなくなったとしても、
 幸せなひとときがあった記憶が
 それが一生を支えてくれる。
 どんな不幸なことがあったとしても、
 その記憶が自分を救ってくれる。
本当にそうだと思います。
幸せな思い出があったのならば、その時を思い出して前に進むことも出来ます。
幸せな思い出もなかったのなら、本当に絶望的になってしまいそうです。
どんな思い出でも心の中では行き続けるので
改めて大切にしなければいけないなと思いました。

うばすて山は認知症を患ってしまった母親を姉妹で介護するという
ストーリーですが、同じ姉妹なのに育て方が違い姉だけには
とても厳しく完璧な母親でこんな母親が自分の親だと思ったら
その家には居たくないと思いました。
それでも自分の母親がこのような病状になってしまったら、
少しだけでも看てあげないといけないなんて残酷だなと思いました。
自分の名前も分からず、まして主人公の姉の名前や顔を見ても
知らない人のままで、改めて名前を教えてあげてやっと呼んでくれる。
本当は子供の頃にその名前を呼んで欲しかったり、
してもらいたいことがあったのに・・・
実のお母さんなのに、本当のお母さんでなくなっている
お母さんを受け入れる気持ちはとても複雑だと思います。
でもどんな形であっても実の母親なので受け入れるところは
受け入れているのがやっぱり子供なんだろうなと思いました。
この作品は自分がこの世代になるとよく分かると思います。

ストーリーの書き方も物腰が柔らかく書かれているので、
とても読みやすかったです。
どの作品でも虐待やいじめはあるものの
誰かが手を差し伸べてくれて
明るい未来が見えるのでこれが救われて心が温まるところです。


HPのYuimiko's MemoriesのGalleryにも本の紹介をしているので、
そちらも良かったら見てみて下さい。
http://happy1996.web.fc2.com/

夏川草介 神様のカルテ 3 [作者な行]


神様のカルテ 3

神様のカルテ 3



ストーリーは「医者をなめてるんじゃない?自己満足で患者のそばにいるなんて、
信じられない偽善者よ」。美しい信州の情景。命を預かる仕事の重み。
切磋琢磨する仲間。青年医師・栗原一止に訪れた、最大の転機の医療小説

初めからの『神様のカルテ』を読んでその後のシリーズ読んでも
いつも感銘していたのでこの作品を手に取りました。

今回は主人公の栗原一止の前に新たしい女性の内科医が来ます。
最初は彼女の医師としての振る舞い方に少し可笑しいなと思いました。
治ろうとする意思の持たない患者については、
急患であっても受診をしないというやり方
これは医師であるのなら、
どんな患者の状態でも受け入れるとういうのが本業だと思います。
でもこれには深いわけが過去があります。
それを思うと頷けしまいます。
彼女がここまで思うまでの決断に至るにはどんなに辛かったかと思いました。

一止もそんな彼女の医師としての生き方を見て戸惑いながらも
また翻弄されつつも見つめ直してまた新たなる決意をするのが
この医師の良いところ。

医療現場もいつもリアルに描かれていて、
それだけでなく患者さんに対しての一止医師の対応の仕方が
本当に細やかだなと思います。
医師というのは病気を治すことが先決ですが、
それだけでなくメンタル的な部分で支えてくれると
患者さんもどんなに救われるかということがいつも
この神様のカルテでは痛感します。

過酷の医療から解き放たれて、ハルさんとのひと時はとても微笑ましいです。
どうしていつもこんなに穏やかな心でいられるのだろうと思うくらし
ハルさんは一止だけでなく他の人の心を温かくしてくれます。
こんな女性がそばにいるから一止も頑張れるのかなと思えます。
ハルさんのような女性になるのはどうしたらなれるのだとうかと・・・

そして大狸先生からの一言は重みがあります。
医者として一番大切なものは何か分かるか?
それはどこで働こうが、どんな病院へ行こうが、
そんなことはどうでも良い。とにかく医者を続けていくことが肝心なんだ。
これは一止だけでなく、実際に医療の現場で働いている人達に
捧げたいと思いました。

医療とは関係ないですが、
気になった言葉が・・・
芸術家とはいかなる嵐の中でも、常に北を示す続ける羅針盤だ。
 (クリフトの言葉)

いつも心の底から温かくされてしまう作品なのでお勧めな本です。


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そちらも良かったら見てみて下さい。
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西加奈子 きいろいゾウ [作者な行]


きいろいゾウ (小学館文庫)

きいろいゾウ (小学館文庫)



ストーリーは夫の名は無辜歩(むこ・あゆむ)、妻の名は妻利愛子(つまり・あいこ)。
お互いを「ムコさん」「ツマ」と呼び合う若夫婦が、
片田舎にやってきたところから物語は始まる。
背中に大きな鳥のタトゥーがある売れない小説家のムコは、
周囲の生き物(犬、蜘蛛、百足、花、木など)の声が聞こえてしまう過剰な
エネルギーに溢れた明るいツマをやさしく見守っていた。
夏から始まった二人の話は、ゆっくりゆっくりとその年の冬まで進んでいき、
「ある出来事」を機にムコがツマを残して東京へ向かう。
それは、背中の大きな鳥に纏わるある出来事に導かれてのものだった。
という恋愛長編小説。

妻の名前と夫の名前がツマとムコと呼び合っているという
これだけでもくすりと笑えてしまう夫婦だなと思いました。
ツマは周囲の生き物の声を聞けてしまうという不思議な能力を持つけれど、
その反面無邪気で夫に対していつも好きで好きでたまらないという
気持ちがあって、まるで恋愛少女のように思えて可愛らしい人だと思いました。
そんなどこか寂しい気持ちを抱えているのは、
夫がツマに特別に何かしたかということではなくて
日頃から夫の行動を見ていたからこんな気持ちになったのかと思います。

同じ屋根の下に住んでいても少しの行動だけで気持ちが分かってしまうというのが
夫婦なのかもしれないです。

夫もツマと同じように好きな気持ちは変わらないと思うのですが、
辛い過去のしがらみにかられているのか、どこか冷静に見ている感じがしました。
けれど夫はツマに対しては何でもしてくれて、心優しく器の大きい人でもあります。
お互いが大切に思うあまりに大事なことに目をそむけて
しまっているというのが切ないところです。

そんな仲の良い二人に突然の出来事が出来てしまい、
気持ちが離れてしまうのかと一瞬ハラハラとさせられてしまいましたが、
この出来事がかえって二人の気持ちをより強い絆になって良かったなと思います。

恋愛小説だけれどどこかファンタジーのような要素も入っていて、
今まで読んできた恋愛小説にはないタイプでした。

小説の間に平仮名で書かれた「きいろいゾウ」はこれはこれで
また良い絵本で別の物語を読んでいる感じです。

最後に夫の記した日記に必要な物が書かれていますが、
これに大きな文字であんな言葉を書かれてしまったら
妻、女性としては最高に嬉しいと思います。

二人の夫婦だけでなく、田舎に移り住んだ周りの人達の温かさが良かったです。
おませな太地くんの言葉や手紙にもキュン とさせられてしまいました。

夫婦とは?というのを違った切り口から描かれているのでとても新鮮で、
改めて夫婦とはどうゆうものかというのを考えさせられました。


HPのYuimiko's MemoriesのGalleryにも本の紹介をしているので、
そちらも良かったら見てみて下さい。
http://happy1996.web.fc2.com/

西加奈子 窓の魚 [作者な行]


窓の魚 (新潮文庫)

窓の魚 (新潮文庫)




ストーリーはある日、2組のカップルが温泉へ向う。
けれど裸になっても笑いあっていても、決して交わらない想い。
大人になりきれない恋人たちの一夜を美しく残酷に描いた恋愛小説。

静かなナツ、優しいアキオ、可愛いハルナ、無関心なトウヤマ
の四人の視点から描かれています。
普通カップル同士で温泉宿に行くというならば、
多少なりとも楽しくお互いを分かち合えている仲間だと思うのですが
この四人はそれぞれが秘密の事や深刻な事を抱えていていました。
誰でも秘密や悩み事は抱えていると思いますが、
それを仲間だったり、カップルだったら少しは打ち明けられると思うのですが、
この四人はそれもせずお互いに複雑な思いが絡んでいるので、
こんな旅は楽しいのかなとふと思いました。
こんな所でうわべだけの付き合いなんて寂しいなと思いました。

恋愛小説と書かれていましたが、
恋愛小説にしては少しその要素が薄い感じで、
それよりストーリーや描写が淡々と描かれていてまるで推理小説のようでした。
そのわりにはラストははっきりとせずに終わってしまったので、
少し消化しきれない感じでした。

西さんの作品は初めてなので他の作品と比較できないので
分からないですが、人の描写、物、風景など細かい所まで
綺麗に描かれる人なのかなと思いました。
独特な雰囲気も何故か引き込まれました。
読みやすいのは確かなので、他の作品も読んでみたいと思います。


HPのYuimiko's MemoriesのGalleryにも本の紹介をしているので、
そちらも良かったら見てみて下さい。
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沼田まほかる 彼女がその名を知らない鳥たち [作者な行]


彼女がその名を知らない鳥たち (幻冬舎文庫)

彼女がその名を知らない鳥たち (幻冬舎文庫)



ストーリーは八年前に別れた黒崎を忘れられない十和子は、
淋しさから十五歳上の男・陣治と暮らし始める。
下品で、貧相で、地位もお金もない陣治。
彼を激しく嫌悪しながらも離れられない十和子。
そんな二人の暮らしを刑事の訪問が脅かす。
「黒崎が行方不明だ」と知らされた十和子は、
陣治が黒崎を殺したのではないかと疑い始めるが…という長編ミステリー。

沼田まほかるさんの作品は『九月が永遠に続けば』を読んで
これで二冊目です。
『九月が永遠に続けば』では少し重くて理解出来ない部分があったので、
それより良い作品があるというのを教えて頂き手に取りました。

前半はどこがミステリーなのかと思うくらい相変わらず
男女の絡みが多すぎて少々飽きてしまいました。
一緒に住んでいるにもかかわらず、
陣治に対してはあまりにも冷たい態度、罵倒などをしたりするので
十和子という女性はなんでこんなに嫌な人間なんだろうと思いました。
いくら前の別れた男性が忘れられなくて寂しいから、
つなぎというか一時しのぎでこんな事をするなんて同じ女性として嫌でした。
それでも陣治は特に抵抗することもなく、
波風を立てないように一緒に住んでいるのが不思議でした。

でも後半になり別れた男性の黒崎が行方不明になったということから
ストーリーは急にスピードが上がるのでここからが飲み込まれていきました。
十和子が夢なのか妄想なのか現実なのか
そのあたりを彷徨うので読んでいてもそれに操られてしまいました。
十和子の行動を追っていくとどう考えても
黒崎が行方不明になったのは陣治がいるからかと思わされましたが、
ラストには思いがけない展開に驚かせられました。
まさに大どんでん返し。

十和子の過去を思うとこうなってしまったのも仕方ないですが、
それを何も抵抗せず、言わずにそっといた陣治は
これこそ本当の愛情なのかと思いました。
今までになかったミステリーというより、
恋愛小説としても良いかと思います。

でもこのタイトルはこの作品とどんな関係があるのかと
ふと考えてみたり・・・

沼田さんの経歴が最後に書かれていましたが、
二十歳で結婚し、三十四歳で離婚し出家し僧侶となり、
四十四歳で友人と設立した会社が五十五歳で倒産したため、
小説を書き始めたという波乱万丈な人生。
この経験が作風にももしかしたら出ているかなとも思いました。

前半はさておいても後半からはぐいぐいと引き込まれていくので、
少し変わったミステリーを読んでみたい方にはお勧めだと思います。


HPのYuimiko's MemoriesのGalleryにも本の紹介をしているので、
そちらも良かったら見てみて下さい。
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